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【市民サービス削る維新】激減する職員と消える道路の白線

編集部・かわすみかずみ

 大阪市内で、公道の白線が消えているところが多い。危険だ。市民の要望に答えて、大阪市に取材した。
 「谷町四丁目駅」(大阪市中央区)付近は、多くの車が行き交う。片側3車線の道路には、荷降ろしのトラックが駐車していることも多い。また、法務局や府庁など、官庁が並ぶ地域柄、駐車場待ちの渋滞もある。
 近辺を歩いてみると、交差点付近や子どもたちの通学路など、歩行者優先箇所には白線の区画線が引かれているが、車道との区画などは、かなり薄いところも目立つ。メインストリートを逸れると、白線がほとんど見えないところも多い。ここまで生活関連予算を減らしているのかと驚いた。

職員を減らした果てに

大阪市によれば、舗装道路維持の予算は5年前からほとんど変わっていない。だが、職員数は大幅に変化していた。大阪市は、2〜3区を1つの工営所が管理する。例えば市岡工営所は西区、中央区、港区を管理している。同工営所の職員数は2010年には116人(内技能職99人)だったが、今年度は66人(内技能職45人)と半減している。市職員に「これだけ減ったら仕事が回らないですよね?」と聞くと、「効率化しています。どうやったらできるか、考えながらやっています」との答えが返ってきた。残業のことや、しんどさを聞くと、上司の顔色を伺う工営所職員に大阪市のひずみを見た。
 昨年、野田工営所で1年間に道路補修が必要になった箇所は10箇所あった。補修箇所は職員による巡視と、市民からの要望によってあげられる。職員による巡視は、業務の行き帰りに確認することが多い。巡視だけをする時間は、なかなか取れない。野田工営所では要望であがった5件は年度内に補修できたが、巡視によるものは来年度に持ち越した。
 各工営所の業務は、概ね3つある。①道路や階段の補修など、②交通事故による障害物の撤去、③道路や河川施設の不正使用などの指導だ。各工営所で、この3つの業務と工事の見回りや指導を各区ごとに行っている。
 市岡工営所では、45人の技能職が西区、中央区、港区に割り振られ、さらに3つの業務と工事の見回りをこなしていく。台風後の倒木や障害物撤去など、緊急作業も入ると毎日大変そうだ。区と言っても、広くすべてを見回ることは難しい。建設局職員は「最近、市民から「白線が消えかかっている」という声が多いと感じています」と漏らした。
 平野区の男性(50代)は、「この前、大阪マラソンをテレビで見ていたんです。ヘリコプターからの映像に、選手が走るところだけ白線が引かれているのが見えてびっくりしました」と言った。確認はできなかったが、なんとなくわかる気がした。大阪市は、技能職の人数が他の市町村より多いことを理由に、今後も減らす予定だ。市民サービスを削ったお金はどこに消えるのか? ざらざらした思いだけが残った。

(人民新聞 10月5日号掲載)


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