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日記(2020年10月19日月曜日)

 寝不足による吐き気を我慢しながら這いつくばって大学まで行った。一限が始まるまで少し時間に余裕があったので、大学構内の喫煙所へ向かった。そこにはたまに会う、用務員のおじいさんがいて、煙草を吸いながら少し話をした。話題に上がったのはフランスで教員がイスラム過激派に殺されたニュースについての話。表現の自由、宗教について話して、日本の自然崇拝の話に至った。大学では実学系の学科に属しており周りの人間が興味を持っている話題といえば就職だとかビジネスだとかの話で、政治や思想の話をする機会が一切なかったので新鮮に思えた。時間が迫っていたため話を切り上げ、一限の講義へ向かった。受講しているのはメディア批評の講義。ドキュメンタリーや映画についての批評を行うとシラバスに書いていたので、『ゆきゆきて、神軍』やゴダールの映画について勉強すると思っていたのに蓋を開けてみればやれ恋愛ドキュメンタリーだの少女漫画原作の実写映画だのを取り上げるばかりで非常にぬるいと思っている。が、出席確認があって、ちゃんと行かないと単位がもらえないので真面目に出ている。ぼくこそまさに「単位をとるために大学へ行かれた」人間だなあと思う。

 最近はずっと感傷中毒の患者状態でどうしても映画が見たかったので、大阪駅の映画館に『異端の鳥』を見に行くつもりだったけれど、どうも体の調子が良くなかったため家に帰ってDVDの映画を観た。『パラサイト』を遅ればせながら観たんだけれど、評判どおりすごくよかった。前半部分でたびたび挟まれるコミカルな描写も良かったし、中盤から一気に暗転していく展開もとても面白かった。半地下家族の妹が水没した家のトイレの上に座って煙草を吸うシーンが心に残った。ああいうどうしようもないとき、やらなくちゃいけないことを全部中断してとりあえず煙草に火をつける、そういうときってあるよなあとしみじみ思った。いろいろ魅力的なキャラクターが出てきたけれど、妹が一番かっこよくて、とても素敵なキャラクターだと思った。

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