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校内新聞で「政治表現の自由」求め教師に直訴! れいわ支持の小学生に聞く日本の現在地(後編)

ーー7月5日号の前編では学校内外の政治活動の体験を聞いた、れいわ新選組支持者の小学6年生、かわだい(仮名)さん。後編では、かわだいさんが通学している大阪府内のキリスト教系の小学校について聞いた。共産党支持の生徒による『赤旗2』や、切れ味鋭く岸信介を批判する『新聞さよなら』。これらの新聞は全てこの小学校で発行されている。果たしてどんな中身なのか、また、なぜそんな新聞が作れたのか、聞いた。(編集部 朴偕泰)

自民・維新支持の『毎朝新聞』

僕の学校には生徒による新聞クラブがあって、1週間に1度発行しています。『毎朝新聞』、『新聞おはよう』、『新聞さよなら』、『赤旗2』があります。
 『毎朝新聞』は、編集委員が20人くらいいます。1学年100人なのでかなり多いです。内容は読売新聞系です。社長の生徒は維新を、副社長の生徒は自民党を応援しているっていう成り立ちで、維新と自民のいいように書いています。憲法改正にも賛成しています。維新政党・新風を応援している人もいます。2、3面は政治面です。選挙前に「参院選間近」という見出しで議席予想をしていました。自・公・維新が圧勝、れいわが特定枠の1議席だけで社民がゼロ議席。これには怒ってしまいました。ネット予想をそのまま書いてるんです。
 『毎朝』は、広告費でお金を稼いでます。一回200円で半面が使えます。生徒の親がテレビの広告を出していました。他にも、上段では「動物を守りましょう」と動物愛護を訴える広告が載っているのに、下段では「ペットを飼いたいなら〇〇ペットショップ」という広告がありました。矛盾しています。
 『新聞おはよう』のメンバーは5人います。多様性ってカラーで、デザインに凝っていて、イラストを載せるデザイン新聞とかも出しています。オリンピック反対派がいて、「オリンピックマークのデザインがよくない」って書いてました。
 時々哲学的な内容も載っていて、ソクラテスやアリストテレス、孔子の言葉を引用して書いていました。独自の解釈はかなり面白くて、「自由はなぜ生まれたのか」と言って、「自由というものはアダムとイブが生まれてから始まった。暴力の自由が生まれたのはアダムとイブが蛇に襲われてからで、それから世界が悪くなり暴力の自由が生まれていった」と書いていました。
 『新聞さよなら』は1人で作っています。内容は号ごとにガラッと変わって、絵だけの時もあります。出してる子はバスキアが好きみたいで、バスキアみたいな絵を描いて載せたりしてます。
 近代の歴史人物を説明したりもしています。年表を載せて、政治家ならやった政策を書いています。佐藤栄作を特集した号では、「もらったノーベル平和賞を金で売った」と書いていました。
 安倍晋三が撃たれる前ですけど、「アベノミクスは終わってる」って書いていて吹き出しました。三本の矢は「消費税を上げたから効果はなかった」、新三本の矢は「実働していない、口ばかりだった」と批判していました。


本家越えの『赤旗2』

一番政治のことをわかってるのは『赤旗2』です。メンバーは6人いるんですけど、親が全員共産党員です。内容は共産党の候補者の紹介や政策について書いています。参院選では田村智子と仁比聡平を応援していて、2人の良いところを書いていました。あと、「れいわは単独でやるのは凄いが、共産党と協力すればもっと議席を増やすことができるのではないか」と書いていました。他には「共産主義とはなんぞや」と言って、中国は共産主義ではない、と批判していました。一党独裁ではなく色んな意見を合わせて国を回していく、全て国が食料を買い取り緊急の時は多めに配布する、それが共産主義だ、と言っていました。共産主義ちゃんとわかってるなあ、と思いました。
 『毎朝』は先生の検閲があるけど、『赤旗2』と『さよなら』は先生が内容に文句を言っても聞かないので放置されています。でも最近、『新聞さよなら』がなくなりました。財政破綻が原因で、『毎朝』から「ギリシャ」って呼ばれてます。
 発行していた友達が紙とか用具を買いすぎてお金がなくなっていきました。『さよなら』の子は新聞社が無くなってから『毎朝』に行ったんですけど、岸信介について研究したいって言ったら「やめろ」って言われてました。
 新聞は委員長の僕が読んだ後に、校長先生に読ませなあかんのです。校長先生は毎朝だけは苦々しい顔して読んでましたね。でも内容に文句は言わないです。教頭が2人いて、1人は立憲支持者かなって感じ。もう1人は顔も髪型も考え方も橋本聖子みたいな人で、「赤旗2を早よ潰せ」言うたこともあるんです。でも僕は「おもろいから潰したくない」って言いました。

赤旗2のロゴはかわだいさんがデザインした


「表現の自由」求め先生に抗議


 僕の学校は前期と後期の2学期制です。4年生の前期は新聞委員会に入らず「今の政治はこうすべき」ってことを話していたら先生に怒られました。
 後期になって、新聞やったら政治的な発言も認めてもらえると思って新聞製作を始めました。でも「消費税は社会保障に使われてない。使い道はどこに行ってるのか」って書いたら発行停止のハンコを押されました。あんたらは戦時中の日本軍ですかって話なんですけど。「発行禁止になるならそんなハンコ捨てたる」言うて捨てました。その後ゴミ収集が来てハンコは本当に捨てられました。
 5年の後期で学級委員長選挙に出て、副委員長に当選しました。委員長になったのが「さよなら」の子で、僕と同じ「政治的なことも書けるようにすべき」って意見でした。でも先生は認めません。
クラスで採決をとったら賛成反対の両方で手が上がるんですが、結局最後は先生の意見を信じてまうんです。委員長と僕の意見はみんなにわかってもらえませんでした。
 次の年に、6年生の前期で学級委員長に当選しました。先生には「政治的なことも書かせてください」って毎日会うたびに言い続けました。先生が怒鳴ってきても。そしたら先生は1週間ぐらいで諦めて、新聞でも政治のことを書けるようになりました。

「教育現場は憲法守れてない」

廊下で友達と「消費税廃止にした方がいいよね」って話していた時に、先生から「別の意見もあるからあかん」って怒鳴られたことがあります。
 その先生は算数の税率計算の授業で「消費税は社会保障に使われているから必要だ」と言っていました。発言しようかと思ったんですが、隣の子が「れいわ新選組は別のことを言っています。れいわの方が正しいです」って発言したんです。そしたら先生が怒って、「そういうことは社会の授業で言ってくれ」って。先生が言い出した話なのに訳がわからないですよ。
 毎回思うんですけど、今の教育現場って憲法守れてないなって感じがします。「政治的なこと喋るな」とかもそうですけど、憲法で一番大切な第25条の「生命権」について、真先に言うべきやと思います。生きることが一番大事なんで。

写真:国会議事堂前で記念撮影をするかわだいさん

(2022年8月5日号掲載)


【前編はこちらからお読みください!】
校内新聞で「政治表現の自由」求め教師に直訴! れいわ支持の小学生に聞く日本の現在地(後編)|人民新聞

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