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Yet to Come in Cinemas(釜山コン映画)をみた

2月2日、誕生日。朝一で映画をみてきました。以下、感想メモ。

・Permissionシリーズでは最後の挨拶のときに悩みや不安を吐露することも多かったRMさんが、この日は吹っ切れたようにラッパーとしての曲(ラップラインの曲)を全力で歌っていた。(ある曲について)最後だ、とも言っていた。釜山コンの当日の配信、2022年10月にわたしたちに見えていなかったこととしては、もちろん直後に発表されるJINくんの入隊が大きかったわけだが、それは知らされていないにしても、予想はみんなしていたわけで。対して、このとき本人(+α)以外の人が知らなかったし想像もできなかったのは、RMさんのソロアルバム、indigoのこと(その内容)だったんだ、ということに映画を見ながら気づいた。
わたしたちはいつも遅れている。weverseライブなどで束の間同じ時間を過ごすことはできるが、彼らが取り組んでいるのはいつも先のコンテンツだ。最近のJINくんは時空を超えて会いに来てくれる。JINくんは未来のわたしたちのことを考えて、わたしたちは過去のJINくんを受け取る。でもそれはバレンタインならバレンタインの日に合わせて配信されるので、事前録画という理屈はわかっていても混乱する。時差のある別の星にいる人と交信しているかのようだ(JINくんもそう思ってソロのMVで宇宙人に扮したのだろうか)。
釜山コンのビハインド動画でも、RMさんがソロのMVの撮影で不在の日があった(他のメンバーが代役をする)。リリース前ではあるけど、あのアルバムを完成させていたRMさんだから、このようにここに立って、このような表情で歌えているんだ、と思った。成熟して大人になった、髪も切ってさっぱりしたRMさんが、若い(いまも若いけど)ときの、攻撃的なラップを腰を折って全力で魂をこめて歌っていた。そのラッパーとしてのパフォーマンスと、チームのリーダーとしての帝王の存在感と、普通の青年の顔と身体。直視できないかっこよさでした。(ちゃんとみれてないので映画もう一回みたい。でもきっとまた直視できないと思う。)
・JINくんのアップの表情や、キムソクジンコールは、どうしても泣く。おでこをあげてるからか(?)、終始お顔がつやつやきらきら発光してみえた。
・ジミンちゃんはほんとに丁寧に歌っていた。ジミンちゃんとJINくんは、最近、歌が一段うまくなったと思う。JINくんはテクニカルに変化をつけるようになり、中音域が深くなり、ジミンちゃんは安定感が増したのではないかと思う(映画の音響調整もあるようだが細かいことはよくわからない)。
バラエティもそうだが、ジミンちゃんはいつもとても熱心に取り組む。一番大事なこと、大事な人に対してするように。ダンスなり歌なり写真なり、結果としてわたしたちに提供されるものの質ということではなくて(たとえばゲームとかはジミンちゃんよく負けてるので)、この人の本質は、一つ一つのこと、すべて一番大事であると思って取り組むその姿勢にあるのではないか。そしてそんなことは誰もできないのではないか、とも思う(もちろんBTSはみんな真面目で熱心なんだが)。
・J-HOPEさんは、特に冒頭、圧倒的な、一人だけ異次元のプレゼンスだった。小さなパソコンでみた、途切れ途切れの当日の配信でもそれはもう明らかだった。ラップラインの三人の曲のラスト、はじめて三人が対等に並んだのではないか、と思った。いままで対等でなかった、という意味ではなく、そのように感じたこともないのだが、たとえばJ-HOPEさんは音楽のことを話すとき、とても謙虚になる。膝を閉じて背中を丸くして、小さくなって話す。それはとても饒舌に、いくらでも音楽のことを話し続けられる二人の生粋のラッパー、RMさんとSUGAちゃんとは全然違う音楽との関わり方だったと思う。実はソロアルバム以後だった(こちらはでも発表前だった)RMさんと同じように、J-HOPEさんもまた、ダンスを封印して自分の内面の暗い情熱や野心を歌ったソロアルバムと、アルバム発売にあわせたさまざまなコンテンツと、そしてあのロラパルーザを経たから、自分の音楽を形にして人に見せる経験を通過した者として、自分として、ここに立つことができているんだなと思った。ステージに立つとはなんとも過酷、苛烈なことである。後半は一転して穏やかな顔。
・SUGAちゃんはまあ、言わずもがなで終始かっこよかった。黒髪ロングがよい。ラフな衣装もよい。Run BTSのソロパートのアレンジがよすぎて、以後逆に音源が物足りなくなるという困惑。あのリズムをわざとずらした歌い方を耳が求めてしまう。
SUGAちゃんはこのところ、いろんな場面で折に触れて、自分は何十年音楽を、ステージを、BTSを続ける、と口にしてる。それは口にすることで叶うことを願う、祈りの言葉でもあるだろうけど(そもそもYet to Comeはそういう曲だろう)、でもそれを言うときの表情には無理がなくて、普通のことを言うように言っているなあと思う。この人はなんでこんなに落ち着いているんだろう、内面が実年齢よりずっと老成している。
・テテは、わたしには全く理解のできない人だ(他のメンバーについてこうして書いていることも、当然見当違いのことは多々あるだろうけど、テテの場合はその見当すらつかないというか)。でもビジュアルに関係すること(ファッション、写真、俳優)だけでも十分に魅力的なこの人が、歌とダンス、メンバーと観客のいるステージを愛していて必要としていることはよくわかった。愛する、愛される、を必要とする、というのはある程度、誰しもそうなんだろうけど、こんなにその欲望に混じり気がなく、かつ量が大きい人は珍しいのではないか。
Run BTSのダンスは凄みがあった。軽やかで、笑顔で、恐ろしく洗練されていた。本人が僕たちすごいことします、と予告していたのはこれなんだろうと思うし、その自負に見合うテテの(もちろん全員も)パフォーマンスだった。
・グクは、いい音の上映を選んだからか、ここコーラスしてるんだ、というのが随所でわかってよかった。配信や動画ではわからなかった。Permissionシリーズは、ONからはじまるし、Dynamite→Butterが見せ場の一つだし、明らかに自分が引っ張っていくというつもりで、毎回気合いを入れていた感じ。カムバック以後は、前というより、横の他のメンバーをじっと見てる。グクは、ワールドカップのときのダンスについて、振りを覚えてそこに自分らしさを足した、というようなことを話していた。正直、ソロのダンスは、これまで力みがあったと思うが、僕は歌手だけどいまはダンスが楽しいと前にvliveでも言っていたし、やったことのない種類のダンスのレッスンも受けていたようで、ワールドカップのパフォーマンスは、この人はこういう表現がしたかったんだ、というイメージがはじめて受け取れた気がした。で、たとえばそのパフォーマンスと比べても、はるかにきつそうなRun BTSだ、と思った。グクは難しいことに挑むときに生き生きとしているので、BTSはグクにとって、最もきつくて、それゆえ最も楽しい場所なんだろうなと思った。

・セトリは、冒頭のMIC Drop→Run BTSはもちろん素晴らしく、それにRUNが続くのは、言われてみればたしかに、なのだが、そうか!と思った(当日の配信ではこのへんから途切れたわけだが)。BTSは、新しい曲が昔の曲の再解釈のようになっていることがよくあり、その組み合わせも必ずこれとこれがペア、というわけでもなく、複数の糸で相互に複雑に結ばれている。
・Permissionシリーズの、Dynamite→Butterの連続はほんとに大好きなのだが、しかし今回のようにこの二曲をつなげないことで、Butter冒頭の縦一列から一人ずつ抜けていく振り(に近いフォーメーション)が見れて、ああこれはこれで捨てがたくよい、と悩ましい気持ちになった。悩むことはないのだが、大好きなONも、 Permissionシリーズの見せ場の一つのBlack Swan(全方位を使った、あの美しい白鳥のステージ)もないし、So Whatも、と言いはじめたら切りがないくらい、これもやってほしい、が出てくる。名曲が多すぎる。IDOLとDNAは必ずやるのかな、と思った。どちらもこの一曲だけで歴史に名を残すような名曲、名パフォーマンスだと思う。

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