【翻訳】Go Team America! Dan Signoriniインタビュー(2008.12.23)

■はじめに

このインタビュー記事は、前回記事の参考記事として投稿しています。

Team Americaが完成するまでの経緯や、当時のレガシーの牧歌的な雰囲気を楽しんでいただければと思います。

■インタビュー記事原文


■インタビュー内容

大学受験に追われていましたが、The Source 5周年記念トーナメントに先立って始めたインタビューシリーズ第二弾をようやく書こうと思い立ちました。そんな最中、レガシーシーンに現れたのが「Team America」というデッキでした。Team Americaの成功は一過性のものではなく、世界中の数多くのイベントでトップ8入りを果たし、世界選手権2008 団体戦ではオーストラリアチームがレガシー部門でプレイするという名誉も手にしました。このデッキの継続的な成功により、私はTeam Americaの黒幕であるDan Signorini(The Sourceでのハンドルネームはnitewolf9)を次回作の素晴らしい題材とすることに決めました。


インタビューの前に、Team Americaのデッキリストを紹介しておきます。

■デッキリスト
Team America - The Source 5周年記念トーナメント

4 《タルモゴイフ/Tombstalker》
4 《墓忍び/Tarmogoyf》

4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《もみ消し/Stifle》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《目くらまし/Daze》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《殺し/Snuff Out》
4 《陥没孔/Sinkhole》

4 《不毛の大地/Wasteland》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
1 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4 《Underground Sea》
2 《Tropical Island》
1 《Bayou》

サイドボード:
4 《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
4 《青霊破/Blue Elemental Blast》
4 《クローサの掌握/Krosan Grip》
3 《悪魔の布告/Diabolic Edict》

■関連ページ
List of finishes(※リンク切れ)
http://www.deckcheck.net/deck.php?id=20393

Official Team America Thread(※The Source内のTeam America専用スレッド)
http://mtgthesource.com/forums/showthread.php?t=11605

Unlocking Legacy, Focusing on Dan’s T8 Finish with Team America(※The Source 5周年記念トーナメントカバレージ)
https://articles.starcitygames.com/articles/unlocking-legacy-play-by-play/



──Danさん、お元気ですか?まずは、あなたのことや、Team Americaのことをよく知らない人に向けて自己紹介をお願いします。

Dan:元気でやってます、ありがとうございます。私はDan Signorini、26歳。北バージニアに住んでいる熱心なレガシー愛好家です。私はこれまでにEva Green、It's the Fear、そして今回のTeam Americaという、いくつかのデッキの共同開発に携わりました。
単に自画自賛するだけではつまらないので、今回のインタビューに関する私への推薦の言葉をいくつか紹介します。自己満足な雑談よりも効果的かつ偏りなく私のキャラクター性を際立たせてくれていると思います。

「この子は本物だ。博士号の頭脳、オリンピックチャンピオンの体格に加えて、漢気溢れた堂々たる態度、と三拍子揃っている」 - Alix Hatfield

「彼は、とても、夢見がちな…」 - David Price

「…Danって誰?ああそうだ、Red Deathをプレイしていたもう一人のヤツか」 – Anwar Ahmad

「なぜ俺へのインタビュー記事じゃないんだクソクソクソクソ」– David Gearhart

「素晴らしいアメリカン・デビュー作… ウォッカのショットのように強力だ」- パブリッシャーズ・ウィークリー誌(星付きレビュー)


Team Americaというデッキについてよく知らない人のために説明すると、青黒緑のアグロ・コントロールデッキで、軽い妨害呪文などによってゲーム序盤に大量のテンポ・アドバンテージを生み出し、その後《タルモゴイフ》や《墓忍び》といった強力なクリーチャーで、苦戦している対戦相手を仕留めることをコンセプトとしています。
このデッキの妨害手段としては、主に《陥没孔》《もみ消し》《不毛の大地》があり、三位一体の高度な集中攻撃をもって、相手のマナを狙い撃ちにします。
レガシーシーンでは比較的短時間で大きな成功を収めましたが、これは私と伝説的なデッキデザイナー、David Gearhartとの共同作業によるものであるからです。余談ですが、彼がこの文章を読んだら何度もハイタッチをすることになると思います。本当に何度もね。

──このデッキはどのようにして生まれたのですか。Team Americaが完成するまでのプロセスを教えてください。

Dan:さて、まず第一に、このデッキの原型は、競技用として作られたものではありませんでした。
David Gearhartは、アメリカではあまり使われていないが、ヨーロッパのレガシートーナメントでは常にトップ8入りを果たすカードを使ってデッキを作ってみようと考えました。

デッキの内容はというと、まずは…《墓忍び》(素晴らしいスタートだ…)、《闇の腹心》(うん、4枚… と《墓忍び》4枚… なんと健全なデッキ構築理論なんだ!)、《意志の力》《目くらまし》《思考囲い》《陥没孔》、さらにメインデッキに《根絶》を4枚(そう、David Gearhartはかつて本当に《根絶》をメインデッキに採用していました。)、《もみ消し》《不毛の大地》、そして除去はなし。

このデッキで遊ぶのは楽しいですが、対戦相手がクリーチャー呪文を解決するなど何かできてしまうと対応する術がありませんでした。
どうやら一時的に脳の機能障害に陥っていたようで、理由は覚えていませんがしばらくこの醜態を晒し続けていました。あと《真鍮の都》のようなカードを使われるまでは、デュアルランドを《根絶》したりするのも愉快でした。
まぁ、それはともかく、このデッキはおもしろかったのです。

それにしても《闇の腹心》と《墓忍び》は本当に相性が悪く、《師範の占い独楽》がない場合は特にそうした。(《闇の腹心》と《大いなるガルガドン》4枚フル投入したデッキでスタンダードトーナメント トップ8入りした人間に何を言っても無駄ですが…)
なので、エラッタが偶然あった際に、《ファイレクシアン・ドレッドノート》のために《闇の腹心》を抜き、《殺し》のために《根絶》を抜くことにしました。
《殺し》は、Eva Greenで使用した時の理不尽さから予想したとおり、やはり素晴らしいカードでした。一方で《ファイレクシアン・ドレッドノート》は大きなマイナス要素を残していました。
問題は、簡単に除去されるにも関わらず、除去された時に2対1交換になるというもので、《ファイレクシアン・ドレッドノート》を回収する手段がないデッキには、パワーとタフネスが12/12であろうとなかろうと、良くないものでした。
最終的にDavidは、「《タルモゴイフ》をこのようなデッキで使わないのはもったいない」という理由で緑を加え、《クウィリーオンのドライアド》を現在の《思案》のスロットに配置しました。
彼はこのデッキには8体以上のクリーチャーが必要だと考えており、私はCanadian Thresholdのリストが8体のクリーチャーでうまくいっていることを知ってはいましたが、このデッキでクリーチャー8枚は少なすぎるのではないかとも考えていました。
結果的に《クウィリーオンのドライアド》は最悪だという見解で一致しましたが、一時はそのスロットに《通りの悪霊》も試していました。
《通りの悪霊》も、このデッキが求めているものではなかったので、最終的に《思案》に落ち着きました。
今思えば、このデッキに8枚のキャントリップがないのは考えられないし、《意志の力》のブルーカウントも当初の16枚から20枚になり、より快適になりました。

メインデッキを最適化し、デッキの問題点を把握した後、The Source 5周年記念トーナメントでは、サイドボードに《クローサの掌握》4枚、《トーモッドの墓所》4枚、《青霊破》4枚、《悪魔の布告》3枚を含むリストを採用することにしました。
Davidは最新作のIt's the Fearを試すことにし、私はTeam Americaを使用することにしました。
Eirc Gosseもこの大会で、Team Americaを使用しました。彼はその日はベスト8に残れませんでしたが、それ以来このデッキで安定した成績を残しています。

──「おいおい、このデッキは大会で通用するんじゃないか」と気づいたのいつ頃ですか?

Dan:
このデッキに対する認識が、ペットのような存在から大規模な大会での真剣な選択へと切り替わった「Eureka(見つけた!)」な瞬間が本当にあったのかどうか、私にはよくわかりません。それは非常に緩やかな変化であり、多くの小さなステップを経てきました。Team Americaの開発には、何時間ものテストを含む、多くの地道な作業がありました。ただ、デッキに緑を加えたことは、大きな足がかりの一つだったと思います。

──現在のデッキリストと、カード選択について教えてください。

Dan:もちろんです。これまでの質問で既に多くのことを話してしまったので、できるだけ手短に説明させてください。

“チームアメリカ/Team America”:

4 《タルモゴイフ/Tombstalker》
4 《墓忍び/Tarmogoyf》

4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》

4 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《目くらまし/Daze》
4 《もみ消し/Stifle》
4 《陥没孔/Sinkhole》
4 《殺し/Snuff Out》

4 《不毛の大地/Wasteland》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
3 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4 《Underground Sea》
2 《Tropical Island》
1 《Bayou》

サイドボード:
4 《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
3 《クローサの掌握/Krosan Grip》
3 《青霊破/Blue Elemental Blast》
3 《悪魔の布告/Diabolic Edict》
2 《再活性/Reanimate》

私たちの選択を理解するためには、このデッキをスレッショルドデッキと対照的なスーサイドブラックの系統として考える必要があります。
8枚のキャントリップは、安定性を持たせるためと、比較的少ないメインデッキのフィニッシャーを掘り起こすため、そして《意思の力》のブルーカウントを追加するためにあります。
《墓忍び》と《タルモゴイフ》は、レガシーフォーマットで最も優れたパウンド・フォー・パウンドな二大クリーチャーです。

※パウンド・フォー・パウンド ・・・ 格闘技において、全階級を通じてもっとも優秀な選手を指す称号。

《意志の力》《目くらまし》《殺し》は、このデッキが序盤に多くのテンポを生み出すことを可能にするフリースペルであり、《思考囲い》はおそらく、黒で使えるもっとも優れた破壊呪文でしょう。言ってみれば、脅威が「そこに到達する」ことを防いでくれる。あらゆるものへの回答となってくれるのです。
破壊パッケージには《もみ消し》《不毛の大地》《陥没孔》が含まれているので、相手のマナベースを攻撃することで《目くらまし》の賞味期限を保てるようになりました。既に説明していますが、改めて強調します。この三要素で完全なマナ否定パッケージを形成しているのです。
もしも対戦相手がフェッチランドを留めておけば《もみ消し》の被害に遭いやすくなります。相手が基本土地をフェッチからサーチしてきたら、《陥没孔》が持ってきた色を断って罰するでしょう。相手が基本でない土地をフェッチランドからサーチしてきたら、《不毛の大地》は非常に効果的です。これに《渦まく知識》と《思案》の手札を整える能力を組み合わせると、適切なタイミングで適切な種類の破壊を行えるようになります。

マナベースは、できるだけ早く(黒)(黒)を達成しつつ、デッキの3色すべてにアクセスできるように設計されています。
《Underground Sea》と《Bayou》が1枚あれば、このデッキの全ての呪文を唱えることができるので、《Bayou》は本当に役に立ちます。
《Bayou》を1枚しか採用しないのは、《Bayou》が唯一の土地とキャントリップというオープニングハンドをできるだけ避けたいからです。
《血染めのぬかるみ》と《溢れかえる岸辺》の枚数は様々ですが、個人的には上記の構成(ぬかるみ2、岸辺3)が理想的だと感じています。

サイドボードに関して、《青霊破》については《血染めの月》や非常に攻撃的な赤いデッキ、Goblinsなどに対処する汎用的な対策手段として用意しています。
《トーモッドの墓所》はサイド前のIchoridとの酷いマッチアップを改善させ、《クローサの掌握》は《師範の占い独楽》と《相殺》、そして最近では《ファイレクシアン・ドレッドノート》を対処するために採用しました。
《悪魔の布告》はアグロ・コントロールのミラーマッチに対するボムであると同時に黒いクリーチャーを除去する手段としても折り紙付きです。一方、最近追加した《再活性》はクリーチャーの密度を高め、アグロデッキとのマッチアップを向上させる非常に汎用性の高い方法です。

──メインボードの構成は本当にタイトですね。もしスペースがあれば、何か追加したいものはありますか?

Dan:
メインデッキで変えたいところはないですね。Team Americaにますます感心させられたのは、驚くべき一貫性と非常に尖ったゲームプランの2つです。
The Sourceのスレッド内で、このデッキについて「独創性がない」あるいは「とにかく強力なカードを詰め込こんだデッキ」というような、興味深い不満がありましたが、このようなデッキをプレイするのであれば、4枚体制のアイディアに慣れる必要があります。スーサイドブラックではこのアイディアは有効ですし、このデッキでもそうです。
他のデッキとは異なる動きをするデッキなので、このインタビュー記事を読み、カード選択の背景にあるメソッドを理解することで、このデッキがただ強いカードを詰め込んだだけではないと証明されることに期待しています。

──メインデッキのシナジーはいかがですか?確かにすべてがうまく噛み合っているように見えますね。

Dan:Team Americaには多くのシナジーがあります。ゲーム序盤にできる限りの妨害を行うことを目的としたデッキにおいて、マナを消費しない12枚の呪文をプレイできる性能は非常に貴重です。
Canadian Thresholdに対する私の課題の一つが《もみ消し》と《不毛の大地》だけでは相手のマナ基盤に十分なプレッシャーをかけられていないように見えることでした。この二種類の土地破壊カードがもたらすヒリヒリとした痛みが、序盤の猛攻を凌がれた後に勝利する過酷さを和らげることに役立つのだと思いますが、《陥没穴》があればより効果的にプレッシャーをかけ続けることができます。この点は既に説明済みですが、いくら強調してもしきれません。このような戦略において《陥没孔》は本当に驚異的です。
また、《墓忍び》は素晴らしいクリーチャーであり、早い段階でカードを墓地に置けるので、非常に唱えやすいです。

──このデッキの一般的な回し方はどんなものですか。

Dan:このデッキの素晴らしいところは、相手を妨害し、クリーチャーを着地させ、そのクリーチャーで殴っている最中にも妨害し続けるという、全体的なゲームプランがとてもシンプルであることです。
理想を言えば、どんな対戦でも1ターン目に《思考囲い》を唱えて手札を見たいのですが、このデッキでは1ターン目からできることをたくさん用意しています。《もみ消し》、《思案》、《渦まく知識》… こちらの手札と対戦相手の行動によって、これらのカードをどう活用するかが決まります。
一般的には、序盤から土地を吹き飛ばすようにし、すり抜けようとするクリーチャーを《殺し》や打ち消し呪文でコントロールするようにしたいです。
例えば、ほとんどのデッキに対する強力なプレイの流れは、1ターン目《思案囲い》、2ターン目《陥没孔》、3ターン目《不毛の大地》、《タルモゴイフ》、その間に《殺し》か《意思の力》を唱える、というような流れになるでしょう。《思考囲い》を《思案》に置き換えて2ターン目の《陥没孔》を見つけたり、《もみ消し》のために土地を起こしておいたりすることも可能です。
経験則から言うと、できるだけ早い段階でやれる限りの妨害を行い、相手を妨害することによって得られるものに合わせて、その後のプレイを調整していきたいです。未知の相手(実際、ほとんどすべての相手)に対しては、常に《思考囲い》を最初にプレイしたいものです。

──サイドボードも固定なのでしょうか。それともメタゲームによって大きく変更しますか?

Dan:サイドボードは現時点でかなり最適化されていると思いますが、各アーキタイプの割合が不均衡になるような場合には、当然ながら適応できるようにしたいです。ただ、今のサイドボードで多くのことをカバーできています。

──It's the FearでDavidにインタビューした時と同じように、Team Americaでもインターネット上の人々から思い付きでカードを提案されることがありますね。デッキに採用されていないが、よく言及されるカードはありますか?

Dan:ここでは、そのカードと簡単な解説を掲載します。

《根絶》 - Team Americaの初期型には採用されていましたが最悪でした。サイドボードに入れるとしてもIchoridに対する《トーモッドの墓所》ほどの助けにもなりませんし、他のカードと比較してもスペースを割く価値はありません。

基本土地 - 《血染めの月》や《不毛の大地》にマナ基盤を壊滅させられることを心配して基本土地を採用する人は多いですが、それを加える代償としてデッキの整合性を失っているように感じます。Team Americaは非常に色が濃く、早い段階で黒2マナを用意する必要があり、さらに1ターン目から青、2ターン目には緑につなげる可能性もあります。
対戦相手が序盤で《血染めの月》を叩きつけたり、《不毛の大地》によりデュアルランドを1枚無駄にするよりも、基本土地で必要な色にたどり着けないことのほうが、より多くのゲームを失うことに繋がると感じています。

その他のクリーチャー - 例えば《海のドレイク》はデッキに入れてもいいかもしれませんが、《タルモゴイフ》や《墓忍び》以外で本当に良いクリーチャーがいません。(仮にこれらを4枚以上使えたとしても、デッキに採用する枠を確保するのは非常に難しいです。)

《闇の腹心》 - このデッキはテンポが全てであり、後から追加でカードを引く《闇の腹心》ではうまく戦えないのがオチです。《墓忍び》がめくれるとかなり痛いですし、《殺し》や《思考囲い》といったカードがライフに与える負担はただでさえ計り知れませんが、それとは別に《闇の腹心》は手札を増やすためにテンポを食い潰してしまいます。これはスーサイドブラックのくだりで幾度と論じてきたことですが、ここでも同じ主張が当てはまります。いくつかの戦略では素晴らしいカードですが、ゲーム序盤を支配し、テンポ・アドバンテージを得ることで勝利したいデッキには《闇の腹心》はふさわしくありません。

《呪文嵌め》 - このカードを採用できる唯一の枠は、現在の《陥没孔》が持ってる枠でしょう。そして、《陥没孔》はこのデッキにおいて重要なカードなので、条件付きカウンター呪文のために削ることはできないと我々は考えています。《呪文嵌め》を様々な構成でテストしましたが、常につけ入る隙があるように思えました。多くの人がこのカードを愛していることは知っていますが、これはあくまで経験上の話であり、Team Americaの議論の中では最適とは言えないです。

──Team Americaにとって有利なメタは何ですか?対戦するのが好きなものは何ですか?

Dan:多くの人がTeam Americaはメタゲームデッキだと感じているようで、これは興味深い質問ですね。これが何を意味するのかはよくわかりませんが。
もしも対戦相手が土地や呪文をプレイすれば、Team Americaはそれらの行動を妨害することができます。
非常に積極的で破壊的な戦略は、通常、対戦相手が懸念するものであり、その逆ではありません。具体的なマッチアップとしては、以下のようなものが挙げられると思いますが、これに限ったものではありません。

・多色コントロール(LandstillやIt's the Fear)
・Goblins
・サバイバル系
・ストームコンボ

また、スレッショルドデッキとのマッチアップはとても楽しいです。有利とは言い切れませんが、大体それに近いです。(《相殺》を採用しているリストでは大抵の場合5:5くらいになり、そうでないリストではおそらく有利だと思います)。サイドボードはアグロ・コントロール戦略にも対応できるよう、《クローサの掌握》や《悪魔の布告》といったカードが用意されています。《悪魔の布告》はこれらのマッチアップで特に厄介で、The Source記念トーナメント以降、予想外の大ヒットとなっています。

──逆に、ペアリングを呪ってしまうような相手は何ですか?

Dan:
Team Americaを使っている時に、Ichoridを使うプレイヤーがテーブルの向かい側に座られるのは絶対に嫌ですね。さらにDragon Stompyも悪夢に近い対戦相手です。
Goyf SlighやZooが大量の除去をプレイするのも、やや不利な対戦から厄介な対戦まで、様々なマッチアップになりそうです。
今のところ未検証ですが、The Mighty Quinnのような大量の除去を持つ単色コントロールデッキは、おそらくTeam Americaにとっての頭痛の種になるだろうと思います。
とはいえ、このデッキの強みの1つは、ほとんどどんな相手でも戦い抜くことができる点です。サイドボードは必要なところで本当に役立ちますし、このデッキの一貫性だけで、思いがけない勝利を手にすることができます。

──このデッキと相性の悪いマッチアップを補強する方法はないでしょうか?

Dan:
このサイドボードはIchoridに対して非常に有効で、メインでの勝利はほぼ不可能ですが、《トーモッドの墓所》とキャントリップ、《再活性》のおかげでサイド後の有利な状況に持ち込むことができます。

Dragon Stompyは強力なデッキですが、安定性に欠けています。
時には《意志の力》や《思考囲い》1枚で勝てることもありますし、サイド後の《青霊破》や《クローサの掌握》が大いに役立ちます。
私はDragon Stompyとのマッチアップで、《金属モックス》の刻印を《もみ消し》た後、《陥没孔》を赤のリソース1枚に唱えて勝ったり、相手の最初の行動を妨害して《タルモゴイフ》1枚で勝ったりしています。それでもまだ良いとは言えませんが、少なくとも役立つツールはいくつかあります。

《青霊破》と《悪魔の布告》、《再活性》は、Goyf SlighやZooのような相手に対して大いに役立ちます。
《クローサの掌握》や《再活性》も、採用カードの読めない単色コントロールデッキに対して非常に有効なツールです。

── DreadstillやCanadian Thresholdなど、このフォーマットの他のテンポデッキに対して、Team Americaはどのようにマッチアップすると思いますか?

Dan:我々がテストした限りでは、Dreadstillとは最後まで接戦になりそうです。相手のデッキ構築とマナ基盤をどの程度破壊できるかによります。
《ファイレクシアン・ドレッドノート》にとって《殺し》は非常に疎ましいカードですが、《相殺》や《行き詰まり》で相手には難題を要求できます。
大体のDreadstillのデッキ構成では、Team Americaにとってサイド前は若干不利になりそうです。しかし、サイド後の《クローサの掌握》でDreadstillを打ちのめすことができます。
サイド後には、《ミシュラの工廠》に対処するために《不毛の大地》を保持しつつ、手札をクリーチャーと除去で満載にすることができるので、《行き詰まり》を早急に壊す必要が本当はなかったことがわかりました。
油断できないマッチアップであり、メジャーなトーナメントでTeam Americaを使う前に、十分にテストしておく必要があります。このマッチアップは五分五分としか言いようがありません。

Canadian Thresholdに関しては、Team Americaが有利なマッチアップです。
《墓忍び》は《タルモゴイフ》と《敏捷なマングース》の両方を打ち負かし、こちらの除去は戦闘フェイズを待たずに《タルモゴイフ》に命中します。
《悪魔の布告》と《再活性》は非常に強力で、サイド後はさらに有利になります。
また、1ターン目に唱えられた《敏捷なマングース》に噛みつかれ、一方、こちらはすべてのクリーチャーを打ち消され、手札の《殺し》を見つめたまま座っていることになることもあります。
しかし、これは稀なケースであり、テストでもトーナメントでも、このマッチアップはあまり問題になりませんでした。

──一部の人が言うように、Team Americaがスレッショルドデッキの《もみ消し》《不毛の大地》を時代遅れのものにしたと思いますか?

Dan:そんなことはありません。しかし《陥没孔》と併用するのは、この種の妨害をより効果的にする方法の一つだと思います。
例えば、Canadian Thresholdは、《闇の腹心》や《ナントゥーコの影》のような黒い脅威を採用したデッキに対処しやすくなり、さらに《紅蓮地獄》という非常に強力なサイドボードカードを得て、クリーチャーを横に並べる戦略に対応したりすることができます。
Team Americaはハイレベルなレガシートーナメントにおいて非常に強力な選択肢だと思いますが。テンポスレッショルドの他の構築を時代遅れにしてしまったと言うと、(洒落を許してもらえるなら)新たな挑戦心を《もみ消し》てしまうかもしれませんね。新しい挑戦はいつでも存在するものです。

──The Source 5周年記念トーナメントでデッキをデビューさせ、その後トップ8入りしてどのように感じましたか?

Dan:すごいとしか言いようがないです。スイスラウンドをX-0してさらに私が構築に携わったデッキを使って、今年最大のレガシートーナメントでトップ4に入ることができたのは、本当にやりがいのある経験でした。それにこの大会はものすごく楽しくて、大会運営も非常に円滑だったと思います。

──世界中の人が自分の作ったデッキをプレイして好成績を残していることをどのように感じていますか?今年の世界選手権でTeam Americaが対戦するのを見た時の印象は?

Dan:
特に国際的なレベルで手に取ってもらえると、作成に携わったデッキでこれほどまでに人々が活躍していて、とても良い気分になります。ちょっと誇らしい気持ちにもなりますね。
世界選手権での(オーストラリアチームが使う)Team America対アメリカチームについては、たしかに皮肉が効いていましたね。オーストラリア勢がレガシーでTeam Americaを選択するに至った経緯はどうだったのか、そしてJustin Cheungがこのデッキをプレイしてどう思ったのか、気になるところです。

──Team Americaについて、カジュアルデッキからの最適化を始めた時、これほど良くなると思っていましたか?

Dan:そうでもないですが、かなり強そうだと感じてはいました。The Source記念トーナメントにはかなり自信を持って臨んだので、そのことははっきり言っておきます。

──現在のレガシーフォーマットについてどう思います?

Dan:レガシーは今、とても健全だと思います。たくさんの異なるアーキタイプが存在するので、大きな大会で何に出くわすか全くわかりません。

──今、Team America以外に他に何かプレイしているデッキはありますか?

Dan:そうですね。他にもいくつか遊んでいるデッキがあります。私は5c ThresholdとIt's the Fearが大好きです。後者については、コントロールデッキをほとんどプレイしない私にとって、独特な課題を与えてくれるので特に楽しいものです。
また、《魂売り》に問題があるためですが、The Rockの派生型も調整しています。

──今、あなたはどんな準備をしていますか?

Dan:
Team Americaはレガシーの定番デッキのほとんどに対して十分なテストを行なっているので、グランプリではおそらくエクステンデッドから持ち込まれるデッキやアグロデッキ、Dreadstill、そして新しいストームコンボへのテストに焦点を当てるつもりです。すべては、人々が何をプレイする可能性が高いかによって決まるので、それを常に推定するのは難しいことです。

──Team America以外に、何か好きなデッキはありますか?

Dan:
上記のように、私が今までプレイしてきた他のデッキの中でIt's the Fearと5c Thresholdが一番好きだと思います。またEva Greenも好きなのですが、Team Americaはよく似ていて、多くの点で優れていると思っています。

──使ってみてがっかりしたデッキはありますか?

Dan:私が本当にがっかりしたデッキは、直近だとDeadguy Aleですね。あのデッキを本当に良いものにしたかったのですが、私ではうまくできませんでした。
Solidarityも本当に好きなデッキだったのですが、相殺独楽と《タルモゴイフ》の出現により、風前の灯となってしまいました。

──レガシーの禁止カードリストについて、どう思いますか?

Dan:レガシーの禁止カードリストは、今のままでいいと思いますが、いくつかのカードは解禁してもいいと思います。《土地税》や《ドリーム・ホール》などです。ただ、今のままでも誰も困らないと思います。

──グランプリシカゴはどれくらい楽しみですか?参加しますか?もしそうなら、どんなデッキを使いますか?

Dan:非常に楽しみですね。前回のレガシーグランプリは《閃光》のせいで台無しになったので、今回は実際にみんなでレガシーを遊べるかもしれないですね(《閃光》デッキを使うことで、《魂売り》が絡むいくつかの愉快な瞬間はありましたけどね)。私は絶対に行きますし、Team Americaを使うことになると思います。このデッキを使い慣れているので。

──最後に、お別れの言葉や誰かへの感謝の言葉、または今思い浮かんだことなどあれば教えてください。

Dan:長くなりすぎたかもしれませんが、このインタビューを実施してくれたこと、そしてレガシーに素晴らしいリソースを提供してくれているThe Sourceの皆さんに感謝しています。また、私はレガシーの才能が凝縮された集団の中にいることをとても幸運に思っていて、それがこのようなデッキを実現させたのだと思います。このインタビューが、Team Americaについて、皆さんが抱いている疑問の答えになることを願っています。もし他に質問があれば、The SourceにあるDavid (Deep6er) か私(Nitewolf9) に遠慮なく連絡ください。

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