老後の資金がありません

垣谷美雨の「老後の資金がありません」を読んだ。最近映画化された小説の原作にあたる。同じ作家の「定年オヤジ改造計画」や「夫の墓には入りません」、「あなたの人生、片付けます」などの刺激的なタイトルの数冊を読んで、心の準備をしてからのチャレンジだった。定年オヤジとして、ファイナンシャルプランナー?として、長年投資運用業に携わってきた者として、二十代の二人の子供の親として、91歳の親父の子として、そして奥さんの旦那として。

垣谷美雨は自分と同じ歳の女性の作家であり、その作品に描かれている家庭や主人公は、自分の置かれている環境や経験と重ね合わせて身につまされる事が多い。そんな作品の中でも、この「老後の資金がありません」は、多様な家庭の事情を紹介しながら、同世代の家庭の老後の資金への不安との戦い?を描いている。

一般に日本人は、お金の話しを他人とする事を憚る。他人だけでなくで身内ともしない事の方が多いようである、などと紋切り型に言ってしまうが、私の知る限りではアメリカ人や中国人は臆する事なくお金の話をする。
株式相場が暴落した時にアメリカ人女性の上司は、私の年金資金が消えていく!と嘆いていた。今年の3月でリタイアをしたいと相談した香港チャイニーズの上司は、老後の資金はあるのか?年金はいつからいくらもらえるのか?と心配して聞いてきた。彼女は子供もいないしアパートメントを数カ所持っているから、自分は本当はいつでもリタイア出来るのだと言っていた。

世界中で老後の資金は、誰にとっても悩ましい懸案事項なのだ。

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