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イスラエルの歴史家呼びかけ 言論弾圧に抗して 親イスラエル・ロビーに勝利しよう

イラン・パぺ 

7月7日「パレスチナ・クロニクル」/翻訳:脇浜義明

イスラエルのガザへのジェノサイドが続く中、それに並行してパレスチナに関する言論活動への弾圧が強化されている。一般国民は、主流メディアが提供する歪んだ報道以外に真実を知ることが困難になっている。
 明らかに我々は、親イスラエル・ロビーが現在進行している「ナクバ」という歴史的事実を覆い隠すキャンペーンにはまっている。このキャンペーンは、「昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃の歴史的背景や倫理的動機に触れるな」と、西側のメディアや研究者を脅迫することから始まった。脅迫は、歴史的背景に言及した国連事務総長にも向けられた。
 10・7以降の有形無形の言論活動弾圧を分析することは、重要な問題を提起する。それは、親イスラエル・ロビーがなおも強力か、それとも10・7が彼らの弱さを暴露したのかという点である。
 この問題に関して、私は親イスラエル・ロビーの歴史を500ページの論文にまとめた。歴史こそが真実を伝え、現在ロビー活動の性格の認識と将来の予測を可能にするからである。
 10・7の後、すぐに歴史的脈絡に触れるのが禁止されただけでなく、イスラエルの行動への批判も禁止された。グローバル北では、パレスチナの正義のための学生運動団体に入っているだけで、大学から追放された。当局は学生が講師として招いたイスラエルを批判する知識人の入国を拒否した。イスラエルを批判するジャーナリストや公務員も、彼らは同時にハマスの10・7暴力を非難しているにもかかわらず、弾圧された。
 最初の弾圧の波は、人権に関する映画上映会や集会を中止させる弾圧だった。まるで、「パレスチナ」という言葉が「テロ」と同義語であった1960年代に戻った感があった。しかし、ガザの虐殺風景が米国のテレビで報道されて、その同義語の嘘が暴露された。だが、検閲と弾圧は相変わらず続いた。

真実語れば私達は勝利する 失うものがあるのはイスラエル

ネット世界でも言論抑圧がある。メタ(旧称・フェイスブック社)は、フェイスブックとインスタグラムで、パレスチナ支援の声を消している。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、パレスチナ関連のコンテンツが1000件以上削除された、と報告している。一つのコンテンツの削除だけでも大問題なのに。
 立法機関でも言論抑圧が強化されている。米議会は、「反ユダヤ主義啓蒙法」を成立させようとしている。反ユダヤ主義に関してはすでにいくつも法律がある。それでも新しい法律を作る狙いは、イスラエル批判を「反ユダヤ主義犯罪」として、憲法修正第1条の保護から外すためだ。ひどいのは、イスラエルに関する二重基準の人物を批判するのも「反ユダヤ主義」と規定されていることだ。
 このような法律が成立すると、西側世界でパレスチナ人の人権を訴えるデモに対する警察の暴力が激しくなり、職場や学校でもパレスチナ人に同情を示す人が追い出される。英国でも「ネットで親パレスチナ・メッセージを上げたら、不当な扱いを受けた」として裁判で争っている事例が多くある。私の著書『パレスチナの民族浄化』のフランス語版を出版しているファイアー社(2023年にシオニスト富豪に買収された)は、出版中止にした。
 このように、親パレスチナの意見やガザのパレスチナ人を支援する言論への抑圧は、猛威を振るっている。それらは倫理や正義感によるものでなく、親イスラエル・ロビーが気に入らないものをマフィア的な恫喝や暴力や脅迫で黙らせる蛮行だ。
 しかしロビーがいくら恫喝で黙らせようとしても、パレスチナ連帯の声と行動は果てしなく増大し、彼らは抑えることはできない。
 親イスラエル・ロビーには、増大するパレスチナ支援を抑えるほどの力と資源はない。だからこそ彼らは、異常なまでに破壊的なやり方に走っている。それは、彼らの力ではなく弱さである。
 私がこの原稿を書いているとき、イスラエルがヌセイラト難民キャンプにあるUNRWAの学校を4回目の攻撃をしたニュースを読んだ。学校にはガザの他の場所から命からがら逃げてきた避難民がいる。イスラエルに破壊された瓦礫の中から子どもたちの遺体を掘り出す光景を想像して、心が痛んだ。親イスラエル・ロビーの圧力に屈しない人々も同じだろう。人々はパレスチナ人と同じように、圧力に屈せず、真実を権力者に向かって語り続ける。
 真実を語っても、パレスチナ人は失うものがない。多くを失うのはイスラエルである。

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