見出し画像

今こそ『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』の話をしよう

う~ん。やっぱ注目されないね。このポエムな私のNote。

でも、嬉しかったのは糸井重里さんが、前回のスープを飲め!とかラーメン屋の親父と学費がどうしたこうしたっていうむちゃくちゃな話をリツイートしてくれたこと。

いや、ホントにもっと嬉しかったのは、いつも駄洒落句会とかバカなことばっかりいっしょにやっている友人が、「読んで感動した。自分の息子にも読ませたい」ってfacebookでシェアしてくれたこと。

異業種交流会でたまに会う大手企業の人事の偉いさんが、私の仕事のやり方を「まさにプロ。おせっかいは大事」だと評価してくれたこと。自分は、仕事でときどき、まっ、いいかと思うのを反省するってLINEで書いてくれた。

遠くに引っ越すために大学を辞めた元部下から、また教育機関で働きたくなったとチャットで言われたこと。この部下、今はコンサル系のけっこういいとこで働いているんだけど。

身近なひとから、いくつか意外な言葉をかけられた。涙が出た。この仕事をやっててホントによかったと思った。教育機関の職員になってよかったと。逆に共感してくれた人たちのことを心から尊敬した。そういう感受性をもってて、そんで私にそういう言葉をかけてくれたこと。案外勇気いるよね。他人のことホめるって。私、苦手。

遠慮なく「好き」をポチってね。私、ホめられて伸びるタイプだから

仕事でも誰かのやっていることを「いいね」ってなかなか言えない。だから、この話、よかったら遠慮無く「好き」ってポチってね。

私、この歳でホめられって伸びるタイプ♥

私の役職って学生から直接ありがとうって言ってもらえないのよね。偉くなるとそれが寂しい。だからいつもそういう「ありがとう」を想像して仕事をすることにしている。そ、一種の妄想。また、現場の職員とそういう話をすることにしている。現場が好きなんじゃなくて、感動している人を見るのが好きなのね。

でも、知りあいからそういう姿勢をホめてもらえたのは嬉しかった。誰もホめてくれたりしないから。

そっちのほうが、糸井さんのリツイートより嬉しかった。

で、今回は今までで一番おもろない話。

だから、おもろいことを期待するひとは、さっさと読むの止めた方がいいですよ。

でも、これまで一番短いから、暇な人はお付き合いください(_ _)

それでホントに学生を救えるのか

コロナ不況の影響で家計が急変したり、経済的に困難な学生を救うために、様々な経済援助策を各大学が講じている。

そのことで、ちょっと不思議に思うのが、大学職員がJASSOの奨学金や自らの大学が扱っている奨学金のことをあまり知らないこと。もちろん、奨学金担当の職員は仕事の必須知識として知っているとは思う。でも、今回のコロナ不況対策として、自分のところで学生が退学をしなくてもいいようにJASSOの奨学金を補うような形にしている大学がいくつあるのか疑問。たぶん、偉いさんはほととんどJASSOの奨学金の仕組みすら知らないんじゃないかな? だから政府のマネをしちゃうような一律○万円給付みたいなのを作れと指示するのではないか。まず、財源をみて、事業収支でプラス部分をつかったり、貸借対照表の特定資産の一部から、学生数で割り算して終わり! 募金も形だけで終了! ああ、また思ったほど集まらなかったと。

それはそれで悪気もなく、いいこと。だけど、それで困っている学生をホントに救えるんだろうか。大学をやめないといけない学生を本気で助けようとしているんだろうか?

今こそ『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』

で、お薦めしたい本が二冊あります。

一冊目は、本山勝寛さんが書いた『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』(ポプラ新書)。2年前に書かれた本。

この人、BLOGOSというオピニオンサイトでいろいろ書いていたけど、著書を読んだことなかった。BLOGOSでは、高等教育無償化で給付型奨学金が拡大されるときに、「Fランクの大学は外せ」とかいう論調があった。その一方で、その頃はまだ、貸与型中心で利息がある奨学金が中心だったので、「奨学金地獄」とか「奨学金破産」とか国家がサラ金をやっているみたいな意見を書く人もいた。

等身大の奨学金を語るチョー真面目本

本山さんは、東京大学工学部を卒業し、ハーバード大学大学院を修了した。これだけ聞くと、本山さんがこの本で、どうせまた「東大式○○」とか「ハーバード流○○」なんて浮ついたノウハウを語っているんだろうと思う。

でも、この本は違う。ひたすら真面目に奨学金を等身大で説明している。
例えば、JASSOの奨学金は、奨学金地獄、ブラック奨学金とまでレッテルを貼られたりしたけど、2016年の返済者410万人のうち3か月以上の延滞者は3.9%で、年々減少している。
上限利率が3%だからサラ金より悪質!などと堂々とシンポジウムで語る大学教授がいたりしたけど、実際には市場金利に会わせて金利設定されている。そういう発言がされた2013年11月時点でも変動利率は0.20%、固定利率でも0.89%だったことを著者は指摘している。当時のサラ金の利率は15%だったとか。
延滞率も2014年にそれまでの10%から5%に下げられ、消費者金融の20%や銀行の14%よりずっと低い。
奨学金問題は等身大で捉えるべきだったのだ。

日本の教育費支出は私費支出に偏っている

給付型奨学金の実施がこれほど遅れたのは日本の税制の問題もあるだろう。財源の問題という意味。2017年に発表されたOECD報告書では、2014年当時の教育支出の公私割合が示されている。
日本の私費負担の割合は、高等教育では66%だった。これは教育格差の激しいイギリスの72%に次ぐ高さだ。
OECD加盟国平均は30%。
日本の次に高い方から、韓国、アメリカ、チリ、オーストラリアなどが続く。私費負担が低いのは北欧諸国で10%以下だ。日本がいかに私費負担に頼っているかわかる。
今回の高等教育無償化の制度は、生活保護世帯とそれに準じる世帯が無償化の対象だが、2014年の日本学生支援機構調査では、世帯収入で400万円以下だと18.1%になる。現在、この比率は25%くらいに上がっているようだ。でも、この世帯の教育支出の構造は公費支出の比重が大きくなるだろう。

ハーバード留学が可能だったのは、アメリカがニードベースの奨学金だから

著者は決して自分が一流大学を卒業しているから偉いみたいなことは言わない。でも、自分が貧乏だったからハーバードに行ったことは書いている。
ハーバード大学では、世帯年収が6万5000ドル(日本円で約728万円)未満の場合、学生の授業料は全額免除される。日本でも年収400万円以下で学費を免除する国立大学なんかがあるけど、それより対象は広い。
アメリカでは成績ベースの奨学金(メリットベース)ではなく、学生の経済的ニードに合わせた奨学金(ニードベース)が主流だからそうなるらしい。

授業料と消費税は相関している

日本では、高等教育無償化について政党が全額無償とか半額無償から徐々に全額無償化へとなど公約を競い合っている。
そして、そのとき、消費税の公約は、5%に戻すとか、ゼロにするとか威勢がいい。これって一種のポピュリズムじゃないんだろうか。財源のことはあんまり考えていない。
ヨーロッパで授業料を無料(EU圏内)にしているオーストリア、デンマーク、フィンランドは消費税(付加価値税)が20~25%だ。
そのほか授業料を低水準にしているヨーロッパの国々はだいたい消費税は19~25%となっている。
高等教育の無償化というのは国家の財政コストの公私比率をどうするかの問題であり、将来への公的投資の問題をどの規模にするかの問題ともいえる。
大学に進学する者、しない者にかかわらず高等教育はみんなで支えるという考え方がないといけない。
税負担の問題を避けては通れないのだ。
今の消費税10%では、完全無償化にするには無理があるように思う。

こんなこと書くと、お前は消費税をあげろっていうのか!

って、脅迫されそうだけど、完全無償化のためには、3.7兆円が必要って試算もある。そりゃ、財源は税でしょ。って林修先生でなくでも思うんじゃない?

反省すべきは誰なのか?

今回、学生たちが要求している学費減免の問題は、ホントはそのことを考えないといけない。政府に自分たちの学費負担を要求するってことは、大学に行っていないひとたちが支払っている税金が原資にもなるってこと。

萩生田光一文部科学相がテレビ番組で、困っている学生は有利子の貸与奨学金を使うようすすめる発言をしたらしい。キャスターが、大学への助成を増額して学費減免を図れないかと質問すると、「みなさん目を覚まして頂いて」「国がお金をくれるんだったら、学生の授業料を減免しますよってのは、順番が違うんじゃないか」と述べたとか。

炎上?

えっ、そうでもない?

萩生田大臣は、大学が学費減免してから、大学が文科省に要求すべきだろう、って言いたいのかな?

ホントに目を覚ますべきなのは誰なのか?

学生?

大学?

萩生田大臣?

ホントに目を覚ますべきは誰なのか?

これ読んでくれている学校関係の方も多いみたいですね。

ちょっといっしょに考えてみませんか?

できればいっしょに何かやりたいんだけど。

みんな、そんなのめんどくさいか?

で、次回は奨学金設計の実務的な話を。

言っとくけど、おもろないよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?