【祝!Vampire Weekend新作発表】Mary Booneを日本語に訳してみた
vampire weekendの新作only god was above usが4月5日にリリースされる。
これまで3曲が先んじて公開されていたのだが、新たに発表された曲mary booneがあまりに良かったので、酔った勢いで日本語訳を作ってしまった。
すげえ意訳もあるし、間違っているところは恥ずかしいですが、訳してみてとっても素敵な曲だなと思った。
mary booneとは、バスキアら高名なアーティストを世に送り出したことで知られるギャラリストで、ニューヨークのアートシーンの女王と呼ばれていた人物。
しかし、脱税の罪で2019年に懲役刑を宣告されて栄光の階段を転げ落ちている。
タイトルからして、diane youngやhunna huntなどvampire weekendの往年の人物名曲コレクションを思わせるが、その実は芸術に対する敬意を感じるものだ。
肝要なのはブリッジのbook of hours...から始まる部分で、古今東西の芸術品の名を挙げながら、あなたたちこそがこの曲のauthor=著者ですと歌い上げている。
恐らくエズラクーニグは多くの芸術品を血肉としてアートシーンを作り上げたmary booneの信念を評価していて、共感を感じているのだろう。
一方で欲望に駆られて足元をすくわれた彼女に対し、自分はその弱さの側にいるとも歌っている。
真意はわからないが、この辺りはなんとなく、一つのスキャンダルですべてを失う今の日本のショービジネス界に通底する時代性を思う。
どんなかたちであれ、あなたたちがいなくなっても、あなたたちの残した仕事は世界にかたちを変え息づいていると(もちろん罪は許されないものなのだが)。
今回のアルバムは20世紀のニューヨークにインスピレーションを受けて制作されたというが、栄枯盛衰のなかでどういったものや人が街に影響を与え、もまれ、やがて失われて、都市という巨大な文化を作り上げていったのかが表現されているのだろう。
航空機事故のヘッドラインから採られたonly god was above usというアルバムタイトルも、生死を超えた極限には、神の作った美しい芸術を含めた自然のみが残るという崇敬が感じられる。
この曲を訳していてなんとなくそんなことを感じた。まるで見当違いかもしれないけれども。
※破壊と再構築の象徴であるナタラジャがMVの車のダッシュボードにいるの格好いいよなあ。作品を作ることへの覚悟を感じる。
【日本語訳】
Mary Boone
新しい街で真っ白に塗り変わり
誰に求められなくても何かを探していた
僕はニュージャージーからやって来た
ブルックリンなどではなく
愛をこめた仕事は無駄だったのか
富を求めていたのに、富はかたちを変えるから
映画館の隅っこに座り、耳を澄ませる
あなたのような街の香りが
電車の音とともに聞こえる
メアリーブーン
僕はあなたの暗い側面もなんとなくだけど理解できる
メアリーブーン
そして、あなたが今も何かを愛していることを願っています
いびつな罪、意地の悪い警察
まだストリートにはなくても、確かに忍び寄っていた
あの燃えるような時代
あなたはクイーンズからやって来た
やはりブルックリンではなく
心をこめた全ての美しいもの
むなしく散っていくのだろうか
富はかたちを変え、求めていた意味を失った
映画館の隅っこに座ると、あなたの痛みを感じる
街の香りと光のなかにあなたの仕事を感じるから
メアリーブーン
あなたのだめな部分だってわかるんだよ
メアリーブーン
だから、いま何かを愛していてほしいと願っています
時祷書、ロシアの聖像画
諸行無常をかたどる砂曼荼羅と
破壊し構築するナタラジャ
六角のバーンスター、安藤忠雄の光の教会
スーフィーダンス、長時間露光の夜景
そして東西に向かう二つのトンネル
僕が心をこめた傑作をあなたたちに贈りたい
すべての美しいものがこの曲を作った
僕の声を使って、どうか歌わせてください
メアリーブーン メアリーブーン
僕はあなたの弱さの味方でいたい
メアリーブーン メアリーブーン
ねえ、あなたが誰かを愛せることを祈っている
ああ
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