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ししノベル

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#逆噴射小説大賞2022

やがて去り行く者へ

やがて去り行く者へ

自動販売機が犬を撃ち殺した。

「ありえない」
後白河が呻いた。後醍醐も同意見だったが、現実はときに想像を超える。

現に、5.56mm弾を秒間15発発射できる自動販売機が全国に普及し、12㎡に1台が稼働している。社会はとうにイカれた。犬を撃ち殺すこともあるだろう。

あるだろうか。課長の後醍醐も、同行の後白河も、そうは思えなかった。常識的に考えて、ありえない。

「可能性1、当該ポ防機(ポイ捨て

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左道往殿 またの名を芒旦

左道往殿 またの名を芒旦

「あんめい、いえぞす、まりや!」
冬の太陽にフランシスコの血刀が煌めき、腕が飛び、首が舞った。味方の綻びに、百姓牢人達の錆槍が突き込んだ。

まいろやな まいろやな
ぱらいぞのてらにぞ まいろやな

唄が湧き上がった。切支丹の一揆勢は、唄って駆けて、唄い死ぬ。怖けた味方が押されて下がる。そこに再びフランシスコの剣が襲いかかった。

ぱらいぞのてらとは もうするやな
ひろいなせまいは わがむねにぞ 

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