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アメリカに住みたい!国際弁護士がお届けする旬な情報-H-1Bビザ抽選制度の導入・STEM OPTの期間緩和

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◆執筆はカリフォルニア州弁護士の鈴木淳司。17歳の時に単身渡米し、現在サンフランシスコで弁護士数名が所属する中堅法律事務所のパートナー。日本とアメリカを頻繁に行き来する現役の視点から執筆しています。
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アメリカ移民法弁護士会(AILA)が主導するAI活用


 私は出席できなかったのですが、当事務所が最近の移民法の会合に出たときにも、アメリカ移民法弁護士会(AILA)があらたなプログラムなどを紹介して、移民関係の法律実務を変革しようとしているようです。

 AILAはGenという名前を冠したプログラムを開発していて、申請書の作成、サポートレターの作成、リサーチ、情報の管理などを、ChatGPT4.0をベースとして提供をはじめました。

 私も新しい技術は好きですし、業務に取り入れられるのであれば、使ってみたいと事務所内で話していたところでした。

最初の相談、戦略決定、そして書類作成


 移民法業務は、最初の相談やストラテジーの設定部分は難しいし経験も必要なところですが、流れに乗ってしまうと行政の書類ですから、正確性が重要になります。

 今後、業務に積極的に取り入れていこうと思っていますが、皆さんにも、このような技術が移民法業務にも使われ始めているということをわかっていただきたいですし、書類作成などを積極的に取り入れている事務所を選ぶのも重要になってくるかもしれないので、弁護士などには面談の際に聞いてみると良いと思います。
時代は変わってきました。

混迷するH-1Bビザ申請

 もう一つ、今回はトピックを取り上げておきたいと思います。

 カオスなH-1B申請に関してです。

 ホームページ上のブログでは何度も取り上げている内容ですが、ホットな話題です。アメリカのH-1Bビザ、すなわち専門的な学位を持った外国人がその分野に就職するための就労ビザに関して、毎年度の発行上限数が決まっているのですが、とにかくアメリカに残りたいという外国人が多く申請が加熱しています。

 あまりにも申請者が多く枠は決まっているので、移民局(USCIS)は抽選制度を取り入れました。

 しかし、このような抽選制度が出てくると、悪用する人間も出てくるわけです。

 今年の4月にH-1B抽選の倍率が異常に高くなったことをご紹介しましたが、先月(10月末)に抽選に関する規制がかなり強化され、罰則も取り入れられました。聞いた話では、一人の外国人が83件も応募していたことが明らかになったとか。

規制強化-罰則規定と就労場所の実地検査

 今回の規制の主眼は2つあります。

 一つは、関連会社などを使って、何件も重複する応募を同一の応募者について行うことについて、罰則を設けること、もう一つは、移民局が実際の就労場所をチェックすることを明文化し、実際に応募者が働けないような状況であった場合には、申請を無効にし詐欺的な行為である場合には罰則を用意したことにあります。

 したがって、H-1Bビザの抽選に関する応募についても、かなり気をつけないと、あとになってから無効にされてしまうという問題が生じ得るようになったわけです。

エンジニアのOPT期間延長

 それから、もう一つ、学生の就労ビザに切り替えに関連したトピックで、STEM OPTというものがあります。

 STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学)に関する学位を得た人が、学位取得したあとに得られるOPT(Optional Practical Training)。

 すなわち実務就労が通常の12ヶ月から、最大で36ヶ月に延長されているということです。
 学校からも情報は得られると思います。

 さらに、このSTEM OPTを取得した場合には、36ヶ月の就労期間が経過したあとに、さらに最長150日(5か月)間まで職探しを無職の状態を続けながら行えることになっています。かなり学位習得後のアメリカ滞在を緩和したわけです。

 裏からいうと、エンジニアリングなどの分野で人材不足な場合に外国人卒業生を3年間雇って確保できるということも言えそうです。

 この3年間で、H-1Bビザの申請が通れば、そのまま就労ビザを得れるということになるわけです。


 まだまだアメリカでの就労は、世界全体から人が集まってくるので人気は衰えないようです。

また、次回新しいトピックを考えていきましょう。



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こんな質問ありました!

 <Q>

 日本出生、日本国籍、現住所が留学でオーストラリアです。アメリカのビザの申請ですが、オーストラリアの住所にすべきでしょうか。日本の住所を記載した方が良いのでしょうか?[オーストラリア在住・Y様 ]

 <A>
 
 一律にお答えするのが難しいですが、郵送先の住所と物理的な所在住所とが必ずしも一致しないことがあります。
 そのため、ビザ申請の期間や今後の滞在予定、面接も含めた大きな流れの中で最終的に判断なさると良いと思います。

 また、申告事項として、必ず物理的な住所を確認しているのか、郵送先として捉えて良いのか、質問項目の意味合いも取り違えないようにしてください。

*上記は、あくまでも一般的な質問と回答ですので、個別の案件への正式回答ではありません。
同様の事例と思われても、かならず専門家にご相談をなさってください。

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★★★執筆者紹介★★★

執筆は、JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士。米国法曹協会、米国法廷弁護士協会、米国移民法協会所属。日本人としては米国で法廷活動も行う草分け的存在。多数の日本企業・個人を代理し、米国ビザや永住権取得も過去20年ほどサポート。『これでアメリカの法と社会の実際がわかる』(日本評論社刊)等、執筆多数。

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