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日本年金機構 横行するパワハラ 隠蔽・黙認する巨大官僚組織体質

 日本年金機構は、厚生年金や健康保険等にかかる業務を担う特殊法人です。しかし、「消えた年金問題」をきっかけに、社会保険庁が解体され、その業務を引き継ぐ形で2010年に発足しました。
 連帯ユニオン関西ゼネラル支部では、日本年金機構の不当労働行為について、大阪府労働委員会で係争中です。団体交渉も継続しています。紛争の発端は、大阪府内にある某年金事務所でのハラスメントでした。
 特に問題だったのは、徴収課長。職員らの話によると、新任早々で「自分はこんな小さい事務所ではなく、大手前や天王寺など大規模事務所の管理職になる器の人間だ」等と豪語し、飲み会の席では「一般職の時に、同僚や特定の契約社員に『死ね!』と大声で怒鳴り、辞めさせたことが何度かある」と自慢げに吹聴するような人物です。
 気に入らない職員に対しては、些細なミスを取り上げては「お前はなめているのか」などと長時間怒鳴り続け、2人で飲みに行くよう誘われて断ると、「断るってことは、これからどうなるかわかっているのか!」と恫喝されたということでした。ターゲットにされた職員は、退職届を出すまでに追い詰められました。
 しかも、所長や副所長、他の課長などは事実上黙認。ともかく波風を立てたくなかったのか、むしろ、改善などを求める職員は、評価を下げられるなどしたとのことです。
 5人の職員は、かねてからのハラスメントに耐えかねて、2018年12月、本部の労務管理グループに連名で通報しました。5名は報復を恐れて、匿名を希望していました。しかし、翌年2月、本部労務グループの担当者が同年金事務所に来て、5人を1人ずつ呼び出してヒアリングを実施。もちろん、誰がハラスメントの通報を行ったかは丸わかりです。
 そして、それから3か月以上も経過してから、通報者の1人に労務管理グループからメールが届きました。その内容は、「日本年金機構の定めるハラスメント行為と認定される事実はありませんでした」というもの。しかも、「ハラスメントに関する調査内容や判断・結論に至ったその具体的な理由・内容までは、関係者のプライバシーに関することになりますので、公開や公表はしない前提で調査しておりますことから、詳細には申し上げられない」とされていたのです。
 訴えた5人の内2人は2019年4月に、3人は同年10月に他の年金事務所に配転。そのうち1人は、他府県の多忙な事務所に配転となり、かねてからのストレスも相まって、精神に不調をきたし、長期の休職も余儀なくされました。日本年金機構としては、ハラスメントの事実は頑として認めず、訴えた職員を全員飛ばして、臭いものに蓋をしたということなのでしょう。
 連帯ユニオン関西ゼネラル支部は、この問題について、昨年8月から日本年金機構と交渉を始めましたが、日本年金機構はのらりくらりの対応を続けており、平行線のまま現在に至っています。また、不当な配転の問題についても交渉しましたが、日本年金機構側は、「人事異動の問題については一切答えられない」という態度でした。
 相手は社会保険庁の流れをくむ巨大官僚組織です。組織体質は容易には変わらないと思います。けれども、連帯ユニオン関西ゼネラル支部は、本当に納得して働ける職場、ハラスメントのない職場を目指して、闘い続けます。(連帯ユニオン関西ゼネラル支部・書記長 大橋直人)

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