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企画集団便利舎:インタビューサークル、サークルインタビュー vol.5

人物研究会がお送りするサークル横断インタビュー。第五回は「King Of Planning」企画集団便利舎さん。群雄割拠の早稲田大学には二種類の企画サークルしかない。────便利舎か、それ以外か

談○企画集団便利舎 緒方幹事長
取材○人物研究会(山崎、篠崎)
構成○人物研究会(山崎)

NO RISK, NO KING

──先ずは企画集団便利舎さんの企画サークルとしてのアピールポイントからお伺いします。
緒方 便利舎はイベントとかでお客さんを楽しませるといった活動をしているサークルなんですよね。例えば、芸能人の方を呼んでトークイベントを開くとか。アピールポイントは企画として、仕事として、自分が会いたい芸能人に間近で会える。話してみたい芸能人を呼べてしてほしいことをして頂く。夢が叶うよといったところですかね。あと『早稲田王』(※1)という早稲田祭で毎年行われているイベントを主催しているのもうちですね。
──早稲田の企画サークルだと会いたい芸能人の方と直接関わることができますね。
緒方 便利舎は年功序列とかそういうのは無いんです。一年生でも大きなイベントの企画を出すことができるんですよね。実際に僕も一年生の時に早稲田祭の企画でプロデューサーをやらせてもらったんです。僕が大好きな『とんねるずのみなさんのおかげでした』という番組の演出家のマッコイ斉藤さんをお呼びしました。そこに品川庄司の品川祐さんとみひろさんにも加わって頂いてトークだったり、架空の番組を作ったりといった企画を打たせてもらえた。そんな感じで一年生でも企画のプロデューサーになれて大きなイベントが打てるというのは他のサークルには無いところかなと思います。
──一年生にしてあのマッコイ斉藤さんをプロデュースしている(笑)。
緒方 いやいや!当時の先輩が本当に心の広い人だったんで。一年生に任せるというのはリスクがあったとは思うんですけど信じてオッケーを出してくれた。終わってから「いい企画だった」と言ってくれましたね。

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お話しに出た『テレビっ子2018~マッコイ斉藤のおかげでした~』の写真。
マッコイ斉藤氏(写真中央)は数々の人気番組を手掛ける“深夜のカリスマ”。

その企画、凶暴につき

──便利舎さんは1978年に発足されていますね。長年にわたってイベントをやっていると伝説や事件が生まれてきたのではないでしょうか?「新入生相手には先ずはこれでびびらせてやるか」みたいなお話しをぜひお聞きしたいです。
緒方 やっぱり人物研究会さんはちょっと尖っていますよね(笑)。伝説だったら便利舎は元々は映画サークルだったんですよね。自主制作の映画を公開するサークルが最初のコンセプトだったらしいんです。だけど映画を作るにはお金が掛かる。それなのにうちにはお金が無い。だったら芸能人を呼んでイベントをして収益化して資金を作ろうという感じでスタートしたのが現在の便利舎の原型なんですよ(笑)。資金集めのための便利屋っていうところから便利舎と名付けたという説を聞いたことがあります。
──そうだったんですか。
緒方 それで創設からわずか5年目の時に呼んだ芸能人がビートたけしさん(笑)いま考えても相当いかれているんですけれどノウハウも無いままでいきなり芸能人企画をやった。当時のばりばりに怖いビートたけしさんを呼んでイベントしたのが初めて芸能人を呼んだ企画です。昔は芸能人の呼び方はその人が常連として通っている店を見つけたら店の外で次に来るのをずっと待つ(笑)。そういう話を小耳に挟んでいます。
──現在はどのようにオファーされているんですか?
緒方 いまは芸能事務所を通してオファーするという形が多いです。他には過去に呼んだテレビプロデューサーから芸能人に直接僕らを繋いでもらって直にやりとりしていたり。事務所には後で報告するってことが最近は多いですかね。今までに呼んだプロデューサーの方が沢山いるのでその方たちと上手く付き合っていけている感じですかね。コネって言ったらいけないですけど(笑)

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便利舎さんの部室にはこれまでのゲストが書いてきたサイン色紙が保管されている。圧倒的っ・・・!

燃える企画魂

──新入生に求める能力はありますか?
緒方 自分の好きなことに同世代で一番詳しい自信があることですかね。便利舎は色んなジャンルに精通している人が多いんですよ。例えばテレビが好きな人、お笑いが好きな人、音楽が好きな人。僕の場合はプロレスです。プロレスの知識には自信があって全国のファン達に負けないと思っているんです。好きなことに対する愛や前のめりな姿勢は誰にも負けないよっていうのを一つ持っている新入生はうちみたいな企画サークルに向いているのかな。一番好きなことからインスパイアされた企画が生まれたりもするんで。
──緒方さんはプロレスにお詳しいとのことですがそれがどのように企画に影響してきましたか?
緒方 プロレスから学んだことはお客さんの沸かせ方。例えば会場での映像の使い方ですね。好きなことで学んだノウハウを企画にも使っていっていますね

入ってから見るか、見てから入るか

──新型コロナウイルスの影響で新歓やイベントが中止になっていると思うのですが便利舎さんはどういった対策をお取りですか?
緒方 うちのサークルで一番気にしているのは新入生。すごく可哀想じゃないですか。受験勉強の時の苦しみが終わったのにずっと自粛が続いていて。なんで大学に入ったんだろうって思いが強くなっていると思うので便利舎はそういう新入生に寄り添えたらいいなと。現在はZoomとインスタライブで新歓説明会をしたり、先輩と新入生で少数人のグループを作ってZoomなどで話したり、直に先輩として新入生と交流を持つ機会を作っています。あとは企画サークルとして何かできないかっていうのがありましてオンラインで今まで便利舎が関わった事務所の方や芸能人の方と連絡して人が集まらない形で新しい企画ができたらなという話を進めています。
──オンラインで新入生を勧誘する手法はツイッターなどですか?
緒方 そうですね。基本はツイッターです。例年に比べて集まりは悪いですね。例年は新歓ブースをやってコンパを開いてってやると新入生が100人くらい来るんですけど。今年は30人いないくらいじゃないですかね。
──それでも人研の10倍いますね
緒方 だいぶ打撃を受けていますね。
──10倍だぞ!10倍!
緒方 人研さんはどんな感じで新歓しているんですか?
──人研は今回の連続インタビューで早稲田のサークル文化の危機を取材しつつオンライン新歓もやっているのですが……。
緒方 大変ですよね。やっぱ新入生が入りたくないですもんね
──えっ?
緒方 見たことも無い奴のZoomとかいくら入りたいサークルとはいえちょっと怖い。そこにいかにアプローチしていくかですね。
──そ、そういうことですよね。今年の便利舎さんはリアルでのイベントが開けないこの状況でどういった企画をされていくのでしょうか?
緒方 次の企画ですか?いまは終息がみえない状態なので何とも言えないんですけど、早稲田祭運営スタッフの方と一応早稲田祭はやるという前提でいまの内から話を進めましょうと話していて。便利舎は4月、7月、11月は企画を打つ時期なのですけど、もう4月と7月は流れたのであとは早稲田祭に向けて企画していこうと。今年の企画が出来なかった分は早稲田祭での企画本数増やそうと話しています。いつも通りでやっては駄目なのかなという感じです。
──運スタさんとお話されているのですね。人物研には声が掛かってないな
緒方 軽く話しただけですけどね。たまたま運スタの幹部と個人的な繋がりがあったんですよ。団体間でやりとりがあったとかじゃない。でもこういう状況だからこそ色んなサークルが手を取り合ってやらないといけないのかなとは思っています。
──新型ウイルスが終息したらリアルでもこんな新歓やこんなイベントがあるから楽しみに待っていてねというのはありますか?
緒方 例年通りなら4月には新歓合宿と新歓バーベキューがあります。あと東京観光のイベントもあるんですけど、こういうのって意外と伝統があってずっとやってきていることなので。新入生と落ち着いて顔を合わせられる時が来たらこういう新歓イベントは最初にぶち込みたい。大きなイベントは早稲田祭ですね。早稲田祭ができたら新入生はそこで初めて便利舎の企画を見ると思うんですよ。いまの内から入っていきなり仕事としてイベントに関わるのもいいし、まずは早稲田祭の企画をみて便利舎を知ってもらうのでもいい。
──『早稲田王』と新歓期が被ったらすごい注目度になりますね。人物研は早稲田祭では講演会を開くのですが「『早稲田王』の時間はシフトに入れません」と言う会員が毎年いて調整する側が苦労している(笑)。これは便利舎さん以外のサークルあるあるかもしれない。
緒方 そうなんですか(笑)。まあ僕らは『早稲田王』を見に来てくれる人は真の早稲田生だなって思っているんで(笑)。『早稲田王』はいまの世の中ではコンプラに違反しまくっている企画なので。それでも見たいって言ってくれる人は真の早稲田生かなって思っていますね。確かに『早稲田王』を見てそのまま新歓に来てくれる新入生は多いかもしれない。楽しみですね。

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早稲田祭名物企画『早稲田王決定戦』。写真は2019年早稲田王となった“炎のバカ男”大野さん。候補者発表の時点から盛り上がる怪物企画。

夢は捨てたと言わないで

──人物研究会のインタビューでは座右の銘をお聞きしています。便利舎さんの座右の銘は何でしょうか?
緒方 「学生にしかない情熱と熱意。学生の域を超えた企画」です。便利舎のスローガンを引用しました。リアルイベントだけじゃなくてこういう状況でもできる企画は絶対にあると思うんでだからいまの状況でも前を向くしかないですね。早稲田祭が開催される前提でもう今から頑張るしかないなあという感じですね。
──ありがとうございました。
緒方 オンラインだとちょっと張り合いが足りないですね。オンラインで語り合うって難しい。終息したら飲みに行きましょう(笑)。馬場かなんかで。

取材日:2020年4月19日
Zoom使用

※1 『早稲田王』とは『早稲田王決定戦』の通称。2001年に始まった早大生5万人の頂点を決める戦い。比喩とかじゃなくてまじで戦っている。筆舌に尽くし難い。

人研編集後記

「コレといったら自分でしょ」と言える程の強みを持つ人は早稲田には案外いる。しかし強みを発揮できる環境にいる人は少ないのではないか。サークルと個性の相互作用に改めて気づかされた。

☆企画集団便利舎☆

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トークイベント『THE ROLAND』(早稲田祭2019)は“ホスト界の帝王”ROLAND氏とフリーアナウンサーの宇垣美里氏がゲストだった。

新歓用アカウント

早稲田王決定戦公式アカウント


★人物研究会★

「会いたい人に会いに行こう」をモットーとする1965年創立のインタビューサークル。早稲田祭などでは講演会の企画運営も行う。“じゃない方”サークルのキング卍。新会員募集中。