やさいづくりをやめたあと、これからの主役級になりそうなコオロギのおやつをたべてみた
はじめに
ちきゅうの住人たちの食料がおぼつかない。ヒトの食料そのものだけでなく、牛豚鶏魚(こんな熟語はない、造語)の飼料すらほとんど輸入にたよるクニにわたしたちは住んでいる。そんなさなか、あるおふれ(2022.3.25)が農水省からでていたのを知った。
この「おふれがき」についてはすでに公知のこととしてコメントしない。そんななか、しばらくまえからためしてみようとなかば本気で思っていた矢先、こどもが購入したのがこれ(開封後のパッケージを撮影)。コオロギをふくむたべもの。
すでにごぞんじの方も多いかもしれない。そんな食の体験メモ。
*わたしはこの文に関連するいずれの立場にも属さず、利害関係などはありません。内容に関してご利用なさる場合には自己責任でお願いいたします。
たべものをつくる立場で感じたこと
じぶんのたべものの一部ぐらいは自給しようと6年ほどやさいづくりにとりくんだ。その結果、かぞえてみると100種類ほどのやさいをつくれるまでに。かたちだけは「お百姓さん」なのかなと、ひとりエツにいっていた。
それに関連して気になることがでてきた。これはわりと最近の資料だけど。
上の資料とはべつに、つかっている肥料の一部、とくに購入するリン酸やカリ肥料の原料の多くが輸入品だと4,5年前に知った。国際的にみてその一部は数十年後には枯渇が心配されるほど。国際情勢もおぼつかない。原料の供給元は某国が多い。
そうなると罪悪感を感じはじめた。遠くから陸路・船ではこんでくる。それ以前は、フードマイレージを気にするわたしはつくるやさいの素性を「地元産だよ。」などといいながら販売所で売っていた。
たしかに野菜は地元産にちがいない。その点ではなにもとがめられることはない。でもなんだかふにおちないし、こころもとない。自分から口にするのははばかられる。
そんなやさき、彼の状況におちいる。すでに販売所のバックヤードの「じんじょうでない」混雑ぐあい(一触即発)に躊躇し、もっともリスクをかんじる場所とさえ感じはじめた。
潮どきかな
野菜の販売所でやさいをならべおわり、いつものように手あらいをすませて帰途につこうと車のキーをひねった。
「もうやめよう。」そんな言葉がきこえた。「そうしなよ。」ともうひとりのじぶんがあとおしした。
じぶんからリスクをたかめる必要はない。みずからの行動をきっかけに家族や周囲の人々にめいわくをかけてはならない。いえでじっとしておこう。
やさいづくりはこうしてあっさりとりやめになった。3枚のはたけを放置。家族が食べるだけなら家で生じるコンポスト堆肥だけでも庭のかたすみでやさいがつくれるかもしれないが、やさいたちはきまぐれ。それですら家族で食べきれないほどいっぺんにたくさん穫れてしまう。
6年間、穫れたやさいをむだにしてこなかった自負はある。じぶんたちが食べるぶんだけと購入した種子も惜しい。いただいた地元の固定種も年々植えついできてもったいない。蒔かずにダメにしたくない。
そんなこんなで副業に。そして6年目には本業をうわまわり兼業農家とかたちのうえでは名のれるほどになりかけていた。つくったものの売り先をみつけ、じぶんたちでもがんばって食べてきた。
でも、「販売所にもっていけない=やさいづくりをやめる」が出た結論。
そこで食べてみた
はなしが遠まわりして前置きが長くなってしまった。「コオロギのおやつ」のテーマ。
そんなこれからのわが家の食料への心配があたまのすみにいつもある。専門家も論文にするぐらい(Emily N. 2021)。この論文を読んだことも影響してふとたべてみようと思ったのがコオロギせんべいとチョコバー。家族が「ほれっ、たべてみ。」と購入しわけてくれた。
昼食をふつうにたべおわり、そのあと口にしてみた。なんのことはない。ごくふつうのえびせんべいの風味をほのかにかんじさせる。あとあじがよくあっさりしている。はいってるよと言われてもなにもおそらくわからない。これまで食経験がないから。
チョコバーのほうは、わたしがタンパク質制限中(CKDのため)なので、むしろその点で用心しないとならないぐらい高タンパク質。これだけで1日の3分の1量のタンパク質になる。
こちらのほうがせんべいよりもコオロギの含量が多い。こちらも完食。滋養をつけたい方や筋肉増強をはかりたい方むけかもしれない。
どちらもなんのことはない。あっさり受け入れられると感じた。
おわりに
食べながら、このクニはせっぱつまって背に腹かえられずにやってしまう「よくあるパターン」を食料問題についても今後やってしまうのかなと想像してしまう。せめて急な軌道修正にとまどわないように慣れておくつもり。
さて、はなしをもとにもどそう。コオロギの養殖方法が気になり調べてみた。すると、「えさには食料の未利用部分の活用をはかる」などくふうされていると知った。よく考えられている。
なにもおもしろがって販売している(失礼)わけではない。もっとふかい考えにもとづいて「まじめに」つくられている。そんな印象をもった。
タンパク質を中心に栄養をじゅうぶんおぎなえる、国内で養殖できる、エサを確保できるそんな点にもきぼうのひかりが感じられる。
参考文献
Emily N. BroganYong-Lak ParkKristen E. MatakJacek Jaczynski. Characterization of protein in cricket (Acheta domesticus), locust (Locusta
migratoria), and silk worm pupae (Bombyx mori) insect powders. Food Science and Technology (2021) 152 112314.
#やってみた大賞
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