あざらしのねこ
浅生鴨さんの新刊『あざらしのひと』、本来の発売は12月3日だと聞いていたが、お膝元のネコノスで予約したらずいぶん早く届けてくれた。映画の試写会にでも当った気分である。試写会の目的は宣伝であろう。果たして、私がこの本を発売前に読むことは、宣伝になるのだろうか。
ともかく、しばらく入手できない方にはたいへん恐縮であるが、秘密を知ってしまったようなプレミアな気持ちをしばらく味わうことにする。
内容は雑誌に連載していた短いコラムを編集したものに、一部書き下ろしを加えたものとのこと。薄手の文庫サイズで、本の装丁はシンプルでかわいらしいく、ちょっとしたところに飾ったり、持ち歩きたくなる。
中身はとても読みやすく、読みごこちが良い。いろんなひとを想像し、自分はどうだろうと心配になり、結局ありのままで良いじゃないかと思える。
ちょっと時間の空いたときに、さらっと良い気持ちになれる本だ。
しかし、表紙の読み順はちょっとややこしい。
「の あざらし ひと」ではなく、「あざ らひ のしと」でもない。
「むじるしのひと」なら、あそこの店員さんになっちゃう。
「のざらしのやど」なら、ああ、屋根がないのね。
「ひざしたのまと」だと、制球が難しいからアンダースローで。
「まぼろしのハト」、何!あのカラフルなハト!
「ラザニアのもと」、あるわけないと思ったけど、なんでも売ってるな。
「ラトビアの首都」、え!?どこ?知らない!
「陽だまりのチョコ」、誰だよここにおいたの!ベトベトだよもう。
「ひらあやまりのムコ」、おまえ、何やらかした。
「ふだつきのネコ」、だと? なめてんのか?
「てつがくのネコ」、寅ちゃんはなに考えてるの?
あざらし関係なくなっちゃった!! けど結果オーライ。
※上のサイトで「試し読み」ができるんですよ、奥さん!