はじめて読んだ絵本を覚えていない
自分がはじめて読んだ絵本のことはさすがに覚えていない。絵本があったかどうかも記憶がない。確か白い犬がいた。テレビは白黒だった。それくらいの記憶しかない。
親になり、息子と読んだ絵本ならいくつか記憶にある。
読み聞かせというと一方通行なニュアンスがするが、決してそういう感じではなく、いっしょにふざけてゲラゲラ笑っていた。私の精神性が幼児相手にちょうどよかったのだと思っている。
息子がその当時のことを覚えているかは、まったくわからない。覚えていなくていい。下手に覚えていたら、それはそれでちょっと恥ずかしい。
最初は確か、文字やストーリーのない、単純なキャラクターや形だけの絵本だった。さんかく、まーる、ミッフィーちゃん、と言いながら指さししていた。
そのうち少しずつ「読む」ことのできる絵本になっていく。息子が好んだ絵本で覚えているのは、何かのキャラの迷路の本(題名は失念)、はりがねハンガー、クルトンさんと月のパン。
息子が選ぶ絵本に何か共通点はあるだろうかと今になって考えてみると、どちらにもキメ言葉があった。
「んがんが、ハンガー!」
「くるくるクルトン、クルトン、パーン!」
その部分を読む私のテンションが、面白かっただけかもしれない。
ほかに覚えているのはバムとケロ、そらまめくん。あと何かあったっけ。
親が楽しいと思う絵本は他にあったが、どうも息子が喜ぶそれとはあまり関係がなかった。
その後の記憶はなんだかすっぽり抜けているのだけど、小学生のいつ頃だったか息子がひとりでハリーポッターを読んでいるのを見たときには、嬉しいのと同時にちょっと寂しかった。
「ちょっと寂しかった」は、いま付け加えた感情かもしれないな。
そういえば、元気でやっているかね。