ドウサンコムギ創世記
道産小麦、種を秋にまくものと春にまくものあり。
秋に種をまくもの、はじめに舶来品種マーチンスアンバーあり、マーチンの名で普及せり。
マーチン、ターキーレッドⅡと交わりて赤銹知不知1号を生めり。マーチンの子赤銹不知1号、ホクエイを生めり。赤銹不知1号の子ホクエイ、北見19号を生み、北見19号チホクコムギを生めり。チホクコムギはうどんによきものの先駆けにて道産小麦の名を高めり。
チホクコムギ、タイセツコムギとホクシンを生めり。チホクコムギの子ホクシンよく世に広まり生産量が増えり。ホクシンはきたもえを生めり。ホクシンの子きたもえ、きたほなみときたさちほを産めり。
きたもえの子きたほなみ、粉色美しく石高高く世に広まり道産小麦の名をさらに高らしめり。うどんにことさらすぐれり。
きたほなみ、アメリカ産クラブ小麦の子と交わり北見95号を生めり。北見95号は薄力菓子用新品種にて種子増殖中なう。
マーチンより4代後に、ホロシリコムギあり。ホロシリコムギひととき広く作られしものの、うどんにもパンにも向かぬ「やっかいどう小麦」と汚名を受け、後にチホクコムギとその子孫(前記)が主流となる。
ホロシリコムギはキタノカオリを生めり。キタノカオリは雨に弱いものの味わい深きパンにて好まれり。
ホロシリコムギの子キタノカオリ、ゆめちからとつるきちを生めり。ゆめちからよく世に広まり、グルテン強靭にてパンやラーメンによく好まれり。つるきちはラーメンとフランスパンによろし。
春にまく小麦、最初に札幌春小麦あり。札幌春小麦はアメリカより導入されたものなり。
札幌春小麦より数世代の後、いろいろあってハルヒカリを生めり。ハルヒカリ、パンによろしきも石高少なし。
ハルヒカリ、メキシコより取り寄せた3つの品種と交わりハルユタカを生めり。ハルヒカリの子ハルユタカ、希少な国産パン用小麦として重宝されり。なお雨に弱くときに幻の小麦と呼ばれり。
ハルユタカ、アメリカ品種と交わり春よ恋を生めり。ハルユタカの子春よ恋、石高多くしてよく世に広まり、国産最高のパン用としてその名を高めり。
ハルユタカの子のうち、品種にならざる子、孫を経て、カナダ品種と交わり後にはるきらりを生めり。はるきらり雨によく耐え石高高く栽培者に好まれ、ことさらフランスパンによろし。
慣れない言葉に疲れり。