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やさしさってなんだろう。

やさしい気持ちになるとき、人は幸せを感じると思う。誰かの幸せを願い、それによって自分も幸せになれること。さしずめ、このくらいが「やさしさ」なのかなって自分では思ったりする。 やさしさについて思うとき、僕は太宰治『人間失格』の、次の一節を思い出す。 「弱虫は、幸福をさえおそれるものです。」 何回も読み返した作品だけれど、ここほど心臓の弁をブチブチ抉り出すような言葉はない。 自分はずっと弱虫だったと思う。甘えてたからじゃない。甘えられなかったから。「自立した個人」みたいな

    • 挨拶に代えて

      私にはどうも「私」という一人称がしっくりこない。 「僕」?いや、違う。「俺」?もっと違う。「自分」?なんだか変に外から自分を見つめるようで、そういう自分を偉いとでも思っているような感じがして、キザである。 全うに日本語を操りながら、その存在を疑う必要のなかった読者にとっては、何を今更、という感じがするかもしれない。だが、私は全うに日本語を操ったことなんざ生まれてこの方なかったし、何ならその実在性を今でも疑い続けているのだ。 私は幼少期の頃から日本にいなかった。都市圏人口3

    やさしさってなんだろう。