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感染者数の波は接種数の波によって引き起こされる2

 前回、主に3回目のブースター接種について、感染者の波が接種数の波によって引き起こされている現象をご紹介しました。

 これについて、

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「9月で区切るのは恣意的な『切り取り』ではないか?」

 とのご指摘がありました。

 実は、相関係数やp値などのデータは切り取り方によって好きなように出せてしまいます。

 私が前回ご紹介した接種数と感染者数の世界平均👇でも、

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 👇この区間を切り取れば、接種数と感染者数が逆行していますから、逆相関している(接種者が増えたら感染者は減っている)と言えてしまいます。

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(何を隠そう『〇〇チンは有効』と謳う査読済み論文の多くがこの手法を使っています)

 では前回の私の話も、そうした自分の結論に都合の良い『切り取り』なのでしょうか?

 データは過去から未来まで無限にありますから、データを検討するには必ずどこかで切り取る必要があります。問題は、その切り取り方が妥当かどうか、理にかなっているか、切り取る私の恣意的な判断が入っていないかです。

 まず「切り取り」の逆をしてみましょう。前回は接種開始からのグラフでしたが、今度は新型コ○ナ騒動が始まってからの接種者数と感染者数のグラフを見てみます。(接種が始まるまで2020年12月以前の接種数はもちろんずっとゼロになります)

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 いかがですか?こちらでは一見して相関がありそうと思う方が多いのではないでしょうか?
 相関係数はR=0.5070となかなかの値で正の相関を示しています。

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 少なくとも逆相関はしていない、すなわち接種数が増えても感染者数が減っていないことは明らかでしょう。

 接種数の波が感染者数の波を引き起こしたのは3回目接種に限らない

 指摘を受けて逆に考えました。「接種数の増加が感染者数の増加を引き起こした」のは、9月以降、3回目接種に限ったことなのでしょうか?

 今年4月30日の記事でお伝えしたように、1〜2回目の接種も感染者数と連動していました。世界平均と、特にアジア諸国で。

 👇しかし欧米諸国では接種数と感染者数は必ずしも連動しておらず、

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 特に、👇ここだけ切り取れば、逆に接種数が増えたら感染者数が減ったようにも見えます。(負の相関)

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 👇一方こちらを見れば、接種数が増えたら感染者数も増え、減ったら減るように見えます。(正の相関)

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 なぜか?
 
 簡単なことで、1〜2回目接種開始時、欧米諸国ではすでに自然感染の波が高まった状態だったからです。

 前回、イスラエルの1〜2回目接種時の波における『波の干渉』を説明しました。

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 もともと自然感染の波が起こっていれば、接種によって起こる波は「干渉」を受け、ずれたり、うもれてよく分からなくなったりするのです。

 イメージとしては、波打ちぎわで恋人とバシャバシャと水をかけあうところを想像してください。きれいに凪いだ海なら、恋人の起こす波や水しぶきがよくわかります。しかし、同じことを嵐の海でやったとしたら(シュールですが)、かけられているのが恋人が起こした波のしぶきなのか嵐の波のしぶきなのかわからないでしょう。 

 3回目接種が感染者の波をつくっているのがわかりやすいのは、第一にシンガポールやイスラエルが典型的であるように、3回目接種の前に感染者数がフラットになっていた国です。

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 そしてイスラエルで3回目接種の前に感染者数がフラットになっていたのは、1〜2回目接種後に大波が起きたからです。(ここではまだ1〜2回目接種が大波を「起こした」とは言ってません、ただ1〜2回接種後に大波が「起きた」という事実だけに言及しています)
 

 接種数と感染者数の波が相関するにはもう一つ条件があります。接種者の波と感染者の波が正の相関するのは主に波の立ち上がりです。ピーク以降の感染者数は必ずしも一致しません。

 なぜなら、初期の接種によって立ち上がった感染者の波によって、それに引き続く接種による感染者の波が干渉されてしまうからです。それは第一に、一旦感染した人は一定期間は感染者数としてカウントされなくなるからです。(感染者数は正確には「新規」感染者数ですから、感染が続いている人も毎日検査されて感染者数とカウントされません)
 また検査で確定する感染者数の裏には、検査していない感染者が多数いると予想されます。特に日本のように無症状感染者の割合が多い場合、無症状のまま感染し免疫獲得してしまう人が増えれば、一人の人は新たにウイルスに接したとしても多くは発症しません。発症しなければ検査も受けないので感染者数としてカウントもされにくくなります。
 接種数よりもそうした検査を受けない感染者の広がりが早ければ、接種数は上がっても検査でカウントされる感染者数は頭打ちになり下がります
 それで「波が引いた」ことが〇〇チンの効果のように言われ、例えば今の日本のマスコミは(感染者が)「減った」「減った」と繰り返します。実際は感染者は「減った」のではなく、8月の波でそれまでの1年半分と同じだけまとめて感染者が出ただけなのです。

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 それを「減った」と言うのは、例えば住民税が100万円増やされてもその後消費税が1日100円(年間3万6,500円)減ったら「減税」だと言うようなものです。

 そもそも〇〇チンに感染予防効果があるというなら、接種者が増えたら感染者数の波が立ち上がらないようにならなければおかしいのです。 (少なくともピークが低くなるはずでしょう。それが逆に3倍以上に高くなったのです)


 イスラエルのように急速に接種が進み、接種数の波が速やかに収まれば、感染者の波はピーク後もそれに従います。

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 しかし日本のように接種がダラダラと続く場合は、感染できる人口に限りがあるので、接種数が上がり続けても感染者数は高い値を維持できず、一旦下がります。

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 それは海の波が水量と重力が一定であれば必ず引くのと同じことです。

 繰り返しになりますが、接種が始まる前から、起きた波は必ず引いていました。接種が始まってからよりもはるかに低く。(しつこいですが、〇〇チンに感染予防効果があるというなら、少なくともピークが低くならなければおかしいのです) 

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 接種後の大波の後に感染者の波が引いたのを「〇〇チンの効果だ」と言うのは、津波が引いたのは地震のおかげだというようなものです。
 
 さらに、接種の波が複数のピークを持つ場合、それによる感染者数の波も複数がお互いに干渉します。ですから、単一の波として観察できる(最も強く相関する)のは(何回目であれ)接種開始から最初の波のピークまでということになります。
 
 では、ブースター接種に限らず、接種数の増加が感染者数増加につながることを観察できる条件をまとめてみましょう。

接種数と感染者数の相関が見られる条件

〇〇チンの種類:使用されている〇〇チンはファイザー・モデルナ・アストラゼネカ製などの遺伝子ドクチンである。(中国製等ではその限りでない)

自然感染の波の干渉が少ない:自然感染の波が起こっている状態では接種数と感染者数の波の相関を観察しにくい。

波の立ち上がり:接種数と感染者数の相関が最も強く観察されるのは主に波の立ち上がりから最初のピークまでの間。(接種数がゆっくり増える場合は感染者数のグラフは先にピークアウトする。)

 では、この条件に合う状況でまず世界平均の接種数と感染者数を検証してみましょう。

世界平均の1〜2回目接種の場合

〇〇チンの種類:世界ではもちろん全ての種類の〇〇チンが使われています。これは仕方ありません。

自然感染の波との干渉:世界のグラフ平均で👇1〜2回目接種の波が始まった時、まだ10月からの自然感染の波が続いています。

波の立ち上がり:感染者数が谷になるのは☝️2月20日、その後ピークとなる4月28日までの接種数との相関を調べます。

2月20日〜4月28日の接種者数と感染者数のグラフだけを取り出すと、👇のようになります。

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相関係数は当日で0.8867と高く、13日後に最高のR=0.9796に達します。谷からピークまで切り取れば正の相関があるのは当たり前と思われるかもしれませんが、ただ相関があるだけでなく相関が非常に高いことが重要です。

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 接種数と13日後の感染者数のグラフは細かい凹凸までかなり似ていることがわかります。

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 国別に見てみよう

 世界をひとまとめでは比較にならない、複数の地域での解析が必要、との指摘もありましたので、次は国別に見てみましょう。

 接種数が感染者数を増やすなら、累積接種数の多い国で接種が始まった2021年の累積感染者数が多くなるはずです。(政府や専門家の言う通り接種が感染者数を減らすなら、接種数の多い国ほど感染者数が少なくなるはずです)

 よくマスコミや専門家は波が下がった時だけ直近の新規感染者数と接種率のグラフで接種率と感染者数の逆相関を言いますが、それでは途中で起こされた大きな波が全部無視されてしまいます。

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 累積なら、途中で起こされた波も全てカウントされます。

 世界の人口上位30か国で見てみましょう。(感染者数ほぼゼロで独自不活化〇〇チンの中国除く)

👇人口上位30か国の累積接種数です。(2021年11月25日まで)

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👇人口あたり累積感染者数です。

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☝️現在の累積感染者数から、2020年の累積感染者数👇を引くと、2021年の累積感染者数になります。

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👇散布図を作るとこうなりました。

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 ご覧の通り、明らかな正の相関が見られました。(接種が多い国ほど感染者が多い)

 奇しくも相関係数はR=0.7171

まるで「〇〇チンの感染予防効果?無い無い(7171)!」

 と言っているかのようです。

 「〇〇チンの効果は、接種数ではなく接種率で表れるはず」と言う方もいるのでフル接種率と接種が始まった2021年からの累積感染者数でも見てみましょう。(2回でフル接種のはずだったのに、3回目以降が必要?にされました)

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散布図を作ると👇のようになりました。

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 ☝️接種率と感染者数にもやはり正の相関が見られました。(接種率の高い国ほど感染者が多い)

 接種率と感染者数との相関はR=0.6774、接種回数の方がわずかですが感染者数と相関が強いことがわかります。

 「接種率が高い国はもともと感染者数が多かったのだ」と思う人もいるかもしれないので、現在(2021年11月25日)の累積接種数と接種が始まる前の2020年の累積感染者数👇との相関も見てみましょう。

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 散布図は下👇になります。

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 確かに2020年の累積感染者数とも正の相関はあるものの、接種が進んだ今の累積感染者数より相関は弱いことがわかります。接種数が多い国ほど2021年に感染者数が増えたことがわかります。(特にアジア諸国は接種が始まるまで感染者は欧米に比べればほぼゼロだったのですね)

 低接種国ではより相関が強い

 「接種率が低い国は貧しくて〇〇チンを買えないのだ、そして検査できないから感染者数が低いのではないか」と言う人もいます。もしそれが問題なら、そうした国々では多くの人が謎の呼吸器感染症で亡くなっているようなニュースが流れてもよさそうなものです。しかし実際には、感染者・死者が増えたニュースが出るのは、接種率の高い国ばかりです。(恐怖を煽って打たせたいマスコミは、もし〇〇チンを買えない国で感染爆発しているならその惨状を伝えそうなものですが。👇はNHK)

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 さらに低い接種数の国々に注目すると驚きの事実が分かります。

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 接種数が少ない国だけを散布図にして見ると👇

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 なんと相関係数R=0.9112と、低い接種数のアフリカ諸国ほど、接種数と感染者数に強い相関があることがわかりました。もともと自然感染が少ないからこそ、接種によって感染者数が増加する影響がはっきりすると考えられます。

 以上、世界平均を時系列で見ても、国別に累積感染者数で見ても、接種した国ほど感染者数は減ったどころか、増えている事実、そして、接種数の波が感染者数の波を引き起こしている事実がわかっていただけたでしょうか?

(そんなわけない、どういうメカニズムで〇〇チンを打ったら感染者が増えるなんてことが起こるのか?それはまた次回以降に解説します)

(追記)人口上位30か国の接種数と2021年の累積コ○ナ死者数も正の相関が見られました。多く打った国ほどコ○ナ死が多かったことがわかります。

データは以下、12月24日の累積接種数(まだ25日分出ず)


2021年の死者数は12月25日の累積死者数から2020年12月31日の累積死者数を引きました。


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