アセトアミノフェンも良くない

 解熱剤(NSAIDs)は良くないがアセトアミノフェンはいいんじゃないか?という感染症専門医の記事に突っ込みます。

>熱を下げるメリットは?
>体温が1℃上がるごとに体の酸素消費量は13%増えると言われています。
ですので、例えば心不全などの慢性疾患のある患者さんでは代謝を抑え心不全の悪化を防ぐ意味で解熱薬を使用することは有用であると考えられます。

 なぜ身体はわざわざ熱を上げようとしているのですか?
 必要だからです。熱を上げることで酵素活性や免疫細胞の動きが高まり、免疫力が上がるからです。
 熱を下げると代謝を下げるから有用?
 必要なのに代謝が下がったら治りにくいのです。
 熱を下げて酸素消費量が減るのは使わずに済んでいるのではなく、酸素を使いにくくなっているのです。

 熱を無理やり下げるために汗をかいた体は水とミネラルを消耗し、体は下がった熱をもう一度上げようとするのでまたエネルギーを使います。

 せっかく沸かしたお湯にドライアイスを入れるようなものです。

>NSAIDsでは消化性潰瘍、腎障害などの副作用が多く、アセトアミノフェンでは肝機能障害がみられることがあります。
>解熱薬は用法用量を守って使用するようにしましょう。

 用法用量を守った人でも多くの重篤な副作用が報告されています。👇

「適量のアセトアミノフェン服用後の重篤な肝障害」

 私もご紹介しました。


>重症感染症にNSAIDsを使うと死亡率が高くなる
>動物実験ではすでにインフルエンザに対して解熱剤を使用した方が使用しない場合と比較して1.34倍死亡率が高かったとする報告があり(J R Soc Med. 2010 October 1; 103(10): 403-411.)
>また敗血症の患者に解熱薬を使用した場合に死亡率が高くなったというヒトでの報告もあります(Crit Care. 2012 Feb 28;16(1):R33.)

 もうこの時点で使ってはいけないでしょう?「現在臨床研究が行われており、結果が待たれるところです」とか言ってる場合ではありません。

>アセトアミノフェンの使用は重症感染症が疑われる患者への使用で特に経過に影響を与えなかったというものもあります(N Engl J Med. 2015 Dec 3;373(23):2215-24.)。

「経過に影響を与えない」なら使っていいのでしょうか?
 有用性はない・副作用はあるということなのに。

 このような研究もあります。↓

 アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、偽薬の比較試験で、
 アスピリン、アセトアミノフェンで有意に抗体反応の抑制され(免疫物質が作られにくかった)鼻症状が悪化した。そして有意差は出なかったものの、ウイルス排出期間が長くなった。

 感染症に対して、解熱剤はアセトアミノフェンも含め有害です。
 多くの国でアセトアミノフェンを使うことで感染拡大、重症化、死亡を増やしていると危惧されます。むしろ今、最も警鐘を鳴らすべき薬剤と言えるでしょう。

 熱をクスリで下げようと思うのがそもそもの間違いです。

 頭だけ、濡れタオルなどで気持ち良い範囲で冷やしましょう。(頭を冷やすと身体は安心して熱を上げやすくなります)

 熱は下げるな、下がるのを待て。
 

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