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悲しいとき、料理をした。

今日、とても悲しい出来事があった。noteでそのことを書こうとしたけれど、悲しみが強すぎて書けなかった。

何も手につかなくて、無職であることをいいことに午前中はずっとベッドにいた。泣きすぎて目が赤く腫れて、それでも涙が出てきて、すっかり疲れてしまった。何をする気にもなれない。悲しみしか辿り着かない。だけど、寝ているのも嫌。

そんな中思いついたのは料理をすることだった。何もしないでいるよりはずっといい。時間ができるだけかかる料理がいい。そうだ、おでんにしよう。

今日は2月なのに暖かく、おでんを心から食べたい日、とはとても言えない日だけど、それでもいいやと思った。時間がかかるからできなかったけど、丁寧におでんを作ってみたかった。それに、肉料理ばかり好んで食べる彼も、なぜかおでんは好きだし。

おでんを丁寧に作るってどうやるんだろう。そもそもおでんを作ったことがない。ネットで調べたレシピを見ながら、材料をスーパーで買ってきた。基本的に具材は全部下茹でして、だし汁も昆布と鰹節から丁寧にとる。

昆布だしをとってから、鰹節を煮出していたら、黄金色のような綺麗な色に染まっていった。私にとって出汁の香りはリラックス効果があるみたい。香りを嗅いでいると、辛い気持ちを忘れられた。

ひとつひとつの作業に意味がある。こんにゃくに切り込みを入れたり、大根の下茹でに生米を入れたり、昆布で出汁をとったら一度沸騰させて臭いを消したり。少し面倒なことが料理を美味しくする。ひとつも無駄なことなんてないんだ。

16時半から作り始めて、できたのは19時半くらい。味を染み込ませるために一度冷ますという工程も必要みたいだったけど、夜ご飯ですぐ食べたいからもう食べちゃう。

出汁をとるときの水が多すぎたのか、味が薄くなってしまったけど、素朴で美味しかった。彼は正直だから何も言わなかったけど、(ちょっとは何か言って欲しかったけど)、お腹いっぱいって言っていつもよりたくさん食べてくれたからいいか。


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趣味はなに?と聞かれて戸惑う。休みの日は私何をやっていたっけ?って考えてみると、そういえば料理をしているな、と気づいた。

趣味、というのはしっくりこなくて、毎日何かしら食べなきゃいけないし、自分が美味しいものが食べたいから、作っているという感じ。いつも趣味を聞かれてもすぐ料理、とは結びつかない。

自分が食べたいものを決めて、好きな具材を買ってきて、自分で好きな味を決められる。そこは私が100%コントロールできる世界。誰かと作るのももちろん楽しい。それと同じくらい、1人で作るのも好き。

今日は料理そのものに救われた日だった。悲しみは続いているけれど、料理をしている間は少し忘れられた。気持ちを整理するときには、これからは料理をしよう。たとえ美味しくなかったとしても、その過程で気持ちが落ち着いたなら、それだけでよかったと思える。

こうやって少しずつ悲しみを乗り越えていくしかないんだろう。


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