マガジンのカバー画像

酒井透

51
(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】北海道夕張市の『北炭夕張新炭鉱』の忘れ去られた大事故跡

 今から40余年前の1981年10月16日、北海道夕張市清水沢清陵町にある北炭夕張新炭鉱で日本中を震撼させる重大事故が発生した。  事故が起きたのは、海面下810メートルにある北第五盤下坑道の掘削作業現場。ここから大量のメタンガスが突出すると、その後、坑内火災が発生した。当時、火災の延焼による事業の損失を恐れた会社側は、坑内に取り残された炭鉱労働者を坑内に残したまま、水を注入して火災を鎮火させてしまった。  坑内に注入した水を排出して全員の遺体を収容することができたのは、

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県・西表島の『高倉健が愛したホテル』

現在は廃墟に  沖縄県・西表島に80年代のバブル期に高倉健がお忍びで来ていたという、高級リゾート・ホテルの廃墟がある。高級感を売り物にしているダイビング・ショップの裏にある白い建物がそれにあたる。  小高い丘の横に建てられた建物は、ちょっとした〝要塞〟のようだ。ダイビング・ショップの方向には、大きな窓ガラスがない。外部から中の様子を覗くことができないような構造になっている。〝隠れリゾート〟らしい怪し気な雰囲気が漂っている….。  小高い丘から伸びる木々の枝をよけながら階

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】埼玉県川越市の『西武安比奈線の跡』

「西武新宿線に乗って、廃線跡をいつでも見に行くことができる!」、「廃線跡の残る魅惑の鉄道」などといった触れ込みで人気のあった西武鉄道の安比奈線(埼玉県川越市 南大塚駅から安比奈駅間 3.2 km)。1963年から50年以上の長きにわたって運行休止となっていたが、取材時その遺稿の撤去が進められていた。  廃線マニアや廃墟マニア、林道マニアからすれば、安比奈線は、特別な存在だったと言うことができるだろう。1日あれば様々な角度から写真が撮れたし、フォトジェニックな写真も撮ることが

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】茨城県日立市・日本最後の『架空索道(かくうさくどう)』

 2019年3月、日本国内から鉱石などを運搬していた架空索道(かくうさくどう)が消えてしまった。索道と言われても「なんじゃそりゃ!?」、「そんなの知らな~ぃ」となるだろう。無理もない。普段の生活で見ることはできないのだ。  索道というのは、空中に渡したロープに輸送用機器を吊り下げて、人や貨物を乗せて輸送を行う交通機関と思えばいい。ロープウェイやゴンドラリフト、スキー場などのリフトなどもこれにあたる。  茨城県日立市に本社を置く日立セメント株式会社(ひたちセメント)大平田鉱