【国務省から438億㌦】米国の「対テロ戦争」で荒稼ぎしたAmazon/Google/マイクロソフト

アンドレア・ガーマノス(コモンドリームズ専従記者) 翻訳・脇浜義明

 3つの政治団体(人種&経済に関する行動センター、Mパワー・チェンジ、リトルシス)は9月9日、次のような報告書を発表した。―アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどの巨大IT企業は「データベースからドローン」にまたがるツールを米国政府に提供し、米政府の20年間にわたるテロ戦争を支えて大儲けしてきた。
 例えば2001年10月24日、議会が通過させた「米国愛国者法」によって、大手テクノロジー企業が個人データのブローカーになるドアが開かれた。個人データを自国や外国の政府省庁や企業に売り渡し、データエコノミー時代を築いたのである。
 さらに報告書は、連邦政府契約に関する資料を使って、大手テクノロジー企業がどのように「テロ産業」で大稼ぎしたかを掘り下げている。以下は、報告の概要である。

ーー大手IT企業に依存した政府機関

 4機関(国防総省、国土安全保障省《DHS》、国務省、司法省)は、外交政策関連の機関である。これらの機関は2004年以降、大手テクノロジー企業に少なくとも445億㌦支払った。特に、国務省の支出額は438億㌦と圧倒的だ。
 大手テクノロジー企業との契約の伸びが大きいのはDHSで、2007年から2019年の間に、契約は50倍に増大した。マイクロソフト社は、2005年にDHSと契約し、クラウド・コンピューティングとITサービスを着実に増やし、2020年には2300万㌦の5年契約を得た。
 他にもマイクロソフトの懐を膨らませた可能性が高い契約がある。国防総省が「マイクロソフト向き」と決めて契約した数十億㌦のクラウドコンピューティングとか、今年初めに発表したデーターセンターに関する34億㌦の10年契約などだ。
 2015~18年にかけて、アマゾン社のDHSとの契約はほぼ9倍に増大し、2012年から2019年にかけてアマゾン社の下請け契約は20倍に増加した。2004年以降のアマゾン社の政府との契約・下請け契約の86%は、「対テロ戦争」に関連する政府機関とであった。

ーーテクノロジー企業に支出した大金は人道支援に使うべきだった

 政府が大手テクノロジー企業に支出した440億㌦は、もっと他に有意義な使い道があった。例えば「アフガニスタンの全国民に15回以上にわたって食糧供給や栄養援助を提供できた」、あるいは「イエメンの人々に1080億ポンド以上の食品を分配できた」、「イラクの全国民に住居、医療、食料、水を25回以上供給できた」のではないかと指摘している。
 テロ戦争で中心的な役割を担っていた役人が、大手テクノロジー企業へ天下りしたケースもある。例えばFBIの国家テロ対策センターや、作戦技術課に20年間勤務していたベテランのスタッフが、今やアマゾン・ウェブ・サービスの安全主任担当官に成り上がっている。
 大手テクノロジー企業各社のCEOに、次のことを要求し、読者の署名を求める。対テロ戦争関連の契約を止め、この戦争政策と政府とシリコンバレーの間の癒着のために不当に苦しめられてきたムスリム・黒人・褐色人社会に賠償すること。
 20年間にわたる企業の戦争共犯行為を見過ごすわけにはいかない。9・11記念日にあたり、シリコンバレー産業界に戦争からの投資引き上げを求める要求書を提出する。

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