幼少期のこと、自尊心の守り方

 思い出せる範囲で一番古い記憶はまだ幼稚園に入るよりも前のこと。近所に同い年の子どもがいなかったぼくは、少し年上の子たちと一緒に遊ぶことが多かった。大人になると忘れがちだけれど、小さい子どもにとって1〜2歳の年齢差というものは結構大きな差だ。鬼ごっこをするのにも、他の年上の子に比べて足の遅いぼくはいつも真っ先に狙われて、その上「××は足が遅いから鬼ごっこしてもつまんない」「××はのろまだから抜けろ」と色々言われていじめられていた。殴られたり蹴られたたりすることもあった。ぼくには2歳上の姉がいて、姉もまじって遊んでいてその場にいたのに、姉がぼくを庇ってくれることはなかった。一緒になっていじめてくることはなかったけれど、いじめっ子の筆頭に何かを言ったり助けたりしてくれることは一度もなかった。

 その少しあと、多分幼稚園に通っていたころ。幼稚園の同じクラスの子の家に呼ばれて遊ぶことになった。その子は気が強くてその上ずる賢くて、ぼくがその子に一方的にいじめられていたはずなのに気づけば何故かぼくのほうが先生に怒られているということがよくあった。先生に上手いこと言いくるめてぼくを悪者のように誘導していたんだと思うけれど、そのころのぼくはのろまで、何が起きているのか全然よくわからなかった。話は戻ってお呼ばれした日のこと。その子とその友だちの子とぼくとでテレビゲームをしていた。ぼくの家には当時まだゲーム機がなかったのでこの日初めてゲームをしたんだと思う。コントローラーの使い方もゲームの進め方も教えてもらえないまま始められて、ミスするたびに蹴られた。何回か蹴られた後に我慢できなくなって母親たちがいるところに言いつけに行ったら、その子が大人が見ている前ではすごくいい子のふりをしていたからだと思う、自分の母親にさえぼくの言うことを信じてもらえなかった。せめて母親だけはぼくを守ってくれると思っていたのに、「仲良くあそびなさい」の一言でぼくの必死の思いは却られた。

 周りの人間はみんなぼくを攻撃してくる。たとえ家族であってもぼくを守ってはくれない。幼少期のトラウマからこんな考えがずっと心の底に根付いてる。攻撃を受けそうになったら即座に離れるか、相手以上の勢いで応戦するしかない。ぼくの自尊心を守ってやれるのはぼくだけだから、いつなんどきもファイティングポーズは崩さない。

 ぜったいに負けてなんかやらねーよバーカ!!!

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