乳がんと乳がん死を減らす方法~検診を受けるより大切なこと~ 3. 欧米で乳がん死が減っているから日本でも検診で乳がん死亡率が下がるとは言えない


ポイント
乳がん検診受診率の高い欧米では、今も日本よりはるかに乳がん死が多い

乳がんを減らす行動
乳がんは早く見つけるよりも、かからないようにする。

 よく言われるのは、日本の乳がん死亡率が上昇するのは乳がん検診の受診率が低いからだ、欧米は乳がん検診の受診率が高いから乳がん死亡率が減っているのだと。
 だから、乳がん検診受診率をあげなければならないのだと。


 これもウソです。

 考えてもみてください、日本で44.9%(2016年 国民生活基礎調査)の対象女性が受診しても死亡率が全く減らない(増えている)乳がん検診です。
 厚労省のキャンペーン通りに検診を受ける人が50%を超えたり、さらにはアメリカ並みの80%になったからといって、急に乳がん死が減り始めると思えますか?


(しかも、乳がん検診が始まる前、1960年代には乳がんで亡くなる人は今の5分の1もいなかったのです。)
 アメリカの乳がん検診受診率は長らく80%を超えています。
 しかし2015年の全米の乳がん年齢調整死亡率は10万人当たり20.3人です。

(参考ウェブサイト1)
 1990年まで一桁,増加を続けて2016年に12を超えた日本からすれば、以前として高いままなのです。(参考ウェブサイト2)


 アメリカで乳がん死が減っているから、日本も乳がん検診受診率を上げれば乳がん死亡率が下がるというのは、全くのデタラメだということになります。
 では、なぜ乳がん検診を受けると乳がん死を避けられるとまことしやかに言われるのでしょうか?
 乳がん検診が有効とされる根拠は、 RCTという乳がん検診を受けて発見された乳がん患者と、それ以外の乳がん患者の死亡リスクを比較した海外の研究によります。
 乳がん検診で見つかった乳がん患者の方が、一定期間の死亡リスクが低かったのです。(それでも死亡リスクは最大20%前後減らすだけですから、日本で言えば、もしその通りに有効であったとしても、100%の人が乳がん検診を受けても年間14,000人が11,200人に減るだけです)(参考文献1)
 こうした研究はいくつもあり、おそらく間違っていないでしょう。
 しかし、だから乳がん検診が乳がん死を減らすというのは早計であり、間違い②になります。


 次回は、
 間違い②乳がんは早期発見早期治療で95%以上治る
 が間違いである理由について説明します。

👇につづく


(参考ウェブサイト1)CDC United States Cancer Statistics Changes Over Time:Female Breast
https://gis.cdc.gov/Cancer/USCS/DataViz.html
(参考ウェブサイト2)国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス グラフデータベース
           http://gdb.ganjoho.jp/graph_db/
(参考文献1)日本の乳癌検診の歴史と課題 日乳癌検診学会誌(J.Jpn.Assoc.Breast Cancer Screen.)209,18(3)OCT:211-231 https://www.jstage.jst.go.jp/artic…/jjabcs/…/3/18_3_211/_pdf


(Facebook 2018年10月29日より)

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