二郎坊

何者でもない。

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青の蒼の藍の底

 コンクリート塀の上の金網をよじ登ると、  眼下にはしいんとした暗い水面が広がっていた。  私が通う県立東高のプールは今どき珍しい50メートルプールだ。  時刻は…

二郎坊
7か月前
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進藤さんちの柴コーン

 俺は柴犬。そしてユニコーンだ。  清き乙女を守るのは何も馬の専売特許じゃない。  俺は進藤家の愛玩犬として生まれた。  俺のモフッとした毛並み、クリっとした眉、…

二郎坊
7か月前
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青の蒼の藍の底

青の蒼の藍の底

 コンクリート塀の上の金網をよじ登ると、
 眼下にはしいんとした暗い水面が広がっていた。

 私が通う県立東高のプールは今どき珍しい50メートルプールだ。
 時刻は8月1日午前0時。
 背後から届く街灯の光が私の影を水面に僅かに映す。
 夜の闇とプールの端の境界が溶けて消え、延々と水面が広がっているようであり、それが如何にも不気味だが、立ち昇る塩素の匂いがプールだと気付かせて少しだけ安心させる。

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進藤さんちの柴コーン

進藤さんちの柴コーン

 俺は柴犬。そしてユニコーンだ。
 清き乙女を守るのは何も馬の専売特許じゃない。

 俺は進藤家の愛玩犬として生まれた。
 俺のモフッとした毛並み、クリっとした眉、笑顔に見える口元は進藤家の御歴々を魅了したようであり、大層可愛がられたが、それはいつまでも続かなかった。
 その2年後、進藤家に末の娘のミキが生まれたからだ。

 ミキはしょんべんタレでわあわあ泣いてばかりいたが、一目見て誰よりも純真で

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