見出し画像

【じんたろホカホカ壁新聞】日大事件はガバナンス改革で防げるのか? その1

衝撃の事実!に三度びっくり

日大の理事が逮捕?
って、まず驚く。
えっ、アメフトで加害学生を恫喝した容疑者になって理事を辞めた人なのか?
って、二度驚く。
えっ、子会社で使って、契約金をかさ上げして謝礼を誰かに渡した?
はあ? って、三度驚く。

1.日大幹部は体育会系?

事件の中心人物の一人、日大理事の井ノ口忠男容疑者ってひとは、日大アメフト部の主将も務めたとか。
田中英寿理事長は相撲部だったし、日大って体育会系学校法人なのね。

日大OBで、名門で知られるアメリカンフットボール部で主将を務めた経歴を持つ井ノ口容疑者。「今も体格がよく、真っ黒に日焼けしている。スーツにはだしで靴を履く、学府のイメージとは程遠い男」(大学関係者)がマンモス大学を牛耳るようになった背景には、大学トップに君臨する田中英寿理事長(74)の存在があった。

はだしで靴を履くって、石田純一かっ!
まあ、ちょっとおしゃれで見た目も大学経営者にしては異質だったんだろう。

2.犯罪のしくみは、子会社を使った?

この事件には、日本大学の子会社が関係しているようだ。

日本大学付属病院の建て替え計画を巡り、背任容疑で逮捕された元日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)が、日大が医療機器をメーカーから調達する際、大阪市の医療法人前理事長・籔本雅巳容疑者(61)側の会社を複数介在させ、日大に費用を過大に支払わせた疑いのあることが関係者の話でわかった。日大の損害は2億円前後に上るとみられ、東京地検特捜部は近く両容疑者を背任容疑で再逮捕する方針。

子会社が関与しているほかにペーパーカンパニーまで作っている。企業の不正顔負けのスキームで事件が起きている。

関係者によると、日大は昨年、老朽化した板橋病院を建て替えるための設計業務を、都内の設計事務所に20数億円で発注した。発注業務を担った日大の関連会社「日本大学事業部」(世田谷区)の取締役を兼ねる日大理事が主導し、設計事務所を介して、医療コンサル側に2億円超を流出させた疑いがある。
医療コンサルは2014年に設立。登記上は東京都港区のマンションの1室にあるが、設計業務とは関係のない「ペーパーカンパニー」だったとみられる。代表取締役には、医療法人グループの関係会社である大阪市の医療機器卸会社の副社長が就いている。

複数介在した会社の元締めは、「株式会社日大事業部」。
日大事業部という学校法人日本大学が100%出資する子会社ができたのは、2010年。決して早いほうではない。
田中英寿氏が理事長に就任したのは2008年。そのすぐ後に子会社ができた。
その日本大学事業部は売り上げを急拡大させていく。

2013年には、約7.8億円だった売り上げが2017年には約69.8億円と9倍。2019年には約90億円と11倍にも膨れ上がります。
その背景には、日本大学事業部とその中枢で切り盛りした井ノ口容疑者の強引さにありました。
学内からは「できるだけ物品購入等は事業部を通すように、と言われるようになった。モノによっては直接、専門業者に発注した方が早いのに…」(理系学科・教員)などの恨みが広がります。

でも、理事長は、自分は無実だって言ってるとか。

その後の関係者への取材で、田中英壽理事長が29日、学内の会議に出席し、一連の事件について「俺はやっていない」と自身の関与を否定したことが新たにわかりました。
逮捕された井ノ口容疑者については、「井ノ口はやりすぎだ。あそこまでひどいとは思わなかった」と非難する一方で、「(井ノ口容疑者は)もともと大学の人間だったから被害届は出さない。大学として損害も被っていない」などと説明し、起訴された内容について被害届は出さない意向を示したということです。

この理事長と井ノ口容疑者はとても親しくて、理事長の奥さんのやっているちゃんこ屋でよく飲んでいたようだ。

現職やOBなど日大関係者に取材を進めると日大のある“風習”を明かしてくれた。大学職員の中で「人事発令はちゃんこ屋の2階にあり」という有名な言葉があるそうだ。“ちゃんこ屋”とは阿佐ヶ谷にある田中理事長の妻が営むちゃんこ料理店を指し、教職員は年に数回ちゃんこ店に行かなければ要職に就けないと言われている。
2008年頃、井ノ口容疑者はアメフト部の先輩の紹介で田中理事長と距離を縮め、2日と明けずにちゃんこ店に通い詰めていたという。そして2年後、日大事業部の「自動販売機アドバイザー」として日大の業務に関わることとなる。そのとき使われた肩書きが「理事長付相談役」。

理事長の奥さんがちゃんこ屋を経営?
って、不思議だけど、この奥さん、元演歌歌手とか。
どうでもいいけど、増井山関って演歌がうまかったよね。レコードも出してた。

「彼女は歌手として2枚レコードを出しており、演歌歌手の大月みやことは一緒に“ドサ回り”をした仲だそうです。優子夫人は長野県の下駄屋の娘で、母親が上京して阿佐ヶ谷で喫茶店を始めた。これが『ちゃんこ料理 たなか』のルーツです。店が入るビルは“湯沢ビル”と名付けられ、ちゃんこ屋は優子夫人と母親が切り盛りしていました。阿佐ヶ谷には日大相撲部の合宿所があり、かつて輪島が所属していた花籠部屋もありました。相撲好きだった優子夫人は花籠部屋の若秩父がお気に入りでしたが、そのうち田中氏と知り合い、結婚したのです」

事件はちゃんこ屋で起きていたりして(笑)

3.補助金90億円も保留に

いよいよ文科省も動き出した。第三者に調査させるとか。

同時に私学事業団も補助金交付を保留した。

東京地検特捜部に背任容疑で元理事が再逮捕された日大について、文部科学省の外郭団体で私学助成を担う日本私立学校振興・共済事業団は27日、今年度分の補助金の1度目の交付を「保留」とすることを決めた。補助金は毎年度、12月と3月の2回に分けて交付されており、今後の審議で不交付や減額と判断される可能性がある。

日大は昨年度、約90億円の交付を受けていた。
これは、早稲田大の約92億円に次いで2番目。
平成30年度にはアメリカンフットボール部の反則問題を受けて減額されていた。

4.でも、補助金90憶円って日大にとって痛いのか?

多くの人が興味ないだろうけど、日本大学って、昨年度の予算は約2000億円で運営されている。
決算書類を見ると、企業で言えば純利益にあたる「基本金組入前当年度収支差額」というのが、170億円くらいある。これは、企業の損益計算書と同じような事業活動収支計算書でわかる収益なのだが、利益とか損失とか学校法人の計算書ではわかりにくい。日本大学の場合も、ここから基本金という財産支出や計画的に支出できる積立金なんかを引くので、「当年度収支差額」が30万円になって、儲かっていないように見える。

基本金組入前当年度収支差額(169 億 6,283 万 9,227 円)は,経常収支差額と特別収支差額の合計です。令和 2 年度決算には,令和元年度台風被害による損害保険金 57 億 1,206 万円の受入れが含まれています。

貸借対照表を見ると、特定資産は2700億円くらいある。
すぐに使える現預金だけでも370億円もある。
スゴイ!
90億円なんて、なんかの名目の特定資産を取り崩せば痛くも痒くもないだろう。見る人が見ればわかる。

5.井ノ口容疑者ってどんな「厄介者」?

ところで、井ノ口って元理事は、アメフト事件のときも存在感があったらしい。

2018年、アメフト騒動を調査した第三者委員会は井ノ口容疑者が加害選手に対して、どう喝があった、と認定しています。
井ノ口容疑者は加害選手とその親に対して、監督からの指示がなかったように説明してほしいと依頼。「(同意すれば)私が、大学はもちろん、一生面倒を見る。ただ、そうでなかったときには日大が総力を挙げて潰しに行く」とまで発言した、と第三者委員会報告にはあります。
当然ながら、当時、大学理事であり、株式会社日本大学事業部では事業企画部長だった井ノ口容疑者はそれぞれ退任します。
しかし、2019年に検察が元監督と元コーチによる反則指示について不起訴処分としました。これを受けてなのか、井ノ口容疑者は株式会社日本大学事業部に復帰します。しかも、時期は不明ですが、取締役となりました。アメフト騒動前に比べ、ポストが上がっています。
さらに2020年には大学理事にも復帰しました。

そうだった。あの日大悪質タックル事件。指示したコーチなんかが刑事事件として起訴されたんだけど、不起訴になったんだよね。散々騒がれて、その後不起訴になったことはあまり報道されなかった。それはそれでコーチには気の毒なことだったけど。
日大が変わったのは、そのとき加害学生に黙っとけと恫喝した井ノ口容疑者が要因だとか。

ある日大関係者は、田中理事長が井ノ口容疑者を重用し、組織が機能しなくなっていたと指摘し、「今回の捜査でほとんどの日大の人が日大には変わってほしいと思っている」と語った。

井ノ口容疑者ひとりが日大を変えたのか?
そんなことあるのかな?

元日大理事の男性は「病院や校舎など年間数100億円の設備投資や広告の発注など、ありとあらゆる利権が事業部に集約されている。井ノ口容疑者は田中理事長の命を受け、事業部を牛耳る『金の番頭』だった」と明かす。
別の日大関係者は「経営効率化の観点でも事業部は必要だ」と強調するが、「ただ、ガバナンス(統治)が機能していればの話。一部の人物に私物化されている大学組織を刷新してほしいというのが現場の願いだ」と話した。

ガバナンスが機能していれば、か。

確かに、大企業や学校法人など紳士、淑女が経営者になるところは、どうしても取締役や理事がお互いに上品で遠慮気味になる。そういうところで跋扈するのが「厄介者の権力」。これは経営学者なんかが言っていることだが、無理が通れば道理引っ込む的なことを言える人がトップに重宝されたりする。トップができない経営上のゴミ掃除ができるからだ。井ノ口容疑者はその「厄介者」を買って出ていたのかもしれない。

今、文部科学省では「学校法人のガバナンス改革」の議論が進められている。
久保利英明弁護士とか、野村修也弁護士とか企業の不祥事で調査委員会に関わったり、企業のガバナンス改革の法整備に関わったスゴイ人たちが委員に名を連ねて深い議論をしている。
それで、この日大事件が防げるんだろうか?

続きは、「行列ゼロ!じんたろ法律事務所」で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?