Google Booksで特定の言語別や刊行年別に検索するには? 貴重書にたどり着く方法!

どうも、『人文×社会』の中の人です。

今回は、Google Booksで特定の言語別や刊行年の範囲別に書籍を検索する方法をご紹介したいと思います。

この方法を使うと、より効果的にGoogle Booksで貴重書を探し出すことができます。

Google Booksは貴重書の宝庫!

Google Booksといえば、著作権の切れた古い書籍を閲覧できるサービスとして有名です。特に近代以降の膨大な書籍を検索・閲覧できるため、現在では人文系の研究リソースとして欠かせないものになりつつあります。

そうした書籍の中には、ものすごくマイナーだけれども重要なものも含まれています。

例えば、17世紀半ばのオランダで刊行された、デカルトの著作のオランダ語訳は、当時のデカルト受容を理解する上で非常に重要な書籍ですが、校訂版やリプリント版は一部しかありません。

ところが、Google Books上には、下図のようにずらーっとそろっています。

上から『方法叙説と三試論』、『ヴーティウス宛書簡』、『省察』のオランダ語訳です
上から『人間論』、『音楽提要』のオランダ語訳です

わざわざヨーロッパの図書館に出向かなくても、家にいながらダウンロードして読むことができるのは、本当にありがたいです。

貴重書の検索は難しい!?

しかし、こうした貴重書を検索するのは、けっこう難しいです。

例えば、上の例でいえば、著者が「René Descartes」、刊行時期が「1600年から1700年まで」で検索すれば、その中には含まれているはずですが、下図のようにお目当てのオランダ語訳でないものも検索結果にヒットしてしまいます。

うーん、これはこれで重要な史料なのですが、今見たいのはオランダ語訳なんだよなぁー、という時に、うまく検索できる方法がほしいです。

検索パラメータで言語を指定する

実は、前回の記事「Google Scholarで効率よく論文を検索するには? 言語別・刊行年別で検索する方法」でご紹介した場合と同様に、Google Booksでも検索パラメータを使うことができます。

Google Scholarの場合とかなり使い勝手が違いますが、言語を指定する検索パラメータは同じです。URLに「lr=lang_(言語の略号)」を組み込みます。

主要な言語別のURLのリストが下記です。
(URLを開くと、見た目はただのGoogle検索の画面ですが、検索ワードを打ち込んで検索すると、Google Booksの検索結果が表示されます)

Google Books(デフォルト)
https://www.google.com/?tbm=bks
Google Books(日本語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_ja
Google Books(英語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_en
Google Books(フランス語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_fr
Google Books(ドイツ語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_de
Google Books(イタリア語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_it
Google Books(オランダ語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_nl
Google Books(スペイン語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_es
Google Books(中国語簡体字)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_zh-CN
Google Books(中国語繁体字)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_zh-TW
Google Books(韓国語)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_ko

例えば、イタリア語版のURLを開いて、「Descartes」と検索すると、以下のような検索結果になります。

おーっ、ちゃんとイタリア語の書籍だけ拾っています。

検索パラメータで刊行時期を指定する

さらに、検索パラメータで刊行時期も指定することができます。

その際、刊行日ではなく刊行年で指定したい場合には、「tbs=cdr:1,cd_min:(開始年),cd_max:(終了年)」という検索パラメータを使います。

例えば、開始年を1600年、終了年を1700年にしたい時には、「tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700」となります。

これをURLの中に組み込めばOKです。

Google Books(デフォルト)
https://www.google.com/?tbm=bks
Google Books(1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700

刊行年を1600年~1700年に指定した方で「Descartes」と検索すると、こんな感じの検索結果になります。

もちろんこのパラメータは、言語を指定するパラメータと併用することができます。

Google Books(デフォルト、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(日本語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_ja&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(英語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_en&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(フランス語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_fr&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(ドイツ語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_de&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(イタリア語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_it&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(オランダ語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_nl&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(スペイン語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_es&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(中国語簡体字、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_zh-CN&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(中国語繁体字、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_zh-TW&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700
Google Books(韓国語、1600年~1700年)
https://www.google.com/?tbm=bks&lr=lang_ko&tbs=cdr:1,cd_min:1600,cd_max:1700

(上記を確認したところ、なぜか「中国語簡体字」「中国語繁体字」の二つだけ、刊行時期を指定すると検索結果が表示されなくなる事象に遭遇しましたが、もしかしたら一時的なものかもしれません)

さて、これで17世紀のオランダ語の書籍だけを検索できるようになりました。さっそく「Descartes」と検索してみると、こんな感じの検索結果になります。

上2冊はデカルト『哲学原理』のオランダ語訳、一番下はアドリアン・バイエ『デカルト氏の生涯』のオランダ語訳です

さらに検索コマンドを組み合わせよう

さて、さらに検索結果を絞るために、検索コマンドも活用したいと思います。

ここで使うのは、著者名を指定するinauthorコマンドです。Google Scholarのauthorコマンドに相当します。

使い方はGoogle Scholarのauthorコマンドと同じです。検索フォームに入れた検索ワードの後ろに、「inauthor:(著者名)」と付け加えるだけでOKです。

さっそく試しに、先ほどの検索結果を「Descartes」から「inauthor:Descartes」に変えてみます。

すると、検索結果はこう変わります。

上から『哲学原理』、『書簡集』、『方法叙説と三試論』のオランダ語訳です

おーっ、やりました! 見事デカルトの著作のオランダ語訳だけヒットさせることができました!

結び

今回ご紹介した例はかなりマニアックなものでしたが、もっと近代になれば、史料数が膨大になるので、言語別や刊行期間別の検索はより重宝するようになるかもしれません。

気になった方がいましたら、ぜひいろいろ試してみてください!

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