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2024年の前口上

痛風やみの諸君、このわたしが希望を託しているのは、みなさんなのですぞ。目下のところ、みなさんは、ひたすら健康のみを求めているのですから、神さまの思し召しがよろしければ、きっと健康な身になれるにちがいないと、このわたしも固く信じております。半オンスばかりの忍耐力でもって、もう少しお待ちくださいな。ところがですね、ジェノヴァ人などは、そのようにはいたしませんでしてね、…そのせいで、しばしば二兎を追って一兎も得ずということにもなるわけであります。さてさて、みなさん、お達者で、えへんえへんと咳でもして、三杯ばかり酒を飲んで、そのお耳をば、楽しそうにぴくぴくと動かしてくださいな。そして、気高くて、よきパンタグリュエルの摩訶不思議なるお話に耳を傾けてくださいませ。

ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル 第四の書』「作者の前口上」,ちくま文庫,Kindle位置番号. 761 

やっと年が明けた。なぜといえば、おととい本屋に行って、今年のカレンダーを買ったからだ。そして、つい今しがたデスクの大掃除が済んだからだ。

思えば、年越しそばを元日の0時半に食べたのがまずかった気がする。その辺りから今日に至るまでの記憶がおぼろげである。傑作PS4ゲーム『Red Dead Redemption 2』の20世紀アメリカ西部でカウボーイとして動物の皮を剥いだり駅馬車を襲ったりして過ごしていた時間も長かったので、身体の半分ぐらいが無法者になってしまった感覚もある。

それでも、新年というひとつの節目に清涼とした心持ちで向こう1年に思いを馳せる事ができる事実に、自分も神道的な風土と周期性に根ざしたひとつの人間存在なんだなぁと嬉しく思う気持ちもなくはない。こんな自分にさえ、土着の精神性が歴史の具体的な展開過程に従って染み入っているのだ。


さて、2024年の個人的な取り組みとしては、昨年に引き続きヒューム関連の読み込み、とりわけ原典周辺の研究書/論文を大量に消化していくことになりそうだ。それ以外には、メディア論とか現代思想周りとか、技術の哲学とか、アンテナを張っておきたいサブテーマが色々。

また、そろそろ「書く」という行為と正面から向き合わなければいけないと感じ始めているので、何かしらの形でこれまで以上に言葉を積み重ねてはいきたい。

それではみなさま、本年もどうぞよろしく。

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