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【34億ドル】中国政府がアフリカ17ヵ国のローン返済を免除 

8月20日「マルチポラリスタ」 ベン・ノートン(米左派ジャーナリスト)
翻訳・脇浜 義明

 中国政府は、アフリカ17カ国に対し、「無利子融資していた24件のローンの返済を免除し、アフリカ諸国との友好協力関係を一層深める」と発表した。これは、すでに2000~2019年の間に行った34億㌦のローンの返済免除と、150億㌦のローンの返済条件見直しの追加措置である。
 中国はこのように貧しいアフリカ諸国への貸し付けの免除や返済条件の緩和を行っている。しかし米国など西側は、中国のアフリカにおけるインフラ建設を、「借金地獄外交」というプロパガンダで悪魔化している。
 当然、中国は反論。8月18日、中国の王毅外相はアフリカ諸国とアフリカ連合の指導者たちと会談し、アフリカと中国の関係はお互いに利益がある「多国間協力」モデルにしよう、と提案した。「アフリカが歓迎するのは、人々の幸せを大きくする相互関係であって、地政学的な優位を競い合う大国間の対立の舞台になることではない」と言った。
 王毅氏は、アフリカ連合がG20に参加することを中国政府は支持し、冒頭で述べたように2021年末に返済期限が来ていたが、「返済未納のローンを帳消しする」と述べた。さらに、アフリカとの通商を強化し、アフリカの中国向け輸出品の98%を無関税にして、アフリカ商品の競争力を高める条約を12カ国と結んだ。さらに、アフリカへの食料、経済、軍事を増やし、新型コロナ対策援助も約束した。
 アフリカは、中国の「一帯一路」構想、南の発展途上国と結び付き、世界経済の中心を東方移行させるインフラ・プロジェクトにとって重要な役割だ。「西側帝国主義の覇権主義的な抑圧に対し、中国とアフリカは手を組んで抵抗し、国際的公平と正義を実現しよう」と、王毅は呼びかけた。

中国とは全く異なる米国の対アフリカ姿勢

 米国の対アフリカ姿勢は、中国とは全く異なる。米の国連大使リンダ・トマス=グリンフィールドは、8月初旬にウガンダとガーナを訪問した。彼女は「西側はロシアを制裁しているので、ロシアと貿易するな」と要求し、「もし制裁方針に違反してロシアと貿易すれば相応の処罰を受ける可能性がある」と脅迫した。
 アントニー・ブリンケン米国務長官は、コンゴ民主共和国、ルワンダを8月7~11日に訪問。中国・ロシアとの関係を止めるよう要求した。米国は、「中国がアフリカ諸国を、借金地獄で縛って支配している」というプロパガンダを第三世界に流し続けている。
 しかし、「マルチポラリスタ」が以前にスリランカの経済危機を調査した。それによると、南の発展途上国の借金地獄の原因は、主に西側政府からの借金、西側の金融機関や銀行やハゲタカ・ファンドであることがわかった。
 英国政府系メディアのBBCでさえ、スリランカに関する中国の借金地獄外交を調査した結果、渋々それがデマであることを認める報道をした。「多くの専門家が『中国の金融貸付を利用して従属させる政策に警戒せよ』と言っているが、調査の結果、それは嘘であった」とBBCのベン・チューが語っていた。
 同じように、ジョン・ホプキンズ大学とハーバード・ビジネス・スクールの主流経済学者たちは「中国の借金地獄外交はフェイクである」と、体制側の有力誌アトランティックで発表した。
 米政府の中国に関する言説は大噓で、「私たちの研究では、中国の銀行はアフリカ諸国へのローンの条件を債務者に有利なように改訂するなどしている。決してアフリカの資産を担保に取るようなことはしていない」と述べている。

(人民新聞 9月20日号掲載)

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