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分別ある没頭
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2022年3月の記事一覧

おぞましくていとおしい

おぞましくていとおしい

ただの暮らしをやり仰せてきただけなのに、不意に叶ってしまう願いがいくつもあった。待って、いかないで、と叫び出したい喉が、きゅうっと締め上げられて、その息苦しさは胸に落ちて、呼吸を少しだけ乱し、凝固して小さな石となって、胃の底に沈む。

彼の歌声が聞きたいと思ったこと。
私の誕生日にハッピーバースデーのあれを歌ってくれたのを、うっかり聞いてしまった。きょうは彼の車の中で『木綿のハンカチーフ』がかかっ

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