海外ミステリー本感想1「死の味上下巻」
P・D・ジェイムズ著
死の味(新版)上下巻
ハヤカワ文庫
20世紀英国を代表する作家P・D・ジェイムズの「死の味」が新版として再発売されたので購入して読んだ。
ミステリーを買い始めたころから少しずつ集めていたものの、例によって買い忘れがたくさんあり今では新刊本ですべてはそろわない。
「死の味」はもしかしたら旧版が本棚にあるかもしれないが読んだことがないということは断言できる。
ジェイムズの作品は「不自然な死体」しか読んだことがないから。
何故だかわからないが重厚で長い作品を集中して読むことが若いときは嫌だったのかもしれない。情けないことである。
魅力的な展開からすでにジェイムズの世界に引き込まれる。上巻444頁、下巻439頁のボリュームは読み応え十分だ。
海外ミステリーは長い作品が多いという気がするがそれは当然だろう。登場人物の細部までの描写、住んでいる都市の様子、それぞれの細かい関係など、導入から展開に至るまでに時間をかけるからである。
特に今回久し振りにジェイムズの作品を読んだが、これほどまでに細部まで書き込んでいるかと驚いた。ただそれがくどいわけではなくむしろ必要だから書かれてて、最終的にその部分の記述があったことの意味が分かるようになっている。
重厚で極上のミステリーの代表作のようなものである。
ジェイムズはこの作品で英国推理作家協会(CWA)賞シルヴァー・ダガー賞を受賞しているが、71年「ナイチンゲールの屍衣」・75年「黒い塔」に続いて3度目の受賞。
凄いとしか言いようがない。
ハヤカワミステリ文庫やハヤカワミステリで購入できる本もまだあるので、早々に集めてジェイムズの作り出す重厚なミステリーに浸りたいものだ。
何かミステリーをと読み始める人に最初におすすめする本ではないのでお気を付けを!
「女には向かない職業」の方がジェイムズの入りとしてはいいと思う。
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