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過集中と虚構手帳、守るべき創作的健康。

問.わたしは新しく小説を書きはじめました。ふと時計を見たら5時間経っていました。wordには2万字超のデータがありますが、うち約1万5000字は書いた覚えがありません。この1万5000字を書いたのはだれですか。

答.わたし

 ◇

 最近もりもりと書いているので、虚構手帳のページが潤っている……という話をするために虚構手帳の記事でも書くかなと思った次第。なにしろこれは創作垢(とは呼べない日常垢)であるTwitterの出張所なので、なんかそれらしい記事を書かねばならん気がするのだ。両津勘吉への愛をしたためるだけではなくね。

 虚構手帳、それはわたしの創作記録ノートのことだ。毎日の作業時間、作業内容を記録してある。ほぼ日手帳のオリジナルを利用していて、使い始めてかれこれ3年目になる。
 創作記録はそれより前にもつけていたが、ほぼ日手帳、これはいい。使いやすさピカイチ。ペンのすべりがいいし、ガバッと開くし、方眼だし、時間軸があるし、1日1ページだし。あと、トモエリバーという紙を使ってる。この紙がまたいいのだ。サラサラ、しとっ。みたいな感じで。


 ――この調子だとほぼ日手帳への愛を語る流れになるので軌道修正。


 虚構手帳(創作記録ノート)をつけることでどんなメリットがあるのかは人によると思うけど、わたしの場合はただひとつ、エネルギーの波を管理できることだ。

 というのもわたしは過集中の傾向があり、一度スイッチが入るとどうにもこうにも止まらない。(※ 過集中というのは発達障害の特性のひとつとしてよく話題にのぼるもので、ようするに集中し過ぎちゃう症状のことだ。10年以上前の診断が今も有効なのかは不明だが、わたしも広汎性発達障害と言われたことがある)


 冒頭に書いたアホな一問一答はマジで先日起こった事件(?)で、書き覚えのない1万5000字にビビったものだ。ちなみにこれ、展開や内容がちゃんとプロット通りで文章もまともだった。だけど書いた覚えがない。怖っ。

 これまでにも夏のあいだ憑りつかれたように短編を量産したり、連日8時間(無休憩)で書きまくったりしてきた。ちなみに、こういうことをすると後日虚脱状態モードになる。書けない読めないどころではない。水を飲むグラスを持つのもしんどい、運が悪いと寝込む、みたいな感じ。
 そんなわたしにとって「集中して作業する」と「集中しすぎない」は常に二大目標で、だいたい後者は果たされない。そこで活躍するのが、虚構手帳だ。

 虚構手帳には、1日に何時間作業したか、何文字(何枚)書いたかを記録している。ほぼ日手帳は時間軸があるので、作業時間を可視化しやすいのが素晴らしい。記録は寝る前にまとめているから、毎晩「今日はなんにもしてねーな」とか「今日は書きすぎだな」とか振り返ることができるのだ。

 小説はなるべく毎日書いた方がいいよ、みたいな言葉をよく見かけるので、わたしも毎日とは言わずともなるべく休みなく作業していたいな~と思っている。そのためには虚脱状態にならないことが重要で、虚脱状態にならないために重要なのは過集中のスイッチを入れ過ぎないことだ(と思っているけど正解かどうかはわからない)。効くかどうかはギャンブル☆、みたいなぶっ壊れたブレーキの持ち主なので、安全装置は多い方がいい。


 ところで、先日Twitterのタイムラインで「小説を書く上で気を付けていることをいいねの数だけ~」というハッシュタグをよく見かけたので、横目に見つつ自分は何だろうと考えてみた。
 ……。
 …………。
 あんまりなかった……。
 作業中の記憶が飛びがちだから、何に気を付けているかわからないのだ。

 小説を書くのは、大好きなアーティストのライブが終わった瞬間、すっごく幸せな疲労感が全身を包んでいるのに、セトリもMCも具体的なパフォーマンスもなにも覚えていない感じに似てるかもしれない。ステージの上のあの人が「幕張~!!!」と叫んだ瞬間を最後に、あとのことは熱狂でもみくちゃ、楽しかったことだけ覚えてる、みたいな。

 なんかめちゃくちゃ感覚で生きてる人間って感じだな。ロジカルになりたいのに。
 とりあえず、なるべく虚脱モードにならずに創作するべく、今日も虚構手帳を頼ります。

 聞いてるか、虚構手帳。わたしの創作的健康はおまえにかかってるんだぞ?

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