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職員削減のせい?万博絡み? 切り倒される大阪市内の公園の木。

編集部 河住 和美

 大阪市の女性(70代)から、「市内の公園の木が大量に切られているので、調べてほしい」という依頼を受けた。女性は、公園に行くたびに切られた木をスマホで写しており、何枚もの写真を私に示した。多くの木は根元から伐採され、根っこしかない状態だ。
 事実確認のため公園に行った。大阪城公園(大阪市中央区)では、入口近くの道路に面したところで、根元から伐採された3本もの木を見つけた。お堀の際にある木も、幹の上半分が切られている。まるで両手を広げて天を仰ぐような木の姿に、哀れさが漂う。十三公園(大阪市淀川区)でも道路に近い場所で根元から切られた木を発見。他にも枝を無惨に落とされた木が何本かあった。
 何人かの市民に木が切られている理由を尋ねると「人が足らないんちゃいますか?」という答えが多かった。十三公園事務所に確認すると、「市が契約した業者が剪定しており、人員不足という状況はない」との回答だった。
 大阪市内の公園は、府営公園(住吉公園、住之江公園)、市営公園(大阪城公園、長居公園など)、区営の児童遊園に分かれる。府営公園は現在、指定管理者が管理している。市営公園は指定管理者管理、公園事務所管理に分かれる。児童遊園は地域のボランティア団体が管理する。
 指定管理者は自前で樹木医や剪定業者を雇うが、市がその内容をどこまで確認できるかは不透明だ。特にPMO方式のように公園の収益で管理を賄う場合は、売り上げ高が変化すれば、管理の質も変わる。また、公園の収益は指定管理者の懐に入るため、支出を抑制する可能性もある。
 大阪市は一昨年発表した、「市政改革プラン3・0」政策の中で、他都市より多いとされる技能職員を400人削減する方向を示した。公園の樹木管理は、言うまでもなく技術職だ。市の公園管理に携わる男性職員は、電話での取材に「職員が減らされ、残業がとても増えました。家のローンがあるので辞められず、しんどいです」とため息をついた。

ーー矛盾抱える維新の政策

2020年11月、市は「公園の樹木の安全管理強化」と称して、「3年間で9000本の木を伐採する」と発表した。巨木になりすぎた木や葉が落ちやすい木、早く育つ木を伐採し、育ちにくい木に植え替える計画だ。
 この計画の前に、府では「2025万博の桜」というプロジェクトが19年から立ち上がっている。25年の万博までに2025本の桜を、府内の公園などに植えるというものだ。2つの政策の関連性は確認できないが、無関係とも言い切れない。
 市内の樹木医に聞いたところ、桜は植樹した翌年から花を咲かせるが、3年経つと枝や根が張るという。桜の根は浅いが、かなり遠くまで根を張るので、歩道への影響に注意が必要だ。また、桜の下に生える草などは日が当たらないので、枯れることもある。何より、葉や花が散るので、民家の近くなどでは苦情も出やすい。
 自ら葉や花が散りやすい木を切り倒していきながら、葉や花が盛大に散る木を植えていく。
 万博が終わったら、桜をどうするのか? 自己矛盾を抱える維新の政策の今後を、厳しく見ていく必要がある。

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