和歌心日記 7 入道前太政大臣
花さそふ
嵐の庭の
雪ならで…
「もう何回目の春だろう」
坂口智也は会社の窓から見下ろす桜並木を見ていた。
3月になると、毎年感じる焦燥感と、次に入ってくる若者たちの姿。そして、それを見たときに感じる絶望感。
年降るに連れ、その思いは益々強くなる。
「部長、そろそろ会議です」
「ああ、じゃ行こう」
次の会議は四半期に一度の部長会議。経営課題の優先順位をつける戦略会議、この優先順位の高さがそのまま部の予算や強さの象徴となる会議だ。
坂口は自分の部門を背負っているが、最近特