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"上手くなる"ということ

ギターが上手い、とはどういうことでしょうか。

僕が思うに上手いギタリストとは、「頭の中でイメージしている通りの音を出せる」人のこと。出そうとしている音を、思った通りの音量、音質、表情、リズムで奏でることができたなら、間違いなくあなたは上手いギタリストです。
もちろん実際にはなかなかその通りにはいかなくて、間違った音程を出したり、ノイズが混じったり、リズムがよれたりしてしまう。それを克服しようとして練習し、だんだん「上手いギタリスト」に近づいていくわけです。 


では上達とは、必ず先にイメージありきなのかというと、実はそうでもないのです。上達するにつれて、目指すイメージそのものも、より豊かに変化していくからです。最初はフレーズの音を追うだけで満足できたのが、もっと感情を込めて弾きたい、もっと綺麗な音で弾きたいというように、以前は想像もできなかったような演奏のアイディアが生まれる。それを実現するために、また練習する。
こうしたサイクルの中で、人はギターが上手くなるのだと思います。


では、具体的にはどういう練習をすれば上手くなれるのでしょうか?

そのコツを一つだけ。

僕は幸運なことに、これまで色々なジャンルの憧れのアーティストの方たちとコラボする機会を多くもらってきました。その中で気づいた、トッププレーヤー達に共通する習慣が一つあります。それは、

自分の演奏を徹底的にチェックする

ということ。トッププレーヤーの方達は、皆さんそのワイルドな言動から、「感性の赴くままにライブをして終わったら2度と振り返らない」というように見えますが、実は逆。(僕の知る限りでは)皆さんできるだけ高音質、高画質の記録をして、しっかりと観直す、聴き直すということを習慣にしていらっしゃる。そして、改善点を徹底的に洗い出す。オーディエンスやスタッフからどんなに喝采を浴びていても、誰よりも厳しく自分自身にダメ出しをする。同じミス(周りはミスと思っていない場合でも)を繰り返さない。簡単なようでなかなか真似出来ることではありません。

それはつまり、自分自身の演奏には、向上のヒントがぎっしり詰まっているということ。楽器を「弾く」だけが練習じゃないということです。


僕自身の話をすれば、昔からライブはもちろん、日々の練習を録音して、散歩しながら聞き直すのが好きでした。自分の演奏が好きなのではなく、(むしろ眉をひそめたくなることが多いです。)「頭の中で聞こえているイメージ」と「実際出してしまった音」のギャップを少しずつ埋めていく作業が好きだったのだと思います。
回り道のようでも、それが"上手くなる"ということですから。


というわけで以上、練習生の皆さんのヒントになれば!

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