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90年代、シーナ・イーストンのスタンダード・ナンバー・アルバム「ノーストリングス」

 和田誠「いつか聴いた歌」の文庫版あとがきでリンダ・ロンシュタットとともに紹介されていたシーナ・イーストン、今回は彼女のスタンダード・ナンバー・アルバムの話をしよう。

 シーナ・イーストンの名をはじめて知ったのは、スパイ映画007シリーズ「ユアアイズオンリー」のような。この映画は1981年公開、主演の007はロジャームーア、その主題歌を歌ったのがイギリス出身のシーナ・イーストンだった。

 本題のスタンダード・ナンバーのアルバムは「ノーストリングス」、これは「ユアアイズオンリー」からほぼ10年後の1993年リリースされた。プロデュースを担当したのはパトリース・ラッシェン、彼女は歌手でありピアニストでもあり、自らのアルバムを制作するだけでなくジャネットジャクソンのツアー音楽監督も担当した多才な人だそうだ。1954年生まれとあるから、アルバム制作時はまだ40歳前だろう。

 シーナ・イーストンは1959年生まれだから、「ノーストリングス」は若いコンビで制作したアルバム。下に載せたのはそのレコーディング風景。

 選ばれた曲は、アメリカ生まれのスタンダード・ナンバーが多いが、ヨーロッパ生まれの少し新しめの曲もある。「行かないで(if you go away)」は、原曲は1959年にフランスのジャック・ブレルが作曲、いまはすっかり英語曲として親しまれているが、じつはフランス生まれ。シーナ・イーストンも英語で歌うが、最後の部分はフランス語で歌っている。

 また「アイ・ウィル・セイ・グッドバイ(I will say goodbye)」は、シェルブールの雨傘でよく知られるフランス人のミシェル・ルグランが1969年に作曲。メロディの美しいこの曲は、ビル・エヴァンスも演奏し彼のアルバムに収録している。

 このように「ノーストリングス」は、ヨーロッパテイストの曲や新しめの曲を含む意欲的なスタンダード・ナンバー・アルバムとなっている。さらにジャズフィーリングをたっぷり盛り込んでおりジャズ・ボーカルアルバムとしても楽しめる。

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