少子化対策は一夫多妻制

 はがれた石丸のメッキ

 東京都知事選の躍進以来、石丸伸二はメディアに出ずっぱりだ。テレビを持っていない僕は職場でその様子を眺めたり、それをネタにするyoutubeを複雑な気持ちで観察していた。テレビでは石丸を次の日本を背負う稀代の政治家として持ち上げ、テレビもここまで落ちたのかと、苦々しい気持ちと同時に子供のころエンターテイメントの王様として君臨していたメディアが落ちぶれ、石丸ごときに頼るしかなくなっている状況に一抹の寂しさも感じた。

綻びは選挙直後からあった。

 僕が書くまでもないが、石丸の本性は選挙直後から出ていた。女性アイドルにマウントをとり、後のメディア出演での言い訳が「頭ぽんぽんするようにすればよかったのか?」というセクハラじみた発言で自ら火に油を注いだ。社会学者古市氏とのやり取りは秀逸で、かみ合わないやり取りが《石丸構文》として数多のパロディを生み出した。安芸高田市長時代から石丸を観察している人間からすると、お馴染み(市長時代を見返すとあんなもんじゃない)ものだが、石丸は狙ってか、狙わずか、本当の意味での全国デビューを飾ったわけだ。

 

極めつけの少子化対策《一夫多妻制)

 そこまで言って委員会での発言が《石丸バブル》のハイライトだろう。番組に出演した石丸は日本の人口減少の解決こそ急務だと訴えた。パネラーの一人である田島陽子氏から「具体策は?」と聞かれ「究極的には…」と口ごもりつつ出たのが「一夫多妻制の導入」である。
 勿論石丸もすぐに「現実的ではないが」と自らの提案を否定したが、何故即座に否定しなければならない提案をあの場で口にしたのか? 

何も具体策を持っていない

 石丸伸二という男は問題提起はするが、それを解決するための政策を何一つ持っていない。そのため具体的な政策を聞かれると《一夫多妻制》のような突飛な言葉で相手の思考を停止させるしか方法がないのである。

石丸の人気はある意味で当然の帰結。

 だが、我々はこう言った場面をこれまで何回も観てきたのではないか? ひろゆきや古市が極端な物言いでその場の人を唖然とさせ、ディベートの相手や周りの出演者、一部の視聴者を敵に回す代わりに自らに関心を集めさせインフルエンサーとしての価値を得る。悪名は無名に勝る。これは今に始まったことではなく、古くはビートたけしやダウンタウンの松本がお笑いの手法として駆使してきた技術だ。それを政治の場に持ち込んだ人間が現れた。それだけのことに過ぎない。

 石丸現象の先

 僕は石丸の人気が早晩に終わってほしいし、終わるべきだと思っている。が、石丸が消えても石丸をもてはやした空気自体はなくならない。我々は自らが生んだ冷笑的空気を早々に打ち払わなければならない。

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