弥次喜多珍道中

 先日祖母とその妹、私からすると大叔母(以下「おば」に略称)と会った。私が住んでいる所の近くまで来ているから、と言ってわざわざ遠い田舎街まで足を運んでくれた。

 祖母とは幼い頃から面識がある。私の実家に比較的近い所に家があるため、すぐに遊びにいけるのだ。しかし、大叔母の方とはほとんど面識はない。今回で会うのは3回目だった。

 祖母と大叔母には電車で私の住んでいる街まで来てもらった。老体に無理をしてもらったのにも関わらず、私は溜まった洗濯物を処理するために10分ほど遅刻してしまった。「待合室は暑かったから」と改札前で待っていた二人は垂れる汗を拭う私に、笑顔で手を振ってくれた。

 合流してからは寿司を食べた。親戚、というのは孫や姪の息子(姪孫・又甥というらしい)に料理を勧めてくる。大きく、元気に育ってほしいという気持ちがあるのか、どういう気持ちなのかはまだわからないけれど、ご馳走になってしまった。

 その後は私の勤め先を遠くから見てもらい(私は社員寮に住んでいるため部屋には案内できなかった)「いいところだ」というお墨付きをいただいた。

 私の住んでいる街には丁度いい喫茶店はない。だから街のこぢんまりとした(こじんまりでもいいらしい)デパートのイートインでお茶をした。

 二人は自分たちのことを弥次喜多と称し、ここに来るまでも珍道中だと言って楽しげに話していた。私はあまり話すことはなかったから聞き役に徹していたが、充分に私も楽しかった。こういうことを年の功と言うのだろうか。

 仲の良い二人だが、会うのは2年ぶりだそうだ。祖母は妹に会えるのはこれで最後かもしれないと言っていたが、別にしんみりとしてはおらず冗談めかして言っていた。お年寄りのこういうところは強いと思う。いい意味で受け入れている。

 翌日に私が仕事だったため、夕方に解散となった。駅まで送っていった私は、「買ってみたかった」と言って入場券まで買ってホームで待つ電車に二人が乗り込むまで見送った。二人は最後までニコニコしていた。二人を見届けた後、ホームから改札までの階段を登る途中で入場券の写真を撮った。持って帰るほどではないが、記録しておきたかった。

 弥次喜多に幸多からんことを。

 

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