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目に見えないもの

駅からの帰り道

一瞬、鼻をつかれ

自転車を降りる


そこらじゅう、むせ返るほどの香り

白く小さな梔子(くちなし)の花

バニラの香りを和製にしたような香り


満開に白を咲かせ

黄色くなった咲き終わりの塊(かたまり)も

それらしい

立ち止まり、ゆっくりと吸い込む

身体に満ちていく香り

香りは、目に見えないのに

感覚を掴み、脳に届く

イメージの映像や記憶と結びつく

夜と同じだ

見えないのに

確かにそこにある




ちなみに、写真は梔子でなく、木蓮(もくれん)です



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