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Q&A なぜイベルメクチンを推さないのか?

Q. イベルメクチンに否定的なのは何故?

 私はこの春にイベルメクチンを医師に処方してもらい効果を実感しました。重い倦怠感と食欲不振がイベルメクチンを服用した翌朝には改善しました。
 イベルメクチンによって症状が改善した人間がいるのに否定する理由を説明してください。

A. 否定しているわけではありませんが、お勧めはしません。

 誤解されているようですが、私はイベルメクチンを否定しているわけではありません。イベルメクチンはダニなどに対する駆虫薬としては本当にすばらしいクスリだと思います。

 コ○ナに関しても先月、強い有効性を示す論文が出ました。

 南米のペルーでイベルメクチンを使って、死亡率が74%下がったというのです。

 ペルーは人口あたり累積で日本の48倍の死者を出しましたが、昨年8月イベルメクチンが普及してから死者が激減し、新大統領がイベルメクチンを制限してから死者が激増したとのことです。(減っても日本より多いですが)

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 プレプリント(査読前)ながらランダム化比較試験のメタ解析でも中等症〜重症患者の死亡率を9.5%から2.1%に77%減少させたという結果が出ています。

 ならばすぐにイベルメクチンを使うべき?

 いいえ、それでもイベルメクチンをコ○ナに使うことを私はお勧めしません。

 なぜ私は推さないのか?なぜ私は幼いのか?

 主に3つの理由があります。

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①副作用・耐性のリスクがあるから。

 イベルメクチンには副作用があります短期的には下痢や悪心・嘔吐、長期的には肝臓に負担がかかります。まれながら中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)という重篤な副作用も起こります。

 またイベルメクチンはマクロライドという抗生物質の一種です。

 抗生物質は使えば使うほど薬剤耐性菌や薬剤耐性ウイルスが出現します。

 耐性とはクスリが効かなくなるということです。クスリに攻撃されるほどに、ウイルスはそれに耐えるように進化するからです。もし仮に今のコ○ナウイルスにイベルメクチンが効いたとしても、皆が安易に使っていればすぐ耐性ウイルスができるでしょう

 質問者さんも前回は効いたとしても、次回はそれほど効かないかも知れません

 例えば、タミフルというクスリを知っていますか?
 多くの人が、いまだにタミフルがインフルエンザの特効薬だと思い込んでいます。確かにタミフルはインフルエンザ早期に使えば、すぐに熱が下がって楽になった気がする人は多くいます。だから多くの人はクスリが効いた、すばらしい特効薬だ、と思ってしまうのです。

 ところがちゃんと実験してみると、タミフルは17時間ほど熱が下がるのを早めるだけで、重症化する人を減らしていませんでした。つまり、飲んだら治ったと思った軽症な人は、飲まなくてもじきに治っていたのです。

 逆に、飲んだ人の脱水や脳症のリスクを増やすこともわかりました。重症化する人は本当は増えたのですが、治った人はそれを知りません。(処方した医者もあまり知りません。私のような救急診療をする医者はそういう患者を多く診ます)

 また、自分の免疫で治った場合と違ってタミフルを使って治した場合は十分な免疫がつかず、もう一度インフルエンザにかかりやすくなるようです。毎年インフルエンザにかかる人、さらには1年に何回もインフルエンザにかかる人が増えました

 そして、タミフルその他のクスリに耐性を持つインフルエンザウイルスも増えてきました。(2009年1月にはインフルエンザ株の98%がタミフル耐性だったと報告されています)

 耐性ウイルスにクスリを使うと、効果はないのに副作用だけは出ます。(人間はタミフル耐性に進化できません)

 実際にタミフルが2001年に保険適用されてからコ○ナが始まる2019年まで、インフルエンザの流行は拡大し、死者も増えていきました

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 さて、タミフルは確かによく効いたと感じて欲しがる人が多いクスリですが、それを使ったことは良かったのでしょうか?

 同様のことは、イベルメクチンにも起こり得るのです。

 またイベルメクチンはクスリですから、正規には医師に処方してもらう必要があります。

 さらにコ○ナに対して使われる量はまだ日本では明確な基準はないのですが、寄生虫に使われてきたより35倍などの非常に多い量が使われているようです。(追記:疥癬には1回投与で終了なので、同じ量でも3日飲めば3倍、2週間飲み続ければ14倍になります)

 予防の名目で長期間使う人もいるようですが、その安全性も効果も全くわかっていません。

 理論上、イベルメクチンは尿中には排出されず、肝臓で代謝されるだけですので、肝臓に負担をかけ、代謝が間に合わなければ体に蓄積していくと考えられます。それはコ○ナ以上に危険なことかもしれません。

②他にもっといい治療法があるから。

 イベルメクチンはペルーで死者を74%減らしたかもしれませんが、ビタミンDはスペインのランダム化比較試験で重症化を96%減らす(98%防ぐ)効果が出ています

 ビタミンDは誰の体にも必要な栄養素ですから、適切に使えば副作用はありません。(牛乳やカルシウムサプリと一緒に撮ったり、過剰に使ったり、ビタミンKやマグネシウムなど他の栄養素の不足がなければ)

 ビタミンDの効果は菌やウイルスを攻撃するのではないので、耐性菌・耐性ウイルスが出ることもありません。

 ビタミンDは免疫力を上げてその人自身を強くし、コ○ナにかかることも減らしてくれますし、コ○ナ以外にも多くの病を減らしてくれます

 イベルメクチンは免疫力を上げませんから、タミフル同様、クスリで治してもまたすぐかかるかもしれません。(ペルーでイベルメクチンを制限したら死者が急増したのは、人々が免疫を得られなかったからとも考えられます)

 さらに、ビタミンDは処方箋の必要なく、特許もないのでとても安く手に入ります

 表にするとこうなります。

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(価格はイベルメクチンは12mg1錠140円 x 3錠 x 10日、ビタミンD 1粒1万IU120粒1080円を週2粒:1080円÷120粒 x2粒 x 2週 で計算。正規薬価3mg1錠652.6円では同量のイベルメクチンは7万8000円強になります。)

 イベルメクチンとビタミンD、どちらが良いと思いますか?

 質問者さんはビタミンDを適切な量使っていたでしょうか?

(追記;質問者さんからご連絡いただき「(いしいの講演会後)ビタミンD5000IUを服用したけれど、便秘になったため中止した(牛乳を併用していた)」とのことでした。ビタミンDは腸からのカルシウム・マグネシウムの吸収を促進するため、便に残るミネラルは少なくなります。マグネシウムは下剤としても使われるように便の水分を増やします。ミネラルが枯渇した便は水分も少なくなって小さく硬くなりやすい、ひどければ便秘になる、という仕組みです。味噌汁はじめ、マグネシウムが豊富な食事にすることでビタミンDサプリを摂っても便秘を避けることができます。後日別にまとめます。)

 なぜ一番安全で効果的で安価な方法があるのに、それを無視して違う方法を探すのでしょうか?

 目的はウイルスを倒すことではなく、人が健康に生きることではないでしょうか?

 ビタミンDと併用あるいはビタミンDでも重症化を防げなかった例に使うならまだしも、ビタミンDを無視してイベルメクチンはないでしょう?

 ビタミンDを無視する人が多い理由は、「クスリ」じゃないと嫌?医者に処方されないと嫌?高価じゃないと嫌?いろんな気持ちや事情があるのでしょうけれど、私にはよくわかりません。

③コ○ナより必要とする人がいるから。

 イベルメクチンが素晴らしい薬であるからこそ、コ○ナに使うべきではないとも思います。

 今世間はコ○ナ一色で、人生で一番大切なことはコ○ナ対策(👈実は拡大策)になっている人が多くいます。

 しかし本当はコ○ナは風邪の一種で、コ○ナで死んでいる人は死者全体のごくわずかです。(今年ドクチンで死んでる人はずっと多いですが)

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 ただメディアが恐怖を煽り、ドクチンでウイルスが濃くされているから怖く感じているだけなのです。

 そもそもビタミンD血中濃度を高く保っていれば健康な人は発症しません。ドクチンが始まるまでは、PCRされなければ気づきもしない人がほとんどでした。

 高齢者や免疫が低下している人は、何をしても重症化のリスクがあります。それはイベルメクチンを使っても変わらないでしょう。

 ドクチンによって251倍濃いウイルスが撒かれてからは危険性は増しましたが、それは多くの人が恐怖煽りに乗ってドクチンを打ったからです。

 今最も必要なことはイベルメクチンではなくドクチンを打たれる人を減らすこと。次善の策として、打たれてしまった人のドクチンウイルスを薄めることです。

 世の中には、イベルメクチン以外ではなかなか治せない病気があります。

 例えば疥癬(かいせん;ヒゼンダニ)というダニの一種は、全身がひどくかゆくなり、人にもうつるため院内感染を起こすとても厄介な病気です。

 コ○ナの治療や予防の名目で多くの人がイベルメクチンを安易に使えば、そうしたイベルメクチンでしか治せなかったダニや寄生虫が、イベルメクチンに耐性を持つことが増えるでしょう。

 イベルメクチン耐性疥癬(ヒゼンダニ)はすでに報告されています。

 ダニや寄生虫はコ○ナなどのRNAウイルスに比べれば進化が遅いですが、それでもイベルメクチンの乱用が続けばクスリに慣れてしまいます。

 寄生虫にイベルメクチンが効かなくなったら、それはとても恐ろしいことです。

 イベルメクチンをいくら使っても、コ○ナその他の風邪を撲滅することはできないでしょう。

 ペルーでは確かに74%死者が減りましたが、それでもペルーの人口あたり1日コ○ナ死者はまだ日本の倍以上です。(そして使用を制限したら死者が急増したということは、免疫力を高めた場合とは全く話が違います)

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(ペルーの死者が減って日本の死者がドクチン開始以来増えているのは確かですが、それはドクチン接種率がペルーは日本の約半分だからかもしれません)

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 長期的には、私たちはただ寄生虫への特効薬を失うだけになるのではないかと危惧します。

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 以上3つの理由から、今のところ私はコ○ナを恐れる人にイベルメクチンを勧める気にはなりません。(98%重症化を防ぐビタミンDを使っても重症化を防げない2%に限っては使用してもいいかもしれません)

 繰り返しになりますが、効いたと感じる人がいることは否定しません
 イベルメクチンを処方する医師も否定はしません。(私も保険診療で処方が認められれば使わざるを得ないでしょう)

 おそらく、イベルメクチンが本当に有効であれば有効であるほど、ウイルスたちは早期に進化して耐性を獲得するでしょう。そして免疫力が低い人は、コ○ナであろうとなかろうとなかなか治らない、不調が続く...そして中には命を落とす人もいるのは変わらないと思います。

 「ごちゃごちゃ言わないでさっさとクスリだけ出せばいいのよ!」

「あんたが怖くないって言ったってテレビ観てる私はコ○ナ怖いのよ!」

 何をどんなに説明してもそう言われるのはわかっています。恐怖に駆られた人に理屈は通じません。

 私は10年以上、「タミフルをお勧めしない」「解熱剤を使わないほうがいい」「コレステロールは薬で下げないほうがいい」という説明をしては、患者に嫌な顔をされてきました。

 患者が欲しがるクスリを山ほど出して帰すのは簡単です。患者から喜ばれ、売り上げにつながり、クスリ屋さんからリベートももらえます。でもそれをしたら医師はただのクスリの売人に成り下がってしまいます。(ドクチンやPCRで儲けている人たちみたいに)

 現代日本では医師としてそれが「普通」だということも身に染みてわかっています。

 (子ども達の多くもドクチンを打たれることを自ら望むようになってしまった今、自分の無力さを痛感しています)

 それでも私は人と社会の健康につながると納得できる医療をしていきたいのです。それは私のエゴかもしれませんが、どうかお許しください

 


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