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鈴木ユーリ

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(すずき・ゆーり) ライター。『実話ナックルズ』にて連載『ゲトーの国からこんにちは』など X@yuri_suzuKii
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#東日本大震災

【インタビュー】フッドリッチトーキョーRAKO「安藤組“餓狼の血”を継ぐ男」の半生(前編)

祖父は「安藤昇の言うことを聞かなかった唯一の男」  まだ残暑がただよう秋の日のことだった。 「来たか」  渋谷の鰻屋の門をくぐると、その人はすでに待っていた。伝説の元ヤクザであり、異色の映画スター。歳は召していたが、目をまともに見れないほどのオーラがあった。 「楽にしていいぞ。で、今は何をやってるんだ」 「パクられて出てきて、今は抗争を繰り返しています。××組と揉めてます。○○組とはもっと揉めてます。自分は、今流行ってる振り込め詐欺とか許せなくて、薬をイジってる不良も

【ルポ 3・11フクシマ】「除染のおかげで地元に戻ってこられた」……除染作業員が見た被災地・楢葉

人生を変えた「3・14」 「ここらへんで、道がいきなり失くなってたんですよ」 福島県・浜通りエリアを縦断する国道6号線を走っていた。道は今も人気がない。楢葉町に入ると町の復興拠点としてオープンした『笑みふるタウン』があらわれ、右側には郭公山が裾野を広げている。 遠田雄大(仮名・3×歳)はこの街で兄弟3人、女手ひとつで育てられた。幼い頃に離婚した父親の記憶はないが、楢葉町出身だったという。母親の生家の祖父の家で育ち、高校時代は町内の団地で過ごした。「しょうもない悪さばっか

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【3・11フクシマ】「復興って、ドラッグの値段でわかるんですよ」……麻薬密売人が見た被災地・郡山

密売、強盗、賠償金詐欺 福島県中央部、西を猪苗代湖、東を阿武隈山地にかこまれた盆地に郡山市はある。新幹線も発着する駅ターミナルにはこぎれいなスーツや制服が行きかい、そこにはかつて「東北のシカゴ」と呼ばれていた面影はない。 郡山市は戦後、大陸からの引き揚げ組をふくめた急激な人口増加で治安が悪化した。暴力団事務所が乱立し、発砲事件などが日常的に発生。行政は「暴力追放都市宣言」を推進し、音楽都市「東北のウィーン」としてイメージを刷新してきた。周囲の16市町村をふくめた「郡山都市

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【3・11フクシマ】「復興バブルはあったけど、もうここにも居場所はないのかな」……デリヘル嬢が見た被災地・小名浜

震災後に「ラブホ超満員」 周囲には健康センターの灯りだけが赤く浮かぶ、国道沿いの駐車場で待ち合わせていた。小名浜港からは車で15分ほど、スマホの地図を見ると「小浜」という地名を指している。「いわき市 小浜」と検索にかけると、予測候補に「ホテル」と表示された。振りかえれば駐車場の裏手にネオンが見えた。 「『G(ラブホテルの名前)』が一番好き。『G』に呼ばれる時はけっこうラッキー」 アジアンリゾート風のラブホテルの前を歩きながら、優月は舌足らずな声を出した。6軒ほどのモーテ

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