マガジンのカバー画像

和歌心日記

15
百人一首から想像したストーリーを書き集めました。
運営しているクリエイター

#自由律俳句

和歌心日記 9 壬生忠見

恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり… 「ピアノ、好きなんですか?」 少し上気した顔で覗…

函館次郎
1年前
14

和歌心日記 8 のニ 小野小町

花の色は うつりにけりな いたづらに 町子は、姉の絹子が働いている神社(それは自分の生まれ…

函館次郎
1年前
4

和歌心日記 8 小野小町

花の色は うつりにけりな いたづらに… 「この辺りに電気屋さんはありませんか?」 6月のある…

函館次郎
1年前
4

和歌心日記 7 入道前太政大臣

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで… 「もう何回目の春だろう」 坂口智也は会社の窓から見下ろす桜…

函館次郎
1年前
5

和歌心日記 6 崇徳院

瀬をはやみ 岩にわかるる 滝川の… 「いってらっしゃい」 「あぁ。ありがとう」 「ごめん。…

函館次郎
1年前
6

和歌心日記 4 参議篁

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 「山手さん、ほんとに戻っちゃうんだべか?」 「そうな…

函館次郎
1年前
16

和歌心日記 3 在原業平朝臣

千早ぶる 神代もきかず 龍田川 あの人の傘は、 目の醒めるような、からくれなゐのような赤だった… 6月。梅雨だ。鬱陶しい季節。 今年は今世紀最大の長雨らしい。 最近は今世紀最大や、観測史上最長だとか、そんな言い方ばかりが目につく。 明らかに過剰な反応だ。マスコミは常に煽らないと食っていけないのか。くだらない。 いや、そんなマスコミ批判をしている僕の方がくだらない。 つまり。暇なのだ。いや暇だ。 都内の大学に通う普通の大学生。特にイケメンでもなく…勉強ができるわけでも

和歌心日記 2 参議等

浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど 「そりゃ彼氏くらいいるわな」 山脇聡史はひとりごちた。 山…

函館次郎
1年前
7

和歌心日記 1 蝉丸

これやこの 行くも帰るも 別れては… 柏木浩人は東北新幹線の自由席の中から窓の外を眺めてい…

函館次郎
1年前
8