「COCOA」に通知が来る条件を確認してみる
私が使っているスマートフォンは、Androidのものではなく、iPhoneですが、通知が来たことはありません。COCOAもリリース当初から入れています。(使用中の日数はリセットされてしまいましたが。。。)
そもそも、どういう条件を満たしたら通知が来るんだっけ、というのをよく知らなかったので、根拠にあたってみます。
仕様書を読んでみましょう
仕様書は政府CIOポータルで公開されています。
接触者の定義
2.前提条件 1) 本アプリの接触者の定義から引用。
陽性者との接触に関する情報が利用者本人に通知される者として、
陽性者との接触により感染のおそれがある期間に、
陽性者との間で概ね1m以内の距離で継続して15分以上の近接状態が続いたもの (案)(以下「接触確認者」と記述)と定義する。
ふむ。
「陽性者」「感染のおそれがある期間」は別で書いてありそうなので、探すとします。1m以内の距離で継続して15分以上の近接状態というと、通勤電車・バスあたりが一番ありそうなところですかね。
陽性者の定義
4.概要 1) 関係者に記載。PCR 検査で陽性診断が確定した者です。
じゃ、陽性者ってどう登録されるの?というのは、同章の具体的な流れ④〜⑦に記載あり。
④本アプリを導入した利用者が、感染者システムの登録を経て、新型コロナウイルス感染症の PCR 検査を受け、陽性診断の確定がされた場合、同システム からその陽性者に対し、アプリに登録する処理番号が通知される。
⑤陽性者は、本人同意の上で接触者に通知することを選択する場合、本アプリ で処理番号を入力する。
⑥本アプリから通知サーバーを経て感染者システムに処理番号が送信され、感染者システムが正当な処理番号であるか照合したうえで、確認結果が通知サーバーを経て本アプリに戻される。
⑦陽性者本人の端末から、感染が疑われる期間の識別子(診断キー)が抽出さ れ、通知サーバーに送信される。
感染者システムとは、↓の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)のことのようです。
陽性者情報が登録されるまでの流れが読み取れます。
では、これを条件に分解してみましょう。
A. 本アプリを導入した利用者が
B. 感染者システムの登録を経て、
C. 新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受け、
D. 陽性診断の確定がされた場合、
E. 同システムからその陽性者に対し、アプリに登録する処理番号が通知される。
F. 陽性者は、本人同意の上で接触者に通知することを選択する場合、本アプリで処理番号を入力する。
通知が来る、条件付き確率
ここから気になってくるのは、以下の数字です。
通知が来ないのはなぜなのか、を判断するにあたっての根拠としたい数字は、条件ごとにこんなところでしょうか。
まず、私はCOCOAはインストールしています。されていなかったら通知が来る確率は0%です。
自身が、他人と1m以内の距離で継続して15分以上の近接状態になった回数。
加えて、その他人がCOCOAに陽性者として登録されていること。
その条件を加味するには、条件A~Fそれぞれ以下の数字が必要でしょうか。
A. COCOAのインストール数
B. PCR検査を行う診療・検査医療機関の総数と、感染者システムの利用数
C. PCR検査の総数(重複含む)
D. PCR検査の総数のうち、陽性診断の件数
E. 感染者システムへの陽性者登録数
F. 処理番号の総数のうち、COCOAで登録されている件数
ただし、陽性者もいずれ治癒して陰性となるので、その時系列も勘案する必要ありそうです。
また、PCR検査の偽陰性と偽陽性ってどれくらいの割合で出るかも勘案する必要がありそうです。
東京大学保健センターのサイトから引用。
2.PCR法で陰性だった場合、新型コロナウイルス感染症で無いと言えるでしょうか?
PCR法では検体採取や検体保存の条件などで偽陽性(本当は新型コロナウイルス感染症で無いのに、陽性と出てしまう)、偽陰性(本当は新型コロナウイルス感染症であるのに、陰性と出てしまう)が起こりえます。この割合ははっきりしていませんが、PCR検査の感度(新型コロナウイルス感染症の方で、PCR検査が陽性となる割合)は現時点では高くて70%程度と考えられており、検査結果の判断は慎重に行う(PCR法で陰性でも、新型コロナウイルス感染症でないとは言い切れないことがある)必要があります。
70%程度のようなので、偽陰性も一定数いるかと思われます。
数字にあたる
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)のサイトから、
2月10日現在、A. COCOAのインストール数は、約2,511万件。
F. 処理番号の総数のうち、COCOAで登録されている件数は、10,467件。
今の時点で感染力を持っている感染者数の数字を見たいところですが、探せませんでした。
↓の陽性者数の累積だと、すでに治癒した人も入っているので参考にしづらい。。。
他、判断するにあたっての数字は探せませんでした。
COCOAに通知サーバー統計機能があるみたいなので、そこの数字もみてみたいなぁ、とは思います。(これは職業病ですね)
まぁ、何はなくとも、通知が来る・来ないにかかわらず、他人と1m以内の距離で継続して15分以上の近接状態にならない、を満たすのがよいでしょうか。。。
陽性登録の推進
政府CIOポータルの新型コロナウイルス感染症対策 テックチーム Anti-Covid-19 Tech Teamのページに、接触確認アプリに関する有識者検討会合の情報があります。
第3回会合 令和2年9月17日を読んでみます。
資料3:接触確認アプリCOCOAの改善について、の資料に、陽性登録の促進が書かれていますので、引用。
9月16日現在、COCOAの陽性登録件数は785件である。COCOA(試用版)が導入さ れた6月19日から累計すると、この間、約6万人程度の感染者が発生しており、普及率が 10%としても、単純計算すると6000人前後のアプリ利用者兼感染者がいた可能性があ る。アプリ利用者数・新規感染者数と比較して、陽性登録件数が伸び悩んでいる状態だが、 (a)処理番号の発行が不十分、(b)登録の促しがなされていない、(c)利用者が登録を拒否す る、(d)感染者は感染防御を軽視してリスクの高い行動を取る傾向があるため、そもそも COCOA利用の割合が低いといった原因が考えられる。
COCOAの現在の設計思想を前提にすると、一定程度の利用者の登録拒絶が発生するこ とは避けられないし(上記(c))、感染者に利用者が少ないという偏りも、同意ベースのア プリではやむを得ない(上記(d))。しかし、陽性登録自体には具体的なデメリットは考え られないことからすると、(a)(b)という行政側の対応を改善することで、登録率を改善す ることは可能であると考えられる。
こういった数字を根拠とした改善事項があがってきているので、ぜひ改善して行ってもらいたいものです。
ここから私見
アプリ・システムは作って終わりではなくて、運用しながら改善していく必要があります。経験上、その運用しながら改善(いわゆる保守運用)に必要なコストや体勢は軽視されがち。(値切られたこともあったなぁ)
作ることを目的にするのではなく、いかに使われるようにするか、を考えてシステム構築をしていきたいところですね。
※参考
●COCOAのソースコード(Github)
https://github.com/cocoa-mhlw/cocoa
●Androidで接触検知がされない、と思われる件のIssue
https://github.com/cocoa-mhlw/cocoa/issues/14
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