宝くじは買わない
くじ引きや懸賞は、まず当たらない。ああいうものは、当たらないように出来ているのだと自分に言い聞かせていたが、当たる人は確かにいる。
宝くじや馬券を買ったこともあるけれど、当たる気がしないし実際に当たらないから、買うだけ無駄と思うタイプである。しかし、当たる人は確かにいる。
品種改良を担当していた先輩に、宝くじを買わない人がいた。そんなところで運は使わないんだと、いい品種が生まれる方に運が向くようにと。
品種改良は、人工交配したたくさんの種から、求むべき新しい特徴の品種を選び出す仕事といって良い。おびただしい交配後代から1つの品種が誕生する確率を計算してみたら、宝くじの当たりくじとほとんど変わらなくて驚いたことがある。
私もあやかって、品種改良の担当となってからは宝くじも馬券も買わなかった。少年ジャンプのハガキも出さず、お金を配る人のフォロー&リツイートもしなかった。忘年会にはビンゴの景品が当らないよう内心祈りながら参加していた。地元商工会の年末福引きには子どもの付き添いで参加したけど、貰えたのははずれのポケットティッシュばかりで、心底ホッとした。
そんなささやかな努力?の結果として、品種選びに運が向いたか、素晴らしい品種を出せたかというと、ごにょごにょふにゃふにゃむむむ。
担当を変わった後も、なんとなくそのまま、いまでも「当たりたくない」「余計なところで運を使いたくない」気持ちは続いている。
くじ運が良いと思ったことはないけど、周りの人には恵まれているなあ、と感じている。もしかしたら、そういう運は良いのかもしれない。
あ、宝くじは買わないけど、お金は欲しいです。そんなん、なんぼあっても良いですから。