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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
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#骨仏

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】名古屋市中村区の骨仏『中村観音』

 愛知県名古屋市中村区にある中村観音(瑞龍山白王寺)に、コンクリートや漆喰に火葬場から出た廃骨を混ぜて練造された骨仏が奉安されている。  この骨仏を発願したのは、白王寺の初代住職。寺の近くにあった米野火葬場から出た廃骨を供養することと、地域の発展守護を願って、昭和8年に高さ8メートルあまりの十一面観世音菩薩像を練造した。  名古屋市中村区は、日本3大遊郭のひとつである中村遊郭のあった場所だ。そのようなことから、骨仏が練造されると中村遊郭で働いていた遊女の遺骨がその『胎内』

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】北海道・網走郡の『破壊された骨仏』

 「人は死ぬと墓に入る」という観念をくつがえす葬法がある。北海道から九州にかけて、全国40あまりの寺には、亡くなった人たちの遺骨を集めて練造された骨仏が奉安されている。練造の方法も様々で、石膏と遺骨を混ぜ合わせて造られたものやコンクリートと遺骨を混ぜ合わせて造られたもの。セラミックスと遺骨を混ぜ合わせて造られたものなどがある。古いものになると、粉末状の遺骨をにかわなどに混ぜて木像に塗ったものがある。  亡くなった人の遺骨を使って骨仏を造ることには、大きく分けて2つの意味があ