90年代、キューバ音楽#1、きっかけはブエナビスタ・ソシアルクラブ
1999年に公開されたブエナビスタ・ソシアルクラブの映画は、衝撃的だった。映像で見るキューバの街は1950/60年代のまま時が止まったようで、街全体がセピア色に包まれていたが、人々はいきいきと明るく音楽を楽しんでいる。それはまるでタイムスリップした別世界を見るような。
発端は、1997年にライクーダーが制作したキューバのベテラン・ミュージシャンの演奏を収録した「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」のアルバム。映画は、ヴィムヴェンダース監督により同じタイトルで1999年に制作された。
初めてその音楽を聴いたときの印象は、ノスタルジックでゆったりしたラテンサウンドというもの。映画から、これはキューバのベテラン・ミュージシャン達が作りだしていることが分かった。
これをきっかけに、キューバ・ミュージシャンのアルバムを聴くように。
まずはコンパイ・セグンド、オマーラ・ポルトゥンド、エリアディス・オチョア、イブラヒム・フェレール、ルーベン・ゴンザレスなど、映画にも登場したブエナビスタ・ソシアルクラブのメンバーを中心にアルバムを聴きはじめた。
上に載せたのはオマーラ・ポルトウンドとエリアディス・オチョア、歌はLágrimas Negras(黒い涙)。この曲は、ブエナビスタ・ソシアルクラブのアルバム「LOST & FUND」に収録されている。
下に載せたのはロンドンにあるロニー・スコッツ・クラブでのルーベン・ゴンザレスとイブラヒム・フェレールのライブ、曲はマンディンガ。ピアノを弾いているのがルーベン、ハンチング帽をかぶって歌っているのがイブラヒム。
ところでブエナビスタ・ソシアルクラブの音楽をどこか懐かしく感じる理由を考えたら、どうも子供の頃の記憶にさかのぼるような。
かつてラジオ音楽番組が盛んな頃、ときどきラテン音楽特集があった。ブラジルのサンバやボサノバ、アルゼンチンのタンゴ、アンデス周辺国のフォルクローレ、そしてキューバを含むカリブ海諸国の音楽などなど。それはぼんやりしたものだが、いつのまにか記憶のどこかに潜んでいたようだ。
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