「マチネの終わりに」を読んで
この本を紹介してくださった方に会ったことはない。
でも
人生の中で一番印象に残っている映画に出演していた方
人生の中で一番印象に残っている記事の中の写真を撮影された方
会ったことはないけれど、その方が勧める本なら間違いはない。
でもって、図書館ですぐに予約したんだけど、人気があって何か月も順番まわってこなかったんだよね。その間に実写映画上映されてるし(まだ観てない)。やっと読み終えたので感想かきます。
人生の中で一番ドラマチックなのは40代かもしれない。
僕は、20代で結婚して父親になって、30代は子供の成長ととともに日々が過ぎていき、その間に病気したり会社変わったりしたけど、結局は順風の中を過ごしてきたかなって、今になって思います。そんな中迎えた40代の日々。
ものがたりの中で40代を迎えた、迎える主人公たち。どの人物の気持ちもわかる。そして、その中で出会い、それがすれ違いを生んでしまうことも。どの人物も精一杯、純粋に生きている。時に熱く、時に心の中の悪魔に支配されながら、それがちょっとしたことですれ違って現在になる。
「過去は変えられない。だから振り返らない。未来はわからない。だから考えない。現在の積み重ねが未来につながる。だから今を全力で生きる。」
これが僕の考えでした。だから物語の冒頭に語られる、主人公の蒔野の言葉である「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去はそれくらい繊細で感じやすいものじゃないんですか?」は、ある意味衝撃的というか、この作品を読む鍵になる言葉だと思いました。
古い過去、ほんの少し前の過去、過去に苦しみ、過去に浸り、そして毎日を生きる登場人物たち。そして最後に「マチネの終わり」から再開するストーリー、僕はこのあと人生の後半生を生きていく主人公のふたりや、その周りの人物にとって「出会ってからの日々の過去」は必要な時間だったんじゃないかと思いました。それがよかったのか悪かったのはこれからの未来のふたりの生き方にかかっている。過去は変えられる。これからのふたりにとって必要なことだったのだから。
僕が印象に残った洋子の父親ソリッチの言葉を最後に。
「自由意志というのは、未来に対してはなくてはならない希望だ」
僕は自らの意志で、その責任を果たしていく。僕は何かができると信じて、残り少ない未来を切り開く。
かおりやまこしさん。
素敵なものがたりを紹介していただきありがとうございました。
いつかお会いしたいです。きっと。会えるよね。
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