山梨県知事による未接種者への自粛要請は不当な差別
長崎幸太郎山梨県知事が、未接種者に限った外出自粛要請を行いました。
未接種者に限った要請は日本初であり、どういう根拠があるのかを山梨県庁に問い合わせました。
1 法的根拠は新型インフルエンザ等対策特別措置法 第24条9項
私「今朝のNHKニュースで、〇〇チン未接種者だけ不要不急の外出自粛要請というのが出るということですが、まちがいありませんか?」
県担当者「そうですね、気をつけてくださいという(新型インフルエンザ等対策特別措置法 の)24条9項の協力要請の方をお願いしております」
この要請は、新型インフルエンザ等対策特別措置法 第24条9項に基づいて出されたとのことです。
条文は以下です。
9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。
読者の皆様には、以下をお読みいただいて、現在の山梨県の状況が「対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるとき」であるかどうか、未接種者の外出自粛が「対策の実施に関し必要」であるかどうか、各自お考えいただきたいと思います。
2 未接種者への自粛要請の理由は人口あたり陽性率
私「ワクチン未接種者だけに不要不急の外出自粛要請というのは、どうしてそういうことをされるのですか?」
県担当者「人口割合で今、山梨の場合は、東京都と比べればかなり低いのですが、約0.15%の方が、今感染している状況です。
合わせて未接種あるいは1回にとどまっている方の発症率というのが、人口割合で0.29%、約2倍の発症率の結果が出ております」
なぜ未接種者だけに外出自粛要請をしたのかというと、県内の1月1〜22日の統計で未接種者の方が人口あたりの陽性者率が高いからだそうです。
割合が出てきたら、その実数を確かめるのが基本です。
山梨県感染症対策センターに問い合わせたところ、1月1日〜22日の統計で、以下のような結果でした。👇
グラフにするとこうなります。👇
陽性者はほとんど見えません。
2回接種者の方が人口が多いので、割合は低くなりますが、
実数としては2回接種者の方が2倍以上陽性者がいる
ことがわかります。
円グラフにするとこうなります。👇
やはり未接種の陽性者はほとんど見えません。
ほんのこれだけの陽性者のために、16万人以上を差別し、行動を制限しようとしていることがわかります。
陽性者だけを取り出してグラフにするとこうなります。👇
陽性者数の7割近く、68%は2回接種者なのです。
1回接種者と未接種者が合算されていますから、未接種の陽性者はさらに少ないはずです。
これを、人口で割ることで以下のように主張しているのです。👇
しかし、高々0.29%です。軸の最大値を100%にすれば、こうなります👇。
2回接種者の方が分母となる人口が多いので、人口で割れば未接種+1回接種の方が割合が高くなりますが、実際に陽性者が多いのは2回接種者です。
ということは、未接種者に限った自粛要請は、感染者数を減らす根拠にはならないことになります。
飲食店での消費税に例えれば、店内で食べた場合の消費税10%、お持ち帰りで8%ですが、お持ち帰りの金額が店内で食べる金額の2倍であれば、消費税はお持ち帰りの方が高くなります。消費税を減らしたいなら、多いお持ち帰りの金額を減らす方が重要になります。
また2回接種者がワクチンの効果で感染リスクが低いならば、2回接種者を守るために未接種者の行動制限をする必要はないはずです。
未接種者だけの外出自粛は不当と言わざるを得ません。
3 重症化率はどちらもゼロ
知事の要請と県担当者の説明には矛盾があることも明らかになりました。
重症化リスクについて、県担当者の説明は以下でした。
県担当者「本県で言えばですね、今、中等症の方が少しいるだけであとはほぼ軽症と無症状です。99点何パーセントですね」
知事の要請では「(2回接種を終えていない方は)重症化リスクが高く」と言っていますが、重症化リスクはどちらもゼロだったのです。
県発表データが正確なら、知事の「未接種者が重症化リスクが高いから」という自粛要請の根拠は虚偽ということになります。
さらに、99%以上が軽症と無症状なのに、医療提供体制への影響が大きいのでしょうか?
山梨県感染症対策センターの説明によりますと、陽性者のうち約半数は病院での検査、残り約半数は濃厚接触者の検査での陽性とのことでした。
これで医療提供体制への影響が大きいとしたら、それは新型コロナを2類感染症相当にしたままにしているから以外にありません。
それは未接種者の自粛で解決することではなく、政府に2類指定を解除させるしかないのです。
4 今回の要請は長崎幸太郎県知事の発案である。
私「これは知事の発案ですか?」
県担当者「はい、そうです」
私「知事の発案ですね」
県担当者「はい」
今回の未接種者への要請は、長崎幸太郎県知事の発案で行われました。
知事は53才、開成高校、東大法学部卒で大蔵省に入ったとあります。
ここから、基礎的な数学的知識を十分にお持ちの人物であるということがわかります。
5 知事の要請は妥当か?
さて皆様、ここまで事実を確認し、山梨県知事の未接種者への外出自粛要請は妥当であると思われますか?
もう一度、根拠となる法律条文を見てみましょう。
9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。
今の山梨県の状況は、新型インフルエンザ等対策特別措置法 第24条9項が定める「対策を的確かつ迅速に実施するため『必要がある』と認めるとき」でしょうか?
未接種者への外出自粛要請は「対策の実施に関し『必要な』協力の要請」でしょうか?
都道府県対策本部長が「必要があると『認めるとき』」ですから、その判断は対策本部長たる知事の認知の問題であり責任になります。
先に述べた通り、長崎幸太郎山梨県知事は開成高校・東大法学部卒の非常に優秀な頭脳をお持ちの方です。
現状がそうした状況であるかどうか、未接種者だけの外出自粛が感染対策に必要であるかどうかは十分に判断できるはずです。
陽性者はわずか0.18%で2回接種者が多く、重症者は接種歴にかかわらずゼロ、しかも要請を出す前から、感染者数は減ってきていたのです。
その上でそうした判断をしたのであれば、それは意図的な権力の濫用であり、感染対策以外の何らかの目的があることになるでしょう。
その目的とは、接種を羊の追い込みに例えたオーストラリア首相や、
「クソ」から派生したスラングを使って未接種者を「うんざりさせてやる」と言ったフランス大統領同様、
愛知県の大村知事は、「打って打って打ちまくる」と何度も言っています。
その目的は、未接種者に嫌がらせをしてワクチンを打たせること以外には考えられません。
感染を減らしたいのではなく、ワクチンを打たせたいのです。
以上、
未接種者への自粛要請は、感染対策ではなく非接種者へのいやがらせであり、権力を濫用した明確な差別であり、憲法違反です。
放置すれば日本全国に広まり、なし崩し的に人権を奪われるでしょう。
憲法第12条にあるように、
憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の『不断の努力』によって、これを保持しなければならない
のです。
厳重に抗議し、撤回させましょう。
特に山梨県民の皆様には、不当な要請に従って非接種者を差別することなどないよう、くれぐれもお願いいたします。
実害に遭われている方は、ぜひこちらへご相談ください。👇
(なお、この記事を書くにあたり、山梨県知事政策局の担当者の方々、山梨県感染症対策センターの担当者の方々は大変丁寧に応じてくれました。心より感謝いたします。
問い合わせや抗議をされる方はどうか礼節を尽くし、暴言などないようにくれぐれもお願いいたします。)
(追記、山梨県のデータで割合にしても未接種者の方が感染率が高いことには疑問があります。海外や日本の自治体で接種歴別の感染者数を公表しているところでは、接種者の方が感染率が高いからです。日本でも1〜2回接種が行われた昨夏、そして3回目接種が行われている今、いずれも感染者のピークは接種前よりはるかに高くなっています。接種者の感染率が下がるなら、あり得ない現象です。)
イギリス・スコットランド
デンマーク
スウェーデン
イスラエル:接種が増えるごとに感染者が激増しています。
日本:日本でも接種が増えるごとに波が高くなっています。
浜松市:接種者の陽性者の方が多く、症状も強く出ています。
(追記)1月26日確認。山梨県庁HPの未接種者への自粛要請ページが削除されました。
と思ったら、URLを移動してました。少し改訂されていますが、本質的に変わりません。(「自粛してください」が「お控えください」に)
改定前
改定後
1月25日、知事が記者会見で以下のように語ったそうです。
「説明に対しまして、舌足らずであったことをこの場をお借りいたしましてお詫びしたいと思います。」
と説明不足を詫びていますが、要請を撤回するとは一言も言っていません。
改訂版でも、ワクチンに感染予防効果があり接種が必要であることを前提とし、接種圧力を強めることを求めています。
本質的には何の解決にもなっていません。
再び確認させていただきましょう。
(追記)続編
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