本は本をよぶ

立て続けに面白い本を読むと、この世には面白い本しかないような気分になる。その気分はとてもおおらかで、このタイミング良く本屋に行ってしまうと、出費が恐ろしいことになる。それは、空腹で入るパン屋と似ている。

そうして衝動買いした本が、必ずしも「すごく面白い」とは限らない。


私がここのところ面白い本ばかり読めているのは、信頼できる本の導き手を知ったおかげだ。私にとって、浅生鴨さんが紹介する本は外れがない(あくまで私にとって)。あとは、ヤンデルさんのツイート、道新の日曜書評欄(特に月イチくらいで連載されている鮭児書店(トヨザキ社長))、いわた書店の平置き。こんなところが、私の信頼する情報源だ。

信頼できる読み手、自分の好みと合う方を見つけられたならば、それほど嬉しいことはない。


先日、地元のイベントで、一万円選書で有名ないわた書店の岩田社長の話を伺う機会があった。地元紙にて毎週1冊の紹介記事を書いていた時期があり、その準備に週3冊は読んでいたとのこと。3冊読んでおかないと紹介したいと思える1冊に出会えないそうだ。


昨年秋に参加した浅生鴨さんの出版記念イベント。会場から面白い本の見つけ方を質問された際、鴨さんは「ひたすら読む」と回答していた。紹介した本の背後には、選ばれなかった本がしかばねのように累々と倒れているのだと。


そうなのだ。数ある本を達人らがひたすら読み、そのフィルターにかけられ厳選された果実を、我々は享受しているのだ。

いやはや、ごっつぁんです。いつもたいへんお世話になっており、心から感謝申し上げます。


このご恩は、書店で本を「買う」ことはもちろん、「面白かったよ」と言ったり書いたりすることで少しはお返ししたことになるだろうか。